ニューヨーク州ではマンハッタン中心部に乗り入れる自動車に対して渋滞税(congestion pricing)なる課金を計画し、法案まで可決していましたが、導入を無期限延期すると発表しました。
一律15ドルという課金は、慢性的な渋滞の緩和が期待されると共に、地下鉄等公共交通機関の利用増と増収も見込んだものでしたが、導入には否定的な意見が多く寄せられていました。
とりわけ不評だったのは仕事のために都心へクルマで出入りせざるを得ない立場にある人達、つまり会社員や店舗店員、運輸業務に携わるドライバーなどで、特にタクシーや運送業者に至っては渋滞税がサービスや商品の価格に上乗せとなり更なる物価高騰をもたらす可能性が指摘されていました。
治安の悪さからニューヨーク市地下鉄は敬遠されており、クルマの代替にはなり得ないということもあるようです。
要は誰も望んでいない施策だった訳ですが、結局6月30日のスタートを目前にして頓挫し、反対派からはそれ見たことか、という反応なのです。
Everyday New Yorkers bid good riddance to congestion pricing after Gov. Kathy Hochul’s shock announcement that she’ll indefinitely pause the detested toll program.
Rideshare app drivers, salesmen and other working-class New Yorkers crowed to The Post about the congestion pricing’s apparent downfall Wednesday.
“Hell yeah!” said Tony Robinson, a self-employed chauffeur, when told about Hochul’s move.
(Working-class New Yorkers cheer congestion pricing’s downfall after Hochul’s stunning reversal. New York Post. June 5, 2024.)
知事が導入を見送る決定したというニュースに、多くの人達が「歓声を上げた」(crowed)とあります。
ここで使われている"crow"という動詞が今日の1語です。
"crow"はカラスを意味する名詞ですが、動詞の意味に、
歓声を上げる、狂喜する、勝ち誇る
(ランダムハウス英和辞書)
という意味があるんですね。
スペルが同じだけに、このような動詞の意味にはカラスと何らかの関係があるのか?と思いますよね。
興味深いことに、カラスを意味する"crow"というのは擬声語で、カラスの鳴き声から来ているそうです。
そして歓喜するという動詞の"crow"も名詞の"crow"と同語源、つまりカラスと関係があるんです。
この動詞"crow"は元々カラスの鳴き声のような音をたてるという意味だったようですが、その後、雄鶏の鳴き声のような音を立てる、という意味にもなり、いつの間にかカラスの鳴き声ではなく、雄鶏の鳴き声の意味が優勢となり、カラスの鳴き声という意味は消えてしまったようなのです。(Online Etymology Dictionaryの解説による。)
そう言えば、"cockcrow"は、(〜crowとありますが)鶏の鳴き声の意味です。
つまり、これら"crow"は、カラスであって、カラスでない、というややこしい話です。
カラスの鳴き声を思い出してみますが、歓声や勝利の雄叫びといったイメージは無いですね・・・。屍肉を漁るカラスとの連想から生じたとの説明も見受けられますが、雄鶏の鳴き声の方がイメージとしては近いでしょうか。
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