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2026年2月20日金曜日

plogging

小生はランニングが好きなので当ブログでもランニングやマラソンの話題を何度か取り上げてきました。今日の1語もジョギングに関するものです。

走ることを習慣にしてからもう17年くらいになりますが、ランナーが気楽に取り組むことのできるボランティア活動に「ゴミ拾いジョギング」というのものがあるということを知ったのは、小生が走るようになってまだあまり日が経っていない頃のことです。その頃はジョギングやランニングに関する書籍や情報を色々と収集していて、その中で知り、興味を覚えました。

「ゴミ拾いジョギング」と書きましたが、最近ではもっぱら"plogging"と呼ばれるようです。


Runners will take part in plogging for this year's Brighton Marathon.

Plogging, which means running and litter picking, has grown in popularity across the world since it started in Sweden in 2016.

The term combines the Swedish word plocka upp (pick up) with jogging and has already been a success in Brighton, with groups like Leave No Trace running plogging events.
(George Carden. The marathon runners picking up litter as they go. BBC News. February 18, 2026.)


引用記事によれば、"plogging"という単語はスウェーデン語で(ゴミを)拾うという意味のplocka uppと、ジョギング(jogging)を組み合わせたかばん語で、2016年頃から使われるようになったとあります。

来月開催される東京マラソンを前に、都内のコースで"plogging"イベントがあると聞きました。

ランナー、ジョガーが日々走る道には色んなものが落ちているというのはよく経験していることで、いつも走らせてもらっているコースを綺麗にしたい、と思うのは自然な気持ちであると思います。

小生はボランティア活動に特に熱心という訳ではありませんが、近所で開催される花火大会の翌朝に、会場の河川敷や緑道でのゴミ拾いをかねたジョギングを毎年行っています。軍手にゴミ袋を握りひとりで出掛けますが、家庭用のゴミ袋(大、45リットル)に入りきらないくらいのゴミが集まります。ゴミを拾っているとランニングはおろか、ジョギングにもなりません(苦笑)。また、花火大会のある夏は気温が上昇するので、結構身体にこたえます。

個人的には"plogging"という言葉より「ゴミ拾いジョグ」の方がどちらかと言うと性に合っているように感じます。



2026年2月19日木曜日

verklempt

ドイツ・ミュンヘンで安全保障会議が開催されている話題については先日も取り上げたところです。

今日引用する記事は、同会議に出席したオカシオ・コルテス議員の失態を取り上げた記事です。

記事によれば、パネル討論会では言葉に詰まったり、事実誤認の発言をしたりで精彩を欠いたものだったようです。


Multiple co-hosts of “The View” agreed that Rep. Alexandria Ocasio-Cortez, D-N.Y., had embarrassing gaffes on the world stage while in Germany for the Munich Security Conference.

One of the leading voices of the Democratic Party and a rumored 2028 presidential contender, Ocasio-Cortez has been ripped over several comments she made over the weekend — ranging from being confused about the location of Venezuela to stalling for nearly 20 seconds before offering that the U.S. should try to avoid reaching a clash with China over Taiwan.

Co-host Whoopi Goldberg introduced the clip of Ocasio-Cortez’s stammering answer, noting that “The right is seizing on how she was a little verklempt coming out of the gate.”
(‘The View’ co-hosts agree that AOC had embarrassing gaffes at Munich Security Conference. New York Post. February 18, 2026.)


オカシオ・コルテス氏は民主党の下院議員で、2028年大統領選への出馬も目される、若手ホープ的な存在です。その彼女が、想定される台湾有事に対する見解を尋ねられ、口ごもって殆ど要領を得ない回答に終始した一件では、外交問題に定見を持たないことが露見したと共和党側から揶揄されました。

テレビ番組のコメンテーターが、


she was a little verklempt 


と評しているくだりの"verklempt"とは変わったスペルの単語ですね。初めて見るように思います。

手元の英和辞書には載っていませんでした。American Heritage Dictionaryによると、("farklempt"という異綴りもあるようです)


Unable to speak because of emotion; choked up.


と定義されています。

感情が昂ってしまって言葉が上手く出てこない、そんな状況を指す表現のようです。

"verklempt"という単語はイディッシュ語に由来するとの説明があります。ゲルマン語系に連なるこの単語は、ver-は強意の接頭辞で、klemmenは押さえつける、締め付けるというような意味だそうです。

感情やプレッシャーなどに圧されてしまうという状況をいうのでしょう。

オカシオ・コルテス議員は今回のような国際的な会議での場数はあまり踏んでいないらしく、慣れないプレッシャーに戸惑ったのかも知れないという見方もあるようですが、台湾問題に関する発言や、ベネズエラを赤道より下に位置する国と発言したの動画を見る限り、単に勉強不足という気がしないでもありません。


2026年2月18日水曜日

infraction

本日もミラノ・コルティナ冬季オリンピックの話題です。

カーリングの試合で相手チームのルール違反の指摘を巡り紛糾、オリンピック委員会も巻き込む騒動となっています。

問題は、カナダ対スウェーデンの試合で、カナダの選手に対して、カーリングのストーンに2度触れたとのルール違反が申し立てられた、というものです。

カーリング競技のルールによると、"hog line"と呼ばれる、ターゲットの6.4メートル前に引かれたラインを超えてからはストーンにタッチすることは違反なのだそうです。

ストーンを狙った位置に如何に近いところで止めるか、カーリング競技の妙味はストーンにどのくらいの推進力を加えるか、微妙な手加減による数センチの正確さが勝敗を分けるところにあるそうです。

ルール違反を指摘したスウェーデンの選手に対し、カナダの選手が口汚い言葉で罵ったという事実もこのスキャンダルを大きなものにしました。


The foul in question is called double-touching. Under World Curling rules, when delivering a stone a player may retouch the handle as many times as they wish — as long as they do so before the hog line, the thick stripe that marks the end of the release zone. Touching the handle after the hog line — double touching — is not allowed.

(中略)

Modern stones have hog-line sensors built into the handles, so they reliably detect late release of the handle. But they don’t detect a brief touch on the granite itself. And without an umpire watching closely — or without video evidence — that kind of infraction can be difficult to spot.
(Kevin Baxter. Olympic curling scandal threatens to forever alter the sport’s culture of trust. Los Angeles Times. February 18, 2026.)


さて今日の1語ですが、「ルール違反」、「反則」を意味する"infraction"です。(紛らわしいのですが、スペルが一部分だけ異なる"infarction"という単語もありますが、こちらは梗塞という病名です。)

関連記事ではストーンがラインを超えてからタッチしたことを、cheat、foul、fault、violationといった単語で表現しています。一方、これらの単語と比べると馴染みが薄いと思われる、"infraction"という表現を使っているものが見られます。"infraction"はルール違反全般、その軽重を問わず使われる一般的な表現です。

その動詞は"infract"となりますが、語源的には"infringe"(他者の権利の侵害)と同じであると辞書の語源欄にはあり、壊すというラテン語の動詞frangereから来ているそうです。(断片を意味する"fraction"も同語源です。)

なお、このラテン語動詞には、約束を破る、という意味もあります。


2026年2月17日火曜日

clinical

ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが盛り上がっていますが、スキーのスラローム競技の記事からの引用をどうぞ。


On Monday afternoon in Bormio, the Norwegian Atle Lie McGrath processed his grief in a novel way after the men’s slalom gold medal had slipped away. First, he threw his ski poles as far as he could and then he hid in the woods.

(中略)

Despite skiing in a blizzard, his opening run was smooth and clinical as he stopped the clock on 56.14sec.

That gave him an advantage of 0.59 over the Swiss world champion, Loïc Meillard, into the second leg. Several of his rivals – including Lucas Pinheiro Braathen, who won the giant slalom to give Brazil a first Winter Olympic medal in their history – had crashed out.
(Sean Ingle. ‘I just needed some time for myself’: Norwegian skier hides in woods after slalom gold heartache. The Guardian. February 16, 2026.)


記事はノルウェーのトップ選手が優勝を逃してしまったという話しです。レースの出だしは好調だったようですが・・・。記事のくだりに、


his opening run was smooth and clinical 


という部分があります。

"clinical"という表現が目に留まった次第です。臨床という意味がまずは思い浮かぶのですが、このコンテクストでは当てはまりません。

辞書を引いてみると、


Objective and devoid of emotion; coolly analytical
(American Heritage Dictionary)

Done or performed with excellence and precision 
(Merriam-Webster Dictionary)


などといった意味合いでも用いられると分かりました。こんな意味もあったの?と、またまた不勉強を恥じます。

"clinical"という単語はギリシャ語からラテン語を経ているのですが、遡ること印欧祖語klei-は横たわるという意味で、ギリシャ語klinikosはベッドのことだそうです。病人が横たわるベッドということから、臨床、病の治療に関する意味合いになったものです。

この"clinical"が、恐らくは臨床の現場やプラクティスから想起される、感情を極力排した客観性や分析的な態度を表す表現として使われるようになったのだと思われますが、それは1928年頃からのことらしく(Online Etymology Dictionary)、比較的最近のことのようです。

正確無比、精緻さという意味合いもやはり医学のイメージから想起されるものなのでしょう。

"clinical"という形容詞の用法としては珍しく、あまりお目にかかることは無さそうなので、記録としておきたいと思います。

2026年2月16日月曜日

This too shall pass.

ドイツ・ミュンヘンで安全保障会議が開催されています。各国の首脳や閣僚らが出席、ウクライナ問題を始めとして、世界情勢を巡る議論がされています。

その中では、トランプ米大統領の強硬的な外交姿勢も話題にのぼったようです。世界秩序に影響を及ぼす、ネガティヴな意味での取り上げられ方をした訳です。

トランプ政権からはルビオ国務長官がスピーチを行ったようです。一方、野党である民主党側からはカリフォルニア州知事のニューソム氏らが出席し、トランプ氏に対する批判的コメントがあったようです。トランプ氏の強硬的な外交姿勢が却ってEUの結束を強いものにしていると皮肉たっぷりに述べたとか。

ニューソム氏はまた、トランプ大統領の任期は残り3年であり、いずれ終わるともコメントしたようです。


US Secretary of State Marco Rubio was the centre of attention at the Munich Security Summit, as European leaders wondered apprehensively what tone he would strike in his remarks on Saturday.

While his speech did not fully allay their concerns, it has been viewed as a reassurance to allies that while US relations may have frayed under Donald Trump, they will not break.

Rubio's was not the only US political voice at the security summit, however.

And even if the secretary of state's remarks had not been so well-received – if he had sharply criticised Europeans the way Vice-President JD Vance did at the conference last year – there were other US politicians doing their best impression of the Persian poet, counselling: "This too shall pass."

"If there's nothing else I can communicate today," California Governor Gavin Newsom said at a conference event on Friday, "Donald Trump is temporary. He'll be gone in three years."
(Anthony Zurcher. 'Trump will be gone in three years': Top Democrats try to reassure Europe. BBC News. February 15, 2026.)


ニューソム氏の発言からの引用ということでは無いようですが、記事中、


"This too shall pass."


というフレーズが出て来ます。

和訳すれば、「これもまた過ぎ去る。」となります。物事に未来永劫というものはない、必ず終わりがある、というような意味合いですが、日本語で言う「諸行無常」のような概念を言い表す英語表現として定着しているものです。

関税やグリーンランド領有に関するトランプ氏のハチャメチャな言動に困惑しきりという状況ですが、それもいずれ・・・。

この表現の由来ですが、上記の引用にもありますように、ペルシャの詩人の言葉なんだそうです。

ネットを検索してみますと、以下のような記事に目が留まりました。


The phrase "this too shall pass" is often used to describe the impermanence of life and the need for longanimity in the face of suffering. Many people simply assume that the phrase comes from Sacred Scripture, but in fact it appears nowhere in the Bible. So where does it come from?

At first glance, the phrase sounds like it could be an aphorism from the ancient Greek philosopher Heraclitus, who believed the world to be in a state of constant flux. "You can't step into the same river twice," he said. Despite the similarities, however, the phrase "this too shall pass" is not found in the writings of Heraclitus.

Instead, many etymologists suspect the phrase was invented by medieval Persian poets belonging to a mystical branch of Islam called Sufism. It is interesting to note, however, that Jewish folklore also contains stories suggesting that the phrase originated with King Solomon.

In terms of its English usage, the phrase has been a part of our language since at least the mid-1800s.
(Clement Harrold. Is “This Too Shall Pass” in the Bible? St. Paul Center. February 6, 2025.)


"This too shall pass."というフレーズについては聖書、あるいはギリシャの哲人の言葉から来ているとする人もいるそうですが、実のところ聖書にもギリシャの哲人の著書にもそのものズバリの言葉は出て来ないそうです。


2026年2月13日金曜日

in or on?

13日の金曜日、です。(2015/2/132024/9/13

失礼しました。

ニューヨーク州知事のHochul氏がロングアイランド(Long Island)を訪問して市民らと交流、それをSNSに投稿したところが炎上しているという話しです。

Hochul氏は、


“I spent the day in Long Island talking with seniors, small business owners, and families,”


と投稿したのですが、何が問題なのか、お分かりでしょうか?

答えは以下の記事の引用に。


Gov. Kathy Hochul is getting roasted for saying she spent the day “in” Long Island — a gaffe that’s like nails on a chalkboard on the Queens side of the Whitestone.

The Democratic governor, who was raised upstate, made the mistake of using “in” instead of the preferred “on” in a since-deleted social media post that was preserved by a reporter and Long Islander who called it a “rookie mistake.”
(Brandon Cruz. Hochul makes ‘in’ Long Island faux pas that has locals going out of their minds. New York Post. February 12, 2026.)


SNSの投稿を見たユーザーが反応したのは前置詞の間違いでした。

知事はロングアイランドを訪問と言うのに、"in Long Island"としたのですが、この場合、"on Long Island"が正しい!

正直なところ、わたしも間違えてしまいそうです。

Hochul氏は民主党派ですが、その政策に反対する人たち、特に昨今の物価高に喘いでいる市民らからは不評で、SNSのタイムラインには知事への批判コメントで溢れています。その中には前置詞の誤用を指摘して、知事の資格が無いと言い切っているものも見られます。

今年11月に行われる予定の知事選で対立候補とされる共和党議員もこの誤用を論い、Hochul氏を攻撃しました。

Hochul氏自身誤用を認めたということでしょうか、"in Long Island"を改め、"on Long Island"と訂正した内容を再投稿していますが、一部支持者は、どうでもいい事、とも言っています。


One shopper, Joe, was fine with in or on.

“That’s kind of dumb — you’re on an island, but you’re in a town on an island, so there’s nothing wrong with saying either I don’t think,” he said.
(ibid.)


読んで納得、改めて前置詞inとonの使い分けを確認した感じです。

ロングアイランドはニューヨーク州にある、東西に長い島で、地図上にみるそれはとても大きい島に見えます。実際、最大長は190キロに及ぶといいます。知事はその広大さゆえに前置詞の選択を誤ったのでしょうか。

知事に反発する勢力による批判とは言え、前置詞の選択に目敏いのはやや意外に感じました。ロングアイランドは東西に長いと書きましたが、概して富裕層が多いとされるニューヨークシティに近い西部と、郊外の住宅地という位置付けの東部では意識の差もあるようです。つまり、ロングアイランドを島と意識するかそうでないかの違いともいえるかも知れません。富裕層のHochul氏(バッファロー出身)にはロングアイランドがしまであるという認識が欠けている、そう言いたいのかも知れません。

今日の1語はまさかの前置詞となりましたが、実は2回目、以前取り上げたのは"on"です。


2026年2月12日木曜日

ポーズ? ー pose

先週からアメリカ国内ニュースではトップで報じられている、女性ニュースキャスターの母親誘拐事件の行方が非常に気掛かりです。ほぼ毎日、何らかの更新がありますが、動機や犯人像、誘拐された母親の安否など、分からないことだらけです。。

アリゾナ州で発生したこの誘拐事件では、身代金の要求がなされたようですが、防犯カメラ映像に映った覆面の犯人映像が公開されたものの、特定には至っておらず、捜査する側も手こずっているようです。


Investigators trying to find Nancy Guthrie are posed with a daunting but familiar challenge in law enforcement: how to identify a masked person.
(Richard Winton. 'This kidnapping violates all the rules': Why cracking the Nancy Guthrie case has been so hard. Yahoo! News. February 12, 2026.)


詳細は記事をお読みいただくとして、最小限の引用をしました。"pose"という動詞が使われています。

ここでの"pose"は、


(難問・難題で)まごつかせる、困惑させる
(ランダムハウス英和辞典)


という意味です。正直を言いますと、改めて辞書を引いてそんな意味もあったんだと不勉強を恥じました。"pose"という単語は、写真を撮る時の「ポーズ」、ある姿勢を取る、という意味、また問題などを提示(提出、提起)する、置く、という意味だと暗記していましたが、その"pose"とはまた別のエントリ(単語)として載っているものです。

ところで先日、英単語を推測するワードゲームで、ヒントとして"Prepares to be captured in a photo"が与えられ、これは写真の時の「ポーズ」だとすぐに分かったんですが、"pause"というスペルの単語も浮かんできて、はて、"pose"だったか、あるいは"pause"だったか、と一瞬迷ったことを思い出しました。

"pause"は休止、一時停止、中断を意味する単語です。(ゲームの答えは"pose"ということになります。)

したがって、カタカナの「ポーズ」にあたる英単語は、


休止を意味する"pause"
姿勢を取る、置くという意味の"pose"
困らせるという意味の"pose"


の3つがあるということになります。

さて、本題はここからです。休止を意味する"pause"は同じ意味合いのラテン語pausaに由来し、それはさらに、休むという意味の後期ラテン語動詞pausareから来ていると語源欄にあります。意味も同じ、スペルも引き継いでいるので特に疑問ではありませんね。

一方、置くという意味の"pose"ですが、こちらも語源欄には、中期フランス語poser、もうひとつ遡るとラテン語動詞pausareから来ているとあるのです。そして補足説明として、「中期フランス語poserはラテン語ponere「置く、据える」の基本的語義を引き継ぎ」とあり、これは「おそらくposerがponereの過去分詞positumにたまたま似ていたことから」である、とあるのです。

これには少しびっくりしました。

フランス語やラテン語をある程度齧ったという人にはお分かりいただけると思いますが、置くという動詞の"pose"は、やはりラテン語で置くという意味の動詞であるponereから来ていると思っていたからです。上述の語源解説(ランダムハウス英和辞典)は、そうではない、と言っているのです。

同じようなスペルの単語、例えば、disposeやsuppose、proposeなど、これらの単語は一般的な接頭辞dis-やsup-、pro-などと、置くという意味のラテン語動詞ponereの組み合わせであると、知ったつもり、分かったつもりでいました。

ところが、これらの派生単語の語源欄を改めて確認してみると、接頭辞プラス、中期フランス語poserとはありますが、そこからラテン語ponereとの直接的な結び付きは無く、たまたま語義的に近しいラテン語disponereやsupponereにスペルが影響されたということなのです。

要するに、英単語の"pose"とラテン語ponereは直接のリンクは無いということになります。繰り返しになりますが、フランス語poserが、ラテン語ponere(またその過去分詞positum)に似通っていたことから、ラテン語ponereの「置く」という意味を持つようになったということなのです。(このあたり、当ブログがよく参考にさせていただいているOnline Etymology Dictionaryにも同様の解説があります。)

最後になりましたが、今日の1語、困らせるという意味の"pose"は"appose"という単語の頭音消失形であるとあります。そして、この"appose"は"oppose"(対置させる、妨害物として置く)の異形であるということです。


2026年2月11日水曜日

mandate

全国で雪が降る中の投開票となった週末の衆議院選挙は自民党が単独で3分の2以上の議席を獲得するという歴史的勝利に終わりました。

衆議院解散にあたって高市首相は、自身が総理大臣で良いのかどうかを問う選挙だと啖呵を切りましたが、高市総理を信任する結果となりました。

さて、その「信任」を意味する英語ですが、報道メディアでは"mandate"という表現が使われています。

選挙での勝利、イコール高市政権、また自民党への信任(mandate)、というものが多く見られます。いくつか拾ってみました。


Japan’s conservative Prime Minister Sanae Takaichi swept to a landslide victory in a snap election on Sunday, marking a historic turnaround for her party, which had been hemorrhaging voter support in recent years — until she stepped to the helm.

(中略)

It was a gamble to call a snap election. But Takaichi hoped to translate her own popularity into a stronger mandate for her Liberal Democratic Party (LDP) – which has been weakened in recent years by a scandal involving the misuse of political funds.
(Japan’s Takaichi secures historic supermajority in landslide election victory. CNN. February 9, 2026.) 


Takaichi’s strong mandate could accelerate her plans to bolster Japan’s defenses, further angering Beijing, which has cast her as attempting to revive its militaristic past.
(Japanese PM Sanae Takaichi’s party sweeps to massive election victory to keep ‘Iron Lady’ in power. Reuters. February 8, 2026.)


"mandate"という単語はラテン語の動詞mandareから来ており、その意味は命令する、指示する、というものです。よって、英単語の"mandate"も命令、指示、指図(要求)という意味であり、"mandatory"は強制的な、義務的な、という意味です。

これからすると"mandate"が「信任」を意味するというのはちょっと分かりにくい気もするかもしれません。

"mandate"はラテン語動詞mandareから来ていると書きましたが、動詞の過去分詞形mandatumが"mandate"になったもので、意味合いとしては、命令された(こと)、となります。指示された、託された(こと)、という意味であり、委任、委託という意味合いでもあるのです。

政治のコンテクストにおける「信任」の意味合いは後から加わったもののようですが、選挙の候補者に対し有権者が投票という形でお墨付きを与える、標榜する政策を後推しするというのは有権者の指示するところを実行せよとの命令であり、委任であると捉えるならば納得のいく話です。

以下、最後に引用するのは他所の国のお話ですが、逆に信任を失いつつあるという首相の件です。


Growing fragmentation within Starmer’s Labour Party—as well as a series of high-profile resignations at Downing Street—have tested the British leader’s mandate just 19 months after taking office.
(Alexandra Sharp. Will Britain’s Labour Party Survive the Epstein Files? Foreign Policy. February 10, 2026.)


2026年2月10日火曜日

breather

ミラノで冬季オリンピックが開催中です。各国の代表選手が鎬を削る中、ネットやSNS上での選手に対する誹謗中傷対策がこの時代には不可欠だという新聞記事を先日読みました。

ところで、アメリカのフィギュアスケート代表選手が記者会見でトランプ政権に批判的な見解を述べたところ、やはり選手のSNSアカウントには批難のコメントが殺到したということです。


American Olympic figure skater Amber Glenn said Saturday she will limit her social media intake after she said she received "hate."

Glenn was critical of the Trump administration in a pre-Olympics press conference earlier in the week, saying it had been a "hard time" for her and members of the LGBT community. It was one of a handful of political remarks U.S. athletes made in the lead-up to the Winter Games.

(中略)

"I did anticipate this but I am disappointed by it. I will be limiting my time on social media for my own wellbeing for now but I will never stop using my voice for what I believe in."
(Ryan Gaydos. American Olympian taking social media breather over 'hate' after Trump criticism. Fox News. February 8, 2026.)


この選手の例を待たずとも、一流のアスリートや著名人に対して寄せられる批判コメントというものは概して一方通行となり、1人に対して、実際の顔や姿が見えない多数が総勢で攻撃するような形になり、当事者は追い込まれてしまいます。

騒動を受けて選手はSNSの投稿を一時休止すると発表した模様です。

記事のタイトルには、


American Olympian taking social media breather over 'hate'


とあります。

"breather"とは呼吸を意味する"breath"、またその動詞"breathe"から来ています。

我々は普段の生活で呼吸しているということを意識することはあまり無いのではないでしょうか。呼吸を意識するのは息が上がるような時、激しい運動をした時かも知れません。"breather"には、息切れさせるような運動という意味があり、その意味からすると相反するようですが、息切れする運動から一転して一呼吸置くこと、休息を得るという意味でも使われるようになったようです。息抜きという意味がそうですが、活動の小休止を意味します。

以前取り上げた"breathing room"もご覧下さい。


2026年2月9日月曜日

backup

古くて新しい悩み、「お通じ」の話しです。

記事の引用をどうぞ。


Feeling backed up?

While there are plenty of foods and some health conditions that cause constipation, certain supplements may also be to blame.

(中略)

Just like any medications, vitamins and supplements can have side effects, like infrequent or painful bowel movements or changes in bowel habits.

And common supplements like iron, calcium and vitamin D can especially cause back-ups in your stomach and intestines.
(Rachel Sacks. Anti-poop pills: These 3 supplements can make you constipated. New York Post. February 8, 2026.)


お読みいただいて分かると思いますが、ビタミンなどをサプリメントとして摂取するとお通じに影響があるという話しです。

具体的には便秘(constipation)になりやすいということなのですが、記事中、


back-up (back up)


という表現が使われています。

カタカナで「バックアップ」とよく言いますが、データのバックアップだったり、支援とか後ろ盾、助力、また予備という意味合いで用いられることが多いと思います。

ここでの"backup"は滞留というような意味合いなんですが、American Heritage Dictionaryでは、


An overflow or accumulation caused by clogging or by a stoppage: a backup in the sink; a backup of traffic at the drawbridge.


と定義されています。

台所のシンクの詰まりや交通渋滞は"backup"なんですね。


2026年2月6日金曜日

unhoused

記事の引用からどうぞ。


A woke California school-board leader flipped out when a staff presentation used the word “homeless” instead of “unhoused” — while she was “personally offended” by the commonly used phrase.

(中略)

Flynn demanded the term be changed to “unhoused,” interrupting another board member who noted that “homeless” is the language used by the state of California.
(Nina Joudeh. Woke California school board member loses it when staff uses word ‘homeless’ instead of ‘unhoused’. New York Post. February 4, 2026.)


使う言葉の選択というのは難しいもので、何気なく選んだ言葉が差別的、侮辱的に捉えられるということはあります。ポリティカルコレクトネス(political Correctness: P.C.)と呼ばれる概念がそうですが、それが行き過ぎると今度は逆に"woke"だと言われたりもしますから難しいものです。

記事で問題になっているのは「ホームレス」(homeless)という表現ですが、差別的な表現と捉えられることもあり、その言い換えとしては"unhoused"が推奨されるということなのですが、知りませんでした。

手元にある英和辞典などを引いてみたのですが、古いためか、両者の表現の違いを説明したものは見当たりませんでした。

使い分けるようになったのは近年のことらしく、3年前のガーディアン紙の記事に以下のような内容を見つけました。


The term caught on. Gradually it spread among west coast professionals working with or advocating for people living on the streets, and then it made its way across the US. Adam Aleksic, a Harvard linguistics graduate who started the Etymology Nerd blog, noted its apparent first appearance on Twitter as another word for homeless occurred in October 2008. Around 2020, the use of unhoused began growing exponentially, according to Google Trends. Today, in mainstream articles and conversations, it’s synonymous with – and for many people, preferable to – homeless. While governments don’t yet widely employ it, some grassroots groups and scholars use it exclusively.

Critics have derided the new word as clunky and unfamiliar, potentially the product of woke virtue signaling. But those who have adopted it say it’s for the same reasons OSL originally did: to lessen stigma and to highlight that those lacking permanent roofs over their heads may still have communities or physical spaces they consider home.
(Amanda Abrams. Is it OK to use the word ‘homeless’ – or should you say ‘unhoused’? The Guardian. July 20, 2023.)


「ホームレス」に代わる表現として"unhoused"が登場したのは2008年のことで、その後2020年に急速に拡まったということです。

いわゆる「ホームレス」の人達は「ホーム」が無いのではなく、住居(house)を欠いているだけである、住居は無くとも心の拠り所となる"home"はある、というのが"unhoused"という表現を推奨する考え方にあるということです。



2026年2月5日木曜日

boondoggle

米カリフォルニア州での高速鉄道事業に関する記事です。

ニューソム知事肝いりのプロジェクトのようですが、150億ドルという巨費を投じた一大事業はあまり歓迎されていないようです。


Gavin Newsom claims to be a big numbers guy. But the billions he has poured into California’s High-Speed Rail boondoggle just don’t add up.

The Post has obtained records and photographs from the state’s High-Speed Rail Authority showing where the $15 billion spent over the past decade across five Central Valley counties has gone.

The images of completed segments paint a bleak picture — unless your kink is concrete and desolation.
(Josh Koehn. Gavin Newsom’s High-Speed Fail: Shocking pictures reveal true story of $15 billion boondoggle. New York Post. February 4, 2026.)


この高速鉄道ですが、2008年の計画当初はサンフランシスコとロサンゼルスを結ぶ路線として2020年代に開業する計画だったそうですが、大幅な工期の遅れと予算の超過により、現状では計画されていた路線の一部分を2032年に開通させる見通しだということです。

今日の1語、"boondoggle"の意味は、


(政略的な理由で連邦政府が資金を出す)無用な事業、プロジェクト
(ランダムハウス英和辞典)

An unnecessary or wasteful project or activity
(American Heritage Dictionary)


とあります。

地方自治体の箱物行政などが含まれる概念でしょう。

気になる語源ですが、"boondoggle"とは元々、ボーイスカウトが着用する、革紐を編んで作った飾り紐を指すものだったそうです。

その言葉が無用な事業の意味になったのは、1930年代の大恐慌下にあったニューヨークで失業者救済(ニューディール政策)の一環で、日がな飾り紐を作るプログラムというのがあって、それが無駄の象徴と報じられたことがきっかけだそうです。



2026年2月4日水曜日

“フラッシュ”ハンドル ー flush

小生はもうすぐ27年落ちになろうかという中古車に未だ乗っているのですが、一昨日そのクルマの後部座席ドアの外側ドアハンドルが壊れてしまいました。家族が開閉時にハンドルに力をかけてしまったそうなのですが、その際ヒンジのプラスチックが割れてしまったのです。古いものですから経年劣化もあったかとは思いますが、ドアハンドルに手をかけた際によろめいたらしく、通常よりもかなり強い力が作用したためかと思われました。近く車検を迎えますが果たして通るのかしらん。通るとしても何とか修理しなければ外から開けることが出来ないので困ったことです。

さて、前置きが長くなりましたが、偶然というか、今日はクルマのドアハンドルに関する記事からの引用です。

最新の電気自動車(EV)のドアハンドルは、旧来のクルマのそれと異なり、外側に出っ張ったものではなくて、一見すると引っ張るところが無いというデザインになっています。

テスラや中国のBYDが生産するEVがそうなのですが、埋め込まれているというのが正しいかもしれません。これらのドアハンドルは、所有者、即ちキーを持った人が近付いて触れようとするとハンドル部が飛び出してドアを開けることができるという仕組みになっています。

実のところ、小生も2年くらい前にテスラの試乗を体験したことがあり、この隠れたドアハンドルには戸惑ったものです。

ところが、この埋め込み型というか、隠れたドアハンドルは安全面での懸念があるのです。近年、EVの事故などで車内に取り残された乗客を助け出すのに、このドアハンドルが障害となる事例が複数報告されているというのです。

このようなEVのドアハンドルは電気で作動するため、緊急時に外部から物理的に開けることが出来ない仕組みであることが問題なのです。

中国ではこのタイプのドアハンドルを禁止する措置に踏み切ったとのことです。


China is banning hidden door handles on all cars sold in the country, becoming the first country in the world to target the feature – which was popularized by Tesla but has for years drawn concern over safety risks.

The hidden door handles are a signature feature of Tesla’s vehicles, and the ban comes as Elon Musk’s company reports declining worldwide sales and struggles with fierce competition in China, its second-biggest market.

On the outside, electric door handles sit flush against the side of the door, requiring a user to press down on the handle to release the lever; from the inside, riders press a button to open the door again.
(Jessie Yeung. China to ban hidden car door handles made popular by Tesla in world first. CNN. February 3, 2026.)


問題となっているドアハンドル、記事では、"hidden door handle"と表現されていますが、その説明に、


electric door handles sit flush against the side of the door


とあります。ここで、"flush"という表現が使われているのが目に留まりました。

"flush"という単語には幾つか異なる意味があるのですが、読者のみなさんにはパッと幾つくらいの意味が頭に浮かぶでしょうか?

トイレの水を流す、水が勢いよく流れるという意味の"flush"、顔が赤らむという意味の"flush"、これらは動詞ですが、同じ意味の名詞、そのあたりではないでしょうか。カメラの「フラッシュ」、こちらは"flash"ですから別ですよ。

ところが、ここでの"flush"は形容詞、あるいは副詞で、平面を為す、水平になっている、という意味なのです。


Having surfaces in the same plane; even
(American Heritage Dictionary)

having or forming a continuous plane or unbroken surface
(Merriam-Webster Dictionary)


(表面が)同じ高さの、水平な;(…と)同一平面を成す
同じ高さに;まっすぐ;同一平面に、水平に
(ランダムハウス英和辞典)


"hidden door handle"は別名"flush handle"とも呼ばれているようですが、"flush"とはそのドアハンドルがドアとほとんど一体化していて、ドアの平面と同一平面にある状態を指す表現なのです。

この"flush"なドアハンドルはEVに限らず最近の新車のデザインとして流行のようです。見た目の端正さに加え、走行時の空気抵抗を減らし(わずかながら)空力性能を高めると言われています。

しかし緊急時に外部からのアクセスが困難になってしまうというのでは本末転倒、今後は一転して規制の対象となり、メーカー各社は物理的な開閉手段を別途設置する必要性に迫られそうだとの見方です。

小生のオンボロ車もドアハンドルが壊れたままでは同じことですので何とかしなくては・・・。

2026年2月3日火曜日

au pair

米ヴァージニア州で起きた殺人事件のニュース記事から、冒頭部分の引用をお読み下さい。


A Virginia jury found Brendan Banfield guilty of killing his wife and another man as part of an elaborate scheme with the family’s au pair.

Prosecutors argued Banfield plotted with the au pair – with whom he was having an extramarital affair – to lure another man, Joseph Ryan, into their home with a fetish website and frame him for the murder of his wife, Christine Banfield.
(Brendan Banfield convicted of double murder in au pair affair trial. CNN. February 2, 2026.)


記事のタイトルに、"au pair affair"、本文中にも"au pair"という単語が出てきます。スペルからどうもフランス語のように見えますがどういう意味なのでしょうか。

Merriam-Webster Dictionaryでは、


a usually young foreign person who cares for children and does domestic work for a family in return for room and board and the opportunity to learn the family's language


と定義されています。住み込みで家事、育児を手伝う傍らで現地の言葉を勉強させてもらう外国人を指すもので、"au pair"はフランス語で、英語にすると"on even terms"(即ち、公平、同等の条件で、の意)ということだそうです。

カタカナではオペアというそうなんですが、不勉強にして知りませんでした。

ヴァージニアの事件は、同居していたオペアのブラジル人女性と不倫関係にあった容疑者が共謀して妻を殺害したというものです。

2026年2月2日月曜日

scupper

遅々として進まないロシアとウクライナ間の和平交渉ですが、アブダビで予定されている協議に関する最新の状況を伝える記事からの引用です。

アメリカがイランに対する外交圧力を強めている中、和平協議にも影響が出そうだというものです。


Rising tensions over possible US strikes on Iran have injected fresh uncertainty into the plans for senior Ukrainian and Russian officials to meet in Abu Dhabi this weekend for another round of talks. “The date or the location may change,” Ukrainian president Volodymyr Zelenskyy said. “From our point of view, something is happening in the situation between the United States and Iran, and those developments could affect the timing.”
(Ukraine war briefing: Zelenskyy fears rising US-Iran tensions will scupper key peace talks in UAE. The Guardian. January 31, 2026.)


週末に予定されていた協議は翌週にずれ込むか、開催場所も変更になるかもしれない、ということなのです。

記事のタイトルに注目したいと思います。


rising US-Iran tensions will scupper key peace talks in UAE


とありますが、ここで使われている動詞、


scupper


は初めて見るものでした。American Heritage Dictionaryで引くと、


To thwart or ruin


とあります。つまり、台無しにするとか挫くという意味合いであると分かります。

ところで、"scupper"には名詞として別のエントリもあり、こちらは船の甲板などに設けられる水抜きのための穴、排水口を指すようです。2つは全く別の単語なのか、それとも語源的に関連があるのか、という点が気になるところですが、どうも判然としません。

Merriam-Webster Dictionary(オンライン版)によれば、"scupper"の動詞の意味は、急襲してやっつける、殺す、という意味の軍事用語(俗語)から来ているとの解説があります。

一方のAmerican Heritage Dictionaryは、"scupper"の動詞の意味に、船を意図的に沈没させるという意味を挙げているのですが、語源に"scuttle"(船底に穴を空ける、の意)があるとしています。水抜き穴を指す名詞の"scupper"とも関連するような感じがしなくもないですが、名詞の意味と動詞を結び付ける明確なエビデンスは無いようです。

台無しにするという動詞の"scupper"は、目的語に"deal"や"business"、"peace talks"といったものを取る用例がコーパスで確認できます。これまで見たことがありませんでしたので新しく学んだという訳です。


2026年1月30日金曜日

burn the ships

電気自動車メーカーのテスラは2025年第四四半期の業績を発表、主力商品であるモデルSおよびモデルX生産を段階的に縮小して最終的には生産終了すると公表しました。

両モデルを生産しているカリフォルニア州Fremontの工場は今後ロボットに注力するともしています。


Gone are some of the company’s most famed EVs, and in their place are more self-driving cars, robotaxis, and, of course, robots.

"Forget the Tesla you knew. The Tesla of yesterday is gone," Canaccord Genuity analyst George Gianarikas wrote in a note on Thursday. "We believe Elon Musk has reached a definitive burn-the-ships inflection point, a total commitment to a vision that leaves no room for retreat."

“The company is burning the boats, pinning its future on autonomous cars and robots,” added Piper Sandler’s Alex Potter.
(Pras Subramanian. Tesla just made it clear: It's no longer a car company. Yahoo! Finance. January 30, 2026.)


このニュース記事のタイトルで、もはやテスラは自動車メーカーではない、としています。本文中も、テスラがEV(電気自動車)で鳴らした時代は過ぎ去った、ともあります。

CEOのイーロン・マスク氏自身、人間が運転する従来の自動車から自動運転(FSD: Full Self Driving)やロボタクシー、人間が行うタスクをロボットが代わりに行う自動化へ方向性の舵を切っています。

そして今日の表現ですが、


Elon Musk has reached a definitive burn-the-ships inflection point


というくだり、"burn the ships"とは、退路を断つという意味の慣用句です。直後に、


The company is burning the boats, pinning its future on autonomous cars and robots


と出て来ますが、この"burn the boats"も同じく、


背水の陣を敷く、捨て身でかかる
(研究社新英和大辞典)


という意味です。

船やボートを燃やすことが何故背水の陣を敷くことや退路を断つという意味になるのでしょうか?

敵陣を攻める際に川を越えて来たその船、ボートを燃やすということは、即ち自軍の退却する手段を無くすということであることから、このような意味になったということです。


2026年1月29日木曜日

penny-wise and billion-dollar-foolish

かねてよりトランプ政権は世界保健機関(WHO)から離脱する意向を表明していましたが、先日22日、正式に離脱を決定しました。

WHOが1948年に設立されて以来の加盟国であった大国アメリカの離脱がもたらす影響について触れた記事からの引用です。


The U.S. was one of the first countries to join the World Health Organization (WHO) when it was created in 1948 as part of the United Nations. But on Jan. 22, 2026, it officially withdrew from the global health group.

The U.S. has historically been the largest funder to the WHO, through both its assessed and voluntary contributions, so the departure is poised to disrupt both global and domestic health. “This is one of the most penny-wise and billion-dollar-foolish moves,” says Michael Osterholm, director of the Center for Infectious Disease Research and Policy at the University of Minnesota.
(Alice Park. The U.S. Has Pulled Out of the WHO. Here’s What That Means for Public Health. The Time. January 23, 2026.)


記事中、関係者の1人は離脱を、


penny-wise and billion-dollar-foolish


と言っているというくだりがあります。

面白い表現だと思って調べてみると、この言い回しは、"penny-wise and/but pound-foolish"という慣用句の一種のバリエーションだと分かりました。

その意味は、


careful about small amounts of money but not about large amounts —used especially to describe something that is done to save a small amount of money now but that will cost a large amount of money in the future
(Merriam-Webster Dictionary)


というもので、些少なお金(penny)を気にする余り、大金(pound)を失う、また結果としてより大きなコストがかかる、ということを言っているものです。

日本語ですと、安物買いの銭失い、という表現に相当するとしている辞書もありますが、お金に限らず、小事に拘るあまり、大事が疎かになる、という意味合いでも用いられます。

アメリカはWHOからの離脱により、加盟国として支払う分担金を払わなくて済むことになります。この金額がいくらなのか知りませんが、それをケチっての離脱と引き換え失うものは大きい、ということを言わんとしているようです。

記事によれば、WHOが保有するインフルエンザや新型ウィルスの流行状況等に関するデータベースにアクセス出来なくなることによる自国の保健政策への影響などが挙げられています。


2026年1月28日水曜日

in lock step

昨日に引き続き、2人目の米国人が移民取り締まりで射殺された事件に関するニュースからの引用です。

事件を受けて、所轄官庁である米国土安全保障省のトップKristi Noem氏に対する風当たりが強くなっているとの報道です。民主党はNoem氏に対する弾劾を提案しているそうですが、身内の共和党からも辞職すべきだとの意見が上がっているということです。

そして、上司でもあるトランプ氏もNoem氏と距離を取りつつあるとの見方が・・・。


In the hours after the shooting, Noem was in constant touch with a number of White House officials, including Stephen Miller, and briefed them on the “defiant tone” she planned to take, sources told CNN. During that time, she was given guidance on how she should approach the shooting during her later press conference, including a set of talking points on Pretti “brandishing” a gun, sources told CNN.

Sources noted Noem was in lock step with the White House’s posture at the time. But as more videos emerged, the secretary’s rhetoric came under intense scrutiny, prompting Trump to distance himself from Noem and Miller as the administration sought to calm tensions in the state.
(Hill Democrats – and even some Republicans – plot an exit for Noem. CNN. January 27, 2026.)


トランプ氏も最初はNoem氏を擁護する発言をしていましたが、射殺の瞬間を撮影したビデオがリリースされたことなどを受け、かばいきれなくなったのではないか、という見方です。

引用した記事では、


Noem was in lock step with the White House’s posture at the time


とありますが、事件発生直後にはNoem氏とホワイトハウスが同調していたことを指します。

ここで、"in lock step"とは、


in perfect or rigid often mindless conformity or unison
(Merriam-Webster Dictionary)


という意味の慣用句だそうですが、初めて見るものです。

"lock step"(lockstepとも)とは、密集行進法というらしいですが、前後の間隔を詰めて進むことを指すもので、集団が一糸乱れぬ行進する様子を想起させます。

歩幅や左右前後を同期させる動きであり、それは意見や見解の一致、同調、という意味で用いられるようになったようです。


2026年1月27日火曜日

summary

米国の移民取締りでまた悲劇が起きました。

先日、ミネソタ州ミネアポリスでアメリカ人女性がICEの取締官に銃で撃たれて死亡するという事件があったばかりですが、今度は男性が撃たれ死亡。

いずれのケースも移民取締りへの抗議活動の最中の出来事で、ICEは正当防衛を主張しているという点も一致しています。

しかしながら、今回も果たして正当防衛なのかという点が疑問視されています。


Mobile phone footage demonstrates that Mr Pretti, like Ms Good, represented no threat. Contrary to scurrilous claims by senior members of the Trump administration, he was holding a phone, not a gun, before he was overpowered. 

His killing, which occurred after he attempted to assist a fellow protester who was being manhandled, amounted to a summary street execution by security forces. As anger erupted across Minneapolis, federal officers then reportedly prevented state investigators from accessing the scene of the shooting.
(The Guardian view on a second ICE killing in Minneapolis: midnight in America -- Editorial. The Guardian. January 26, 2026.)


射殺された男性は銃を所持していたとも報道されていますが、一部始終を撮影したビデオ映像では射殺の際に男性が持っていたのは銃ではなく携帯電話だったということです。ICEの取締官らが男性の背中を銃で複数回撃ったとされ、過剰防衛との見方があります。

引用した記事で、


His killing, ... amounted to a summary street execution by security forces.


というくだりにある"summary"という表現を取り上げたいと思います。

カタカナでも「サマリー」とよく言いますが、要約、概要、まとめ、の意味であることはご存知の通りです。

しかし、ここでの"summary"は形容詞なんですね。法律、裁判のコンテクストで使われるようで、略式裁判などという時の「略式」に相当するようです。その意味は正式な手続きを省略した、また形式張らずに行う、というものです。


Performed speedily and without ceremony
(American Heritage Dictionary)

done without delay or formality : quickly executed
(Merriam-Webster Dictionary)


そして特に法律や裁判のコンテクストではないところでは、即座に、手っ取り早い、さっさと、という意味合いで使われます。

例えば、


a summary dismissal


は即時解雇を意味します。

記事に戻りますと、


summary street execution


は街中で即座の処刑、とでもなるでしょうか。ICEはデモ参加者を手っ取り早く片付けるために射殺を選択したのでしょうか、そんな批判が滲んだくだりに思われます。


2026年1月26日月曜日

tenterhook

週末の為替相場のニュースで、日米が円安に対する「レートチェック」を実施、これを受けて対ドル円相場が一時急上昇した、ということを聞きました。

「レートチェック」なる用語を聞いたことが無かったので、いわゆる為替介入のことか、というくらいに思っていたのですが、厳密には為替介入に至る前段階とも言うべきアクションだそうです。

ロイターの記事を読んでみました。


Gold surged past $5,000 per ounce early on Monday following a turbulent week where tensions over Greenland and Iran rattled sentiment, while ​markets remained on tenterhooks after a rout in bonds and violent spikes in the yen.

The yen firmed 0.5% to 154.84 per dollar ‌as of 0052 GMT, after sharp spikes on Friday sparked speculation over potential intervention. The New York Federal Reserve conducted rate checks on Friday, sources told Reuters, raising the chance of joint U.S.-Japan intervention to halt the currency's slide.
(Ankur Banerjee. Yen surges as intervention risks lurk, gold surpasses $5,000/oz. Reuters. January 26, 2026.)


世界情勢を受けて市場は刻々と変化するものですが、記事中、


markets remained on tenterhooks 


というくだりがあります。

この"tenterhook"という単語を知りませんでした。

辞書を引くと、"tenterhook"とは布張り鉤(釘)とあり、"on tenterhook"という表現は、


気がかりで、気がもめて、不安で
(ランダムハウス英和辞書)


という意味で用いられるとあります。

"tenterhook"という単語は"tenter"(布張り)と"hook"(鉤)とに分解できますが、"tenter"というのはテントと同じで、幕になる生地を伸ばし、成形、乾燥させる機械を指します。テントを意味する単語"tent"は広げる、伸ばすという意味のラテン語動詞tendereから来ています。

その布張り機械で布生地を張り伸ばすためのですが、"on tenterhook"というフレーズはピンと伸ばされた布生地の如く、緊張状態、あるいはストレスのかかった状況にあるということから、次に何が起こるのか、どうなってしまうのか、といった不安や気がもめる、やきもきする状態を意味するようになったというものです。


2026年1月23日金曜日

sell out

昨日に続き、ダボス会議を舞台にしたトランプ氏とニューソム・カリフォルニア州知事の応酬の話題です。

ニューソム知事はホワイトハウスの圧力によりスピーチの予定がキャンセルされたことを批判。その批判コメントの中で、唐突に(?)赤いニーパッド(膝当て)を取り上げて、世界のリーダーらにネット販売すると発言しました。


California Gov. Gavin Newsom on Thursday showed off knee pads that he suggested were for leaders “selling out” to the Trump administration.

Speaking at the World Economic Forum in Davos, Switzerland, Newsom said the red knee pads were available to buy via a website he had created.

“The last round of knee pads sold out, just as our law firms are selling out. Many American universities are selling out, and yes, many corporate leaders are selling out to this administration,” Newsom said.

“These are available in bulk, too,” he said, holding up one of the knee pads, which showed U.S. President Donald Trump’s signature.
(Lucy Handley. Newsom shows off knee pads for CEOs ‘selling out’ to the Trump administration. CNBC. January 22, 2026.)


真っ赤なニーパッドにはトランプ大統領の署名が入っていますが、一体どのような意味があるのでしょうか?

記事を読んでもすぐには理解出来なかったのですが、両者の確執、応酬がエスカレートする中、これは何かのメッセージ、当て擦りに違いないと思われました。

ニューソム氏はこのニーパッドを、


for leaders “selling out” to the Trump administration


としています。ここで"sell out"とは、


卑屈になる、阿る、寝返る、(信条を曲げて)取り入る、裏切る


といった意味があり、要はグリーンランド領有を一方的に主張するトランプ氏に為すすべもなくすり寄る姿勢を見せるEU諸国の首脳らを指しているものと思われます。

また、


The last round of knee pads sold out, just as our law firms are selling out. Many American universities are selling out, and yes, many corporate leaders are selling out to this administration


という発言のくだりでは、ニーパッドが売り切れた(sold out)と言い、それが米国の大学や巨大IT企業などがトランプ政権に阿った(selling out)結果であるとも述べ、"sell out"という表現の持つ2つの意味を使い分けて、シャレを利かせています。

実のところ、ニューソム氏が「ニーパッド」を持ち出すのは今回が初めてでは無いようです。


This isn’t the first time Newsom has brought out the kneepads. During a December talk between Treasury Secretary Scott Bessent and Turning Point USA CEO Erika Kirk at the New York Times DealBook Summit, Newsom told the audience to check out the kneepads he was selling to the people “groveling to Trump’s needs.”
(Anabel Sosa. Gavin Newsom promotes MAGA red kneepads at Switzerland conference. SFGATE. Jan 22, 2026.)


これを読んで、おおよそニーパッドが何を意図しているかが分かるというものです。

政権に阿り、跪く人たちに、膝を保護する「ニーパッド」を差し上げますよ — 何とも皮肉な話ではないでしょうか。

トランプ氏のはちゃめちゃな言動に為すすべなく翻弄され、取り込まれていく人達、跪く人達には膝当てを。


2026年1月22日木曜日

disinvite? uninvite? - disinvite

スイスで世界経済フォーラム(ダボス会議)が開催されています。

トランプ大統領が出席し、グリーンランド領有の決意を改めて語ったとの報道がトップですが、その傍らで、同じくダボス会議に出席しているニューソム・カリフォルニア州知事のスピーチの予定がキャンセルになったとのニュースを読みました。

フォーチュン誌との対談という形式のイベントが予定されていたようですが、ホワイトハウス側の圧力があったのではと言われています。

2028年の次期アメリカ大統領選への出馬へ意欲があるというニューソム氏は民主党であり、トランプ氏とは反りが合わず、お互いに批判の応酬に明け暮れてきた背景もありますので、恐らくそうなのでしょう。


California Gov. Gavin Newsom said he was barred from speaking at USA House, the American pavilion at the World Economic Forum in Davos, Switzerland, after pressure from the Trump administration.

After being disinvited from a fireside chat with Fortune magazine, Newsom’s office was offered a casual ‘VIP nightcap’ instead.
(Newsom says White House blocked him from speaking at global forum. Los Angeles Times. January 21, 2026.)


さて、取り上げたいのは、


disinvite


という動詞です。

記事を読むと、元々スピーチをする予定であったということは明らかです。そのイベントには招待(invite)されており、それが取り消しになった、ということを"disinvite"と表現しています。

"disinvite"なんて動詞があったのかなと思いつつ辞書を引いてみると、研究社の新英和大辞典には載っていないのですが、ランダムハウス英和辞書には、


招待を取り消す


とあり、American Heritage Dictionary にも、


To rescind an invitation 


と提起されています。一度は招待したものの、後になってそれを撤回する、ということです。

ここで、そういえば"uninvite"という単語もあったのでは?と思いました。

接頭辞のdis-もun-も否定の意味合いを持ちますから、"disinvite"と"uninvite"の違いは何なのか?そういう疑問に至ったという訳です。

しかし辞書には"uninvite"という動詞のエントリはなく、"uninvited"という過去分詞形としての形容詞の意味合い(招かれない、差し出がましい)を載せているのみです。

Merriam-Webster Dictionary オンラインの解説によると、"uninvite"という動詞も稀ながら存在するとしており、その意味はやはり招待を取り消すというもの、つまり"disinvite"に同じだそうです。

接頭辞のdis-はラテン語系であり、一方のun-は古英語(つまりゲルマン語系)からきているということですが、とくに取り消す、やめるといった意味合いの場合には、ラテン語系の動詞に付くのはdis-となると説明しています。"invite"はラテン語系の語ですから、"disinvite"がこのルールに則ったものということになります。

しかしながら、言語の世界は例外があるのが常であり、接頭辞のdis-、un-が(ラテン語由来の単語云々に関わらず)同じ単語に付き、異なる意味を形成するケースも多く見られると補足されています。(例えば、dislikeとunlike、など。)

"disinvite"と"uninvite"のケースは上述したように同じ意味合いなのですが、こうした類型に照らすとかなり特異なケースになるようです。


2026年1月21日水曜日

The iron enters the soul.

グリーンランド領有に意欲を燃やすトランプ氏。それを諌めようと結束するEU各国。

フランスのマクロン大統領やEUのフォン・デア・ライエン委員長らの説得にも関わらず、トランプ氏はグリーンランド領有は米国にとって死活的問題だとしてあらゆる手段の行使を否定していません。

さらには、反対する西側諸国に10%の追加関税を課すと述べ、これに対してはEU各国も報復関税を発動すると、大変な混乱になっています。

マクロン大統領はトランプ氏にプライベートメッセージを送り、トランプ氏が出席を予定しているダボス会議の後にG7首脳会議を行うことを提案しました。あろうことか、トランプ氏はこのプライベートメッセージの全文をSNSで公開。トランプ氏の常軌を逸した、予測不能な行動の典型とも言われています。

ガーディアン紙の記事から引用です。


Indeed, Trump’s whole career is built around transgressing norms and avoiding the consequences. Aged 80, diplomatic niceties are the least of his constraints.

There are risks in this. Iron is entering the soul of his one-time allies, infuriated by the discourtesy and sometimes the humiliation of needing to turn their cheek once again. Leaders at some point need to show to their electorates, and themselves, that they can preserve their dignity and self-respect.
(Patrick Wintour. Trump airing Macron’s private message was designed to hurt and intimidate. The Guardian. January 20, 2026.)


オピニオン記事の一部分なので少しコンテクストが掴みにくいかも知れません。要旨としてはトランプ氏のはちゃめちゃな言動が世界を混乱させ、同盟国リーダーの大変な心痛になっている、というものです。

取り上げたいのは、


Iron is entering the soul of his one-time allies…


というくだりです。

文字通りには、鉄(iron)が魂(soul)の中に入る、となりますが、知らないと意味不明な表現ではないかと思います。私自身、この表現を知りませんでした。

この表現は聖書に因むもので、


(囚われの身で[虐待されて])非常な苦悩を味わった
(研究社新英和大辞典)


という意味だとあります。

"iron"には拘束具の意味がありますが、それが魂に入るとは?表現としてやはり腑に落ちませんね。

実のところ、この英文表現は、聖書の原文であるヘブライ語をラテン語に翻訳した際の誤訳が元になっているという解説が添えられています。

旧約聖書詩篇(105:18)の該当箇所は、奴隷として売られたヨセフの首に「鉄の枷をはめる」(新共同訳)、というものです。ヘブライ語の知識はありませんので原文がどうなっているのかについては分かりませんが、"soul"とはヨセフを、"iron"とは枷を指すと考えられます。誤訳とされるラテン語訳(ウルガタ訳)は、


ferrum pertransiit animam ejus


となっています。ラテン語ferrumは英語で"iron"を意味する名詞の主格、ラテン語animamは英語で"soul"の相当する名詞の目的格であり、これが"The iron enters the soul."というフレーズの元になっているということになります。

聖書の英訳にもいくつかの版がありますが、


he was laid in iron
(King James Version)


としているもの、誤訳されたラテン語訳を逐語訳したと思われる、


the iron pierced his soul
(Douay Rheims Bible、他)


があり、後者がこの慣用表現の元となっているようです。

枷を嵌められて拘束されることは苦痛に違いなく、"The iron enters into the soul."が非常な苦悩を味わせるという意味になるのも分からなくは無いのですが、誤訳から生じたフレーズというのはユニークではないでしょうか。



2026年1月20日火曜日

専業主婦 ー SAHM

いわゆる「専業主婦」のことを英語では、


stay-at-home mom


略して、SAHM、というそうです。ご存知だったでしょうか?


Being a stay-at-home mom has its perks. No work, for one thing. And, once the kids are a little older, it tends to get easier and easier, meaning you might even get to sleep in from time to time as a SAHM. But the one thing some moms and wives should consider with this role is the retirement benefits. Or, rather, the lack thereof. One mom, Courtney, whose TikTok video was shared on Reddit says in her post that she didn’t plan for a divorce and now, financially, she is in a pretty tight spot.
(Chrissy Bobic. Financially Vulnerable SAHM Says Husband ‘Cut Her Off’ Amid Divorce. December 31, 2025.)


時代遅れ、時代錯誤と言われそうですが、夫は外で働き、妻は家庭で家を守る、子育てに、食事に、掃除に・・・、という役割分担の中で、「専業主婦」はある種のステレオタイプとしても、言葉としても定着して来ました。

では、専業主は?英語にするとSAHD (stay-at-home dad)?

ネットで検索するとSAHDという言葉もあるようですが、夫とも妻とも特定しない、"stay-at-home parent"という表現が一般的になっているようです。

引用した記事は専業主婦が離婚してしまうと経済的な面で不利になってしまうという話です。


2026年1月19日月曜日

switch things up

真っ白なコートと手袋が印象的です。

ヴァージニア州で史上初の女性知事に就任したアビゲイル・スパンバーガー氏(46歳)の知事就任式での装いが話題になっています。伝統的には男性は燕尾服、女性はダークスーツを着用するものだということですが、その伝統をわざと外したのです。


RICHMOND, Va. (AP) — Virginia’s governors traditionally wear morning suits for their inaugurations. But for her swearing-in on Saturday, Gov. Abigail Spanberger, the first woman to fill that role, dressed in white, the color of women’s suffrage.

(中略)

Spanberger’s office did not respond to an email seeking comment on her inauguration outfit. But in a recent interview with NPR, Spanberger said she wouldn’t continue that tradition.

“I’m not going to wear a morning coat, not to disappoint anyone,” she said.

The new governor’s white outfit, which included a long, white coat with gold buttons, paired with white gloves, appeared to be a nod to the women’s suffrage movement that led to American women securing the right to vote. In her address, Spanberger noted the gravity of the moment and highlighted suffragists’ refusal to give up.
(Virginia tradition calls for morning suits at an inauguration. But Spanberger switched things up. The Associated Press. January 18, 2026.)


新知事が真っ白な装いを選択したのは、女性の参政権を改めて強調する意図を込めた選択でした。(以前取り上げた、suffragette whiteをご覧ください。)敢えて伝統から逸脱するやり方を取ったという訳です。

記事のタイトルに、


Spanberger switched things up


とあります。

ここで、"switch things up"というフレーズは、やり方を変える、という意味ですが、特にこれまで普通に行われてきた慣習やルーチンに従わずに別のやり方を試してみる、というような意味合いがあります。

手元にある辞書を引いてみましたが、この表現を載せているものは見当たりません。口語表現として定着しているもののようですが、"switch"という動詞と副詞upの組み合わせ自体、辞書には載っていないのです。

"switch"には変更する、切り替える、という意味がありますが、副詞upは物理的、あるいは方向としての上方というような意味ではなく、ここでは単に強意のために添えられていると考えられます。

2026年1月16日金曜日

hack

ホワイトハウス報道官のレビット氏が、移民取り締まりに関する質問をしたメディアの記者を罵ったという記事からの引用です。

罵られたのはヒル紙の記者で、ICEの職員がミネソタ州でアメリカ人女性を銃で撃って死なせことなどを引き合いにトランプ政権の見解を質したようです。レビット報道官はこの記者を、


left-wing hack


と一蹴。記者席に座る資格も無いとまで言ったということです。


White House press secretary Karoline Leavitt refused to answer how Immigration and Customs Enforcement under Donald Trump’s administration is doing “everything correctly” after the killing of Renee Good and the deaths of 32 people in ICE custody in 2025, the agency’s deadliest year in two decades.

Instead, she lashed out at the reporter who asked the question, labeled him a “left-wing hack” who is “pretending” to be a journalist, and “shamed” reporters in the room for what she called “crooked” views.

(中略)

Leavitt — despite asking for the columnist’s opinion shared by a majority of voters who believe her killing was unjustified — immediately laid into him in a remarkable streak of insults.

“Oh, OK, so you’re a biased reporter with a left-wing opinion, because you’re a left-wing hack, you’re not a reporter, you’re posing in this room as a journalist, and it’s so clear by the premise of your question,” Leavitt said.
(Alex Woodward. Karoline Leavitt labels reporter a ‘hack’ as she blows up over questions on ICE and Trump’s election threat. The Independent. January 15, 2026.)


ということで今日取り上げる1語は、


hack


なのですが、罵り言葉として、売文家、という訳などが英和辞書に見えます。三文文士などとも言われますが、金儲けのために通俗的な内容のものを書いているという含みがある表現です。

この"hack"という単語は"hackney"という言葉から来ていると語源解説にあります。"hackney"とは荷馬の産地として有名なイギリスのHackney地方に由来し、貸し馬車のことを指します。雇われて人を運ぶサービスですが、そこから雇われ仕事、お金のために他人に仕えること、といったネガティブな意味を帯びるようになり、"hack"とは報酬のためにやる下賤な仕事というような意味になりました。


2026年1月15日木曜日

tunnel vision

昨日に続き、アメリカがデンマーク領グリーンランドを領有を主張している話題です。

グリーンランド、デンマーク両国の首脳がホワイトハウスを訪問し、ヴァンス副大統領、ルビオ国務長官と会談しましたが、物別れに終わった模様です。

関連のオピニオン記事では、トランプ大統領のグリーンランドへの執着(fixation)を国際社会にとっての脅威であると非難しています。

曰く、トランプ大統領の視野狭窄(tunnel vision)は甚だしいものがある、と。


Donald Trump has a lot of odd fixations, both as a person and as a president. He tends to focus his tunnel vision on things he wants: the demolishing of the White House’s East Wing, the renaming of the Gulf of Mexico. Many of Trump’s quirks are harmless, if unpleasant. (He seems to hate dogs, for example, but no one is forcing him to adopt one.) Some of his ideas, however, are more destructive: His stubborn and ill-informed attachment to tariffs has brought about considerable disorder in the international economy and hurt many of the American industries they were supposed to protect.

But a few of Trump’s obsessions are extraordinarily dangerous, and likely none more so than his determination to seize Greenland from Denmark, a country allied to the United States for more than two centuries.
(Tom Nichols. Trump Is Risking a Global Catastrophe. The Atlantic. January 14, 2026.)


視野狭窄(tunnel vision)というのは目の病気の名称であり、視野の一部が欠けたり、対象の周辺が見え難くなる症状を指します。この"tunnel vision"という表現は、ひとつの事に執着し、周囲が見えなくなる(見ようとしない)、という思考の傾向を指すのにも使われます。


extreme narrowness of viewpoint : NARROW-MINDEDNESS
also : single-minded concentration on one objective
(Merriam-Webster Dictionary)


みなさんの周りにもこうした困った人が・・・?

2026年1月14日水曜日

crunch talks

ベネズエラを電撃的に襲撃し大統領夫妻を拘束した興奮冷めやらぬ中、今度はグリーンランド接収案に言及し、軍事行動も辞さないとまで言い放ったトランプ大統領の発言に緊張状態が高まっています。

グリーンランド、デンマークの各首脳はアメリカの提案に改めて反対の姿勢を示したという報道です。


Greenland Prime Minister Jens-Frederik Nielsen said Tuesday that the Arctic island chooses Denmark over the U.S., pushing back against Donald Trump’s repeated takeover threats.

“If we have to choose between the USA and Denmark here and now, we choose Denmark. We choose NATO, the Kingdom of Denmark and the EU,” Nielsen said, according to translated comments reported by Danish public broadcaster DR.

He was speaking alongside Danish Prime Minister Mette Frederiksen at a news conference in Copenhagen, ahead of crunch talks between U.S., Danish and Greenlandic officials at the White House on Wednesday.
(Sam Meredith. Greenland’s PM has a blunt message for Trump: ‘We choose Denmark’ over the U.S. CNBC. January 13, 2026)


グリーンランドのニールセン首相はアメリカかデンマークのどちらかを選べと言われたら、デンマークを取ると明言したということです。

ところで、両首脳はホワイトハウスでヴァンス副大統領、ルビオ国務長官と会談を予定しているといい、それが、


crunch talks


と表現されています。これは何と訳したものでしょうか?

他のメディアでもこの"crunch talks"という表現が使われています。


On Eve of Crunch Talks with U.S., Greenland Declares: ‘We Choose Denmark’.
(Nik Popli. On Eve of Crunch Talks with U.S., Greenland Declares: ‘We Choose Denmark’. Time. January 14, 2026.)


Vance, Rubio Hosting Denmark, Greenland for Crunch White House Talks.
(Shane. Roucher. Vance, Rubio Hosting Denmark, Greenland for Crunch White House Talks. Newsweek. January 13, 2026.)


"crunch"という単語はボリボリと音を立てて噛む、咀嚼するという動詞の意味がありますが、名詞としては噛み砕くことという意味の他、危機的状況、逼迫といった意味があります。研究社新英和大辞典では、


(一触即発の)緊張状態、土壇場、危機的状況、逼迫


といった意味合いを載せています。

アメリカによる接収、軍事行動が示唆されている状況はグリーンランド、デンマーク両国にとっては危機的な状況には違いありません。こうした"crunch"の意味は以前取り上げたことがあります。(2013年8月19日2015年5月20日

"crunch talks"は危機的状況下にある中での会談と解釈できるかと思います。改めて"crunch"の意味をチェックしてみると、次のような定義が見られ、


A decisive confrontation.
(American Heritage Dictionary)

a critical point in the buildup of pressure between opposing elements : SHOWDOWN
(Merriam-Webster Dictionary)


これらは、対立する関係にある当事者間における状況、という意味合いがポイントであると思われます。

意見が食い違う者同士が最終的に雌雄を決する土壇場(showdown)ということになるかと思います。

「土壇場」とは斬罪の刑場、すなわち首を斬られる場所のことを指すそうです。(広辞苑第三版)

そこから、せっぱつまった場面、進退きわまった場面を意味するようになった(同)ということですが、グリーンランド、デンマーク両国にとってはホワイトハウスでの会談はそうした位置付けになるものと思われます。

と書いたところで、この"crunch talks"を簡潔に日本語で何と訳すかというのは悩ましいところです。


2026年1月13日火曜日

crowd out

最近の子供達というのは生まれた時からスマホやタブレット端末を使うのが当たり前の世代で、デジタルネイティブなどと呼ばれます。しかしながら、幼い子供がデジタル端末を使い過ぎると言語能力に大きな問題が出るという研究報告がイギリスで公表されました。

いわゆる「スクリーンタイム」が1日5時間にのぼる子供は、1時間未満の場合と比較して、言葉を話す能力が著しく劣るという研究報告です。


Excessive screen time is damaging toddlers’ ability to speak, the UK government has warned as it prepares to issue advice to parents for the first time on how to manage screen use in under-fives.

Research has found that children aged two with the highest screen use – about five hours a day – could say significantly fewer words than those with screen use of about 44 minutes a day.

Screen use is now near-universal in early childhood, with 98% of two-year-olds watching screens daily, the research also found.

The education secretary, Bridget Phillipson, said parents and teachers had warned that “too much passive screen time can start to crowd out the talking, play and reading that are so important for children’s language and development in the early years”.
(Jessica Murray. Excessive screen time limits vocabulary of toddlers, experts warn. The Guardian. January 11, 2026.)


記事で、デジタル端末による受け身のスクリーンタイムが、子供の発育に重要な活動、すなわち、読んだり、話したり、遊んだり、といった活動を、


crowd out


している、というくだりがあります。

"crowd"は群衆の意味の名詞ですが、動詞でも用いられ、副詞outが付いた動詞句は、


To force away by taking up space; displace
(American Heritage Dictionary)


という意味になります。

1日24時間は老若男女、貧富の差に関わらず等しく与えられるものですが、その時間をどのように配分するのかは個人次第、デジタル端末に触れる時間が長ければそれ以外の時間を費消してしまうというのもまた事実です。


2026年1月12日月曜日

schmear

今日の1語は、"schmear"という単語です。その意味なんですが、ベーグルなどに塗るクリームチーズのことだそうです。

アメリカ人はベーグルにクリームチーズを塗って食べるのが大好きです。

それでは記事の引用をどうぞ。


NYC bagel dynasty with $50M sales schmeared by biz partner betrayal: lawsuit

A Queens-based empire that peddles 100 million bagels a year is being torn asunder by a succession fight between the children of founders George Menegatos and Nicholas Evangelinos.

The bond between the families behind New Yorker Wholesale Bagels — once thicker than cream cheese — is now toast after Nicholas’ son Stefanos allegedly cut George’s kids out of the business, denying them their father’s company shares after his death, they said in a $25 million Brooklyn Federal Court lawsuit.
(Kathianne Boniello. NYC bagel dynasty with $50M sales schmeared by biz partner betrayal: lawsuit. New York Post. January 10, 2026.)


記事のタイトルでは"schmear"が動詞として使われています。

内容はというと、ニューヨークで有名なベーグル店が創業家のゴタゴタで分裂したというものです。

冒頭で取り上げたクリームチーズの意味合いの"schmear"ですが、イディッシュ語を借用したもので、語源は"smear"と関連があるということです。

辞書には"schmear"の動詞の意味は載っていません。つまり、記事のタイトルは本来"smeared"とするところを、シャレを利かせて"schmeared"としたものと思われます。



2026年1月9日金曜日

toe the line

ミネソタ州で、移民取り締まりを行うICE職員が市民に発砲し、女性が死亡した事件は日本国内でも大きく報道されています。報道の中には今回の件が、2020年に警官に射殺されたアフリカ系アメリカ人のGeorge Floydさんの事件を彷彿とさせるという内容もみられます。

つまり、女性は何故射殺されなければならなかったのか、ICE職員は過剰防衛ではなかったのか、という論点です。

トランプ大統領は、射殺された女性について、移民取り締まりを妨害してきた極左集団のメンバーであり、今回の1件もテロの一種だとICE職員による発砲を正当化するコメントを出しました。

ヴァンス副大統領も当然と言いますか、トランプ氏に歩調を合わせたということなのですが、下記の引用にあるように、


 Vance mostly toed the administration’s line in standing strongly behind the ICE agent


というくだりをピックアップします。


Well, only about 24 hours after the Trump administration debuted these maximalist claims Wednesday, Vice President JD Vance sharply undercut them.

In a press briefing Thursday at the White House, Vance mostly toed the administration’s line in standing strongly behind the ICE agent and even suggesting the woman was part of some kind of left-wing “network.”

But when a reporter challenged Vance on how he knew this was deliberate, Vance conceded that it wasn’t 100% clear, allowing that maybe she was indeed just scared and perhaps wasn’t actually targeting the agent.
(Aaron Blake. JD Vance just sharply undercut the Trump team’s ICE shooting narrative. CNN. January 8, 2026.)


ここで、"toe the line"というのは慣用表現なのですが、辞書を引くと、スタートラインにつま先を揃えるという意味合いから、命令や統制に従う、服する、という意味で使われるとあります。つまり、意見や言動などを(所属組織などに)期待された内容(line)に一致させる、揃える、ということで、同調する、歩調を合わせるといった意味合いになるでしょう。

しかしながら、ヴァンス氏は死亡した女性について、乗っていたSUVで ICE職員を轢き殺そうという意図があったかまでは分からないと発言。つまり、ICE職員による発砲の正当化に躊躇していると見なされたのです。

記事のタイトルにある、


Vance… undercut the Trump team’s ICE shooting narrative


は、トランプ政権の見解が「一枚岩」とまでは言えないようである、という趣旨と解釈できるでしょう。


2026年1月8日木曜日

redneck

米モータースポーツ団体NASCARのコミッショナーが失言で辞任、という見出しが目に留まりました。

NASCARにあまり関心や興味は無いのですが、一体どんな「失言」をしたのか、気になりましたので記事を読んでみることに・・・。


NASCAR commissioner Steve Phelps has resigned from his position, the association announced Tuesday.

(中略)

Phelps’ departure also comes one month after NASCAR faced an antitrust lawsuit from two race teams, including one owned by NBA legend Michael Jordan.

During the trial, text messages revealed Phelps referring to NASCAR Hall of Famer Richard Childress as “a stupid redneck” and “a total a— clown” who “needs to be taken out back and flogged,” according to The Athletic. He apologized to Childress during the trial, saying his comments were made out of frustration.
(Zach Mentz. NASCAR commissioner resigns following text message revelations. Cleveland.com. January 6, 2026.)


背景をざっと整理してみますと、NASCARはレース参戦枠などの運営を巡って一部のレース参加チームから独占禁止法違反を訴えられていたそうで、昨年末に和解が成立したそうです。

その裁判の過程において、コミッショナーがレース参加チームの代表を、


a stupid redneck


と罵るメールを書いていたことが明るみになったということです。

この"redneck"という単語を初めて見るように思います。辞書を引くと、


赤っ首(野郎);米南部の無教育な白人労働者
(研究社新英和大辞典)


とありました。

辞任したコミッショナーは運営方針を批判されてフラストレーションを募らせていたと釈明したようですが、組織のトップによる口汚い罵り言葉というものは致命傷になるものです。

"redneck"、赤っ首(野郎)は文字通り首の周りを赤くしているということですが、屋外の労働で首の周りを日焼けしていることを言ったものだとの語源解説が見られます。


2026年1月7日水曜日

plushie

記事の引用からどうぞ。


A Virginia airport is seeking the public’s help in reuniting a missing teddy bear with its owner.

Officials at Norfolk International Airport in Virginia shared a photo of the gingham-clad plushie with matching bunny slippers on Facebook on Dec. 30 with the caption, “Can you help me find my owner? I was turned in to ORF Lost & Found around 4 p.m.”
(Angela Barbuti. Airport takes to social media to reunite lost teddy bear with owner. New York Post. January 3, 2026.)


アメリカの空港で忘れ物として届けられたテディベアの人形の持ち主を探すべく、空港職員がSNSに写真を投稿し話題になっているというものです。

今日の1語は、"plushie"という単語なんですが、日本語でいうところのぬいぐるみを指す単語です。

"plush toy"が"plushie"となったものです。

"plush"をランダムハウス英和辞書で引くと、「フラシ天」という訳語が出てきます。「フラシ」は"plush"をカタカナに置き換えたということなんですが、英単語の発音は「プラッシュ」です。何故、「プ」が「フ」になるのか分かりませんね。なお、研究社新英和大辞典では「プラシ天」としています。

短い毛足のビロード素材のことをフラシ天(プラシ天)というそうです。フラシ天というのは聞き慣れない言葉ですが、コール天は聞いたことがあります。

コール天は"corded velveteen"という英語から来ているそうですが、やはりビロード素材の一種です。

フラシ天、コール天の「〜天」は天鵞絨(てんがしゅう、ビロード。ポルトガル語veludeの漢字表記)から来ているとの説があるそうです。(手元にある広辞苑第三版の解説による。)

テディベアのぬいぐるみの持ち主は見つかっていないそうです。SNSでは空港の粋な計らいに対する肯定的なコメントが多く寄せられている一方、たかがぬいぐるみ、無くした免許証は探してくれなかったのに、といった否定的なものも寄せられているとか。



2026年1月6日火曜日

narco-terrorism

世界に衝撃が走ったアメリカによるベネズエラへの軍事侵攻と大統領夫妻の拘束。拘束された大統領夫妻はニューヨークでの裁判にかけられ、最新の報道によれば、ニューヨークの裁判所に到着し、罪状認否が行われ、マドゥロ氏は無罪を主張したと報じられています。

その罪状とは、


narco-terrorism


であるとのことです。


Venezuela's Nicolás Maduro and his wife, politician and attorney Cilia Flores, made their first court appearance at a federal court in New York City Monday afternoon, when they both pleaded not guilty to all charges.

Maduro is facing charges of narco-terrorism conspiracy, cocaine-importation conspiracy and weapons charges. Flores and other senior Venezuelan officials, including Maduro's son, are also facing charges.
(Maduro and wife plead not guilty to narco-terrorism charges. NPR. January 5, 2026.)


"narco-terrorism"という単語が、麻薬(narcotics)とテロリズム(terrorism)のかばん語になっているというのはスペルからも分かりやすいと思います。

しかし、具体的に、"narco-terrorism"とは何を指すのでしょうか?

American Heritage Dictionaryでは、ハイフン無しの"narcoterrorism"というエントリで、


Terrorism carried out to prevent interference with or to divert attention from illegal narcotics trafficking.


と定義しています。麻薬取り締まりを妨げる目的で行われるテロ行為という意味と解釈されます。

一方、Merriam-Webmaster Dictionaryでは、"narco-terrorism"(ハイフン有り)というエントリで、


terrorism financed by profits from illegal drug trafficking


と定義しています。こちらは、麻薬密売で得た収益を資金源として行われるテロ行為となりますが、意味合いがちょっと異なるように思われます。

トランプ政権によるマドゥロ大統領の拘束の背景には、ベネズエラ国内の麻薬組織を放置し、それがアメリカ国内へのコカイン密輸、流通になっているということがありました。してみると、今回の罪状である"narco-terrorism"は、違法薬物を蔓延させることによって他国を害しようとするテロ行為を指すようにも考えられ、上記のいずれの定義にも当てはまらないのではないかとも思われました。あるいは、マドゥロ政権自体、反米政権と見做されており、ベネズエラ国内の麻薬組織を野放しにしているという状況を米国に対する行為と断じたとの見方もされているようです。

"narco-terrorism"は日本語では麻薬テロと訳されるそうですが、その意味するところは今ひとつ曖昧にも思われます。




2026年1月5日月曜日

boots on the ground

米国がベネズエラを軍事攻撃、マドゥロ大統領を拘束したという衝撃的なニュースが世界を駆け巡りました。

違法薬物や不法移民などの諸悪を断罪するという大義ですが、強国が軍事介入によって他国の体制を変更することの是非が当然ながら問われています。

トランプ大統領は会見を開き、米国がベネズエラを今後「運営」すると明言しました。「運営」という言葉の意味するところが各メディアで取り上げられています。

「運営」に関連して、トランプ氏は、


boots on the ground


の可能性も除外しないとコメントしました。


The president brushed off questions about concerns about the length and logistics of the U.S. operation.

Trump was asked about whether U.S. troops would be on the ground in order to "run" Venezuela and indicated he could use the military to make sure it's run "properly."

"Well, you know, they always say, 'boots on the ground, oh.' So, we're not afraid of boots on the ground," he said. "We had boots on the ground last night at a very high level. Actually, we're not afraid of it. We don't mind saying it, but we're going to make sure that that country is run properly."
(Trump's vow to 'run' Venezuela, sell oil, part of plan to dominate Western Hemisphere. ABC News. January 4, 2026.)


この"boots on the ground"という言葉が報道でフォーカスされているのですが、この表現はイディオムで、


Soldiers actively serving in a conflict zone
(American Heritage Dictionary)


と定義されており、戦地に兵隊、軍を展開するという意味です。"boots"とは兵士のブーツ(軍靴)であり、軍隊のメタファーであると分かります。

トランプ氏はかつて、米国のイラク戦争参戦を大きなミステイクであると批判したことがありますが、今般ベネズエラに米軍展開となればイラクやアフガニスタンにおけるそれと同じ轍を踏むのではないかとの見方があります。


2026年1月2日金曜日

side eye

飛行機の乗客マナーについての記事から引用です。


While many flyers blatantly ignore airplane etiquette — like eating a smelly snack or elbowing a seatmate — one traveler took things a little too far with her bizarre stretching method that had many fellow passengers giving her the side eye.

Stuck on a 12-hour economy flight from Paris, France to California and thankfully in a window seat next to her husband, McKailey Fast, a 29-year-old content creator and Pilates instructor, recently went viral for posting a TikTok video, with over 1 million views, that featured her stretching her legs on the wall of the plane.
(Allison Lax. Pilates instructor’s insane hack to survive 12-hour flight – experts weigh in: ‘Get your feet off the wall’. New York Post. January 1, 2026.)


狭い座席でストレッチをするというのはそれがエコノミークラス症候群のリスク軽減のためとはあっても、他の乗客の迷惑になりかねません。

記事の乗客は窓側の席で両脚を壁に跳ね上げてストレッチする様子をSNSで公開したもののようですが、これが批判を呼びました。

記事で、


give someone the side eye


という慣用表現が使われていますが、


a sidelong glance or gaze (as of scorn, suspicion, disapproval, or veiled curiosity)
(Merriam-Webster Dictionary)


という意味です。

横目で、流し目で見るというのは顔を直接向けず、目だけを横に向けるということですが、直接に見ないのは見たくないからで、対象に不快感を覚えたり、批判的である場合です。

この"give someone the side eye"という表現を手元の英和辞典で引いてみたのですが、"side-glance"という表現は載っていたのですが、"side eye"は見当たりませんでした。

また、"side eye(s)"なのか、"the side eye"なのかは違うと思われますが、表現としてはどちらもあるようです。Merriam-Webster Dictionaryでは(ハイフンで繋げ、さらに定冠詞theを冠した)"the side-eye"と表現することがしばしばある、と載せています。

同じような意味の表現として、以前取り上げた、




もご覧ください。


2026年1月1日木曜日

outback

新年おめでとうございます。本年もブログ「えいご1日1語」をよろしくお願い致します。

さて、ニュース記事を斜め読みしておりますと、ヘッドラインには"NYE" (New Year’s Eve) の文字が目立ち、各国での年越しの様子を伝える記事を多く目にします。

オーストラリアの奥地に、年越しを3回(!?)迎える場所があるという記事に目を引かれました。


Can you imagine marking New Year's Eve three times in one night?

An outback community located at the junctions of the Queensland, South Australia and New South Wales borders will do just that tonight, each time the clock strikes midnight in the three states.

Cameron Corner local Kate Osman has been part of the triple New Year's Eve shindig since 2000.

She hosts revellers at her corner-store-come-pub, before the party moves down the road to the state marker, known as the "corner post", at 11pm.
(Nakita Jager. Cameron Corner celebrates New Year's Eve three times in one night, on three state borders. ABC News. December 31, 2025.)


シドニーから1647キロ、ブリスベンから1342キロ、アデレードからは1051キロという内奥にあるCameron Cornerという町はクイーンズランド州、サウスオーストラリア州、ニューサウスウェールズ州の3州の州界に位置するそうですが、3州が異なる等時帯にあるため、それぞれ日付の変わるタイミングが異なるということなのです。地図帳を引っ張り出して確認してみますと、広大な国土を誇るオーストラリアの等時帯は少しややこしいのですが、現在オーストラリアは夏時間で、3州の間に30分ずつの時差があります。町中には3州の州界を示すプレートがあり、この場所では年越しを3度祝おうという人々で毎年賑わうとのことです。

さて、今日の1語、"outback"は内陸の土地、奥地を指す単語ですが、特にオーストラリアの内陸地を意味するとの説明が辞書に載っています。

はて、"outback"はオーストラリア英語なのかな、と思ったのですが、そうではなく裏庭、バックヤードを意味するアメリカ英語をオーストラリア人が借用したものだそうです。その後、裏庭、バックヤードの意味は廃れ、もっぱらオーストラリアにおける奥地を指す意味合いに特化したということです。(Merriam-Webster Dictionaryによる。)

なお、Outback Steakhouseという有名なレストランチェーンがありますが、そちらもオーストラリア由来でも何でもなく、アメリカ・フロリダ州発のブランドです。