最近30日間のアクセス数トップ3記事

2013年5月7日火曜日

あれを英語で何と言う? ― pacifier

久々に、“あれを英語で?”のコーナーです。

赤ちゃんの“おしゃぶり”を英語で何と言うでしょうか?記事のタイトルに答えがもう出てしまっていますが、"pacifier"と言います。

こんな単語、英語圏で出産したとか赤ちゃんを育てたとかの経験がなければはそうそうお目にかかるものでもないかと思います。私も下記の記事(赤ちゃん育児中のご両親、出産を控えているご両親必読)で初めて目にして、なるほど!と思った次第です。

"pacify"(なだめる)という動詞に、接尾辞-erがついて、なだめる物、ということになりますが、なるほど意味的にごもっともではないでしょうか。


To protect a baby against future allergies, parents may want to consider sucking on their kid's pacifier.

New research finds kids whose parents "cleaned" their child's pacifier by sucking it were less likely to develop asthma, eczema and food allergies when compared to kids whose parents opted to avoid the not-so-pleasant-sounding cleaning method.

"We demonstrate that a common parental practice, sucking on the infant's pacifier before it is given back to the infant, is associated with protection against early eczema development and asthma symptoms," wrote the researchers, led by Dr. Bill Hesselmar, a pediatric allergist at the University of Gothenburg in Sweden.
(Ryan Jaslow. Parents may protect babies against future allergies by sucking on kids' pacifiers. CBS News. May 6, 2014.)


さて、引用した記事の内容は興味深いものがあります。“おしゃぶり”が赤ちゃんの成長過程でのアレルギー発現を抑制する、という研究成果が発表されたのです。

“おしゃぶり”を使うことのベネフィットということでしょうか?

私は記事のタイトル、"Parents may protect babies against future allergies by sucking on kids' pacifiers"、を少し読み誤っていたことが、記事本文を読んで分かったのですが、“おしゃぶり”を使えばアレルギー抑制になるのではなく、“おしゃぶり”を(両親が)口で掃除してあげた場合にアレルギー抑制効果が見られる(!?)、というものです。(つまり、記事タイトルの、"by sucking on kids' pacifiers"の主語は"parents"なのです。)

本当に?と聞き返したくなりますが、研究では“おしゃぶり”を熱湯消毒するグループと、両親が口で掃除してから与えた赤ちゃんのグループで比較したそうです。その結果ですが、一見あまり衛生的とは思えない“おしゃぶり”の掃除をしたグループの方が、喘息や湿疹の発症率が統計的有意に低かったということです。

このいささか疑問符が付きそうな研究成果ですが、


The study ties into the so-called "hygiene hypothesis," a theory which states early exposure to germs and bacteria may strengthen a child's immune system, thereby reducing allergies later in life.
(ibid.)


との解説を読み、多少の雑菌はむしろ必要(!?)とはまれに聞くところですが、なるほどなあと思いました。


2013年5月6日月曜日

ケンタッキーダービー ― julep

競馬にあまり興味があるわけではなく故に詳しいわけでもありませんが、土曜日はケンタッキーダービーが行われました。

USA Today紙によると、このケンタッキーダービーが開催されるチャーチルダウンズ競馬場で、一杯が1,000ドルもするカクテル、"mint julep"が売り出し中ということです。

さて、そのお味は?


LOUISVILLE — One partaker said his $1,000 mint julep tasted just grand.

"It's fantastic," Aaron Schneider, 42, of New Orleans said between sips at Churchill Downs in advance of Saturday's Kentucky Derby.

The basic recipe for a standard mint julep is spearmint leaves, bourbon, sugar and water. Schneider took his sips from the gold-plated straw provided with his sterling silver cup.

"Absolutely, it's the only way to drink it," he said with a smile.
(Gary Mihoces. How do $1,000 mint juleps taste? Just grand. USA Today. May 4, 2013.)


その答えは、"just grand"(申し分ない、素晴らしい)、ということです。

1,000ドルもするということで、これはつい昨日の投稿と全く偶然にリンクしていますが、うまいしゃれですね。

ちなみに、"mint julep"というのはバーボンをベースとしてミントの葉を添えて供されるカクテルのことで、ケンタッキーダービーのオフィシャルドリンクなのだそうです。ケンタッキーダービーを観戦しながらこの"mint julep"をすするのが競馬好きには堪らないひと時なのでしょう、当日は飛ぶように売れるそうです。

勿論ですが、1,000ドルもする"mint julep"というのは特別なもので、売上の大部分はチャリティーに計上されるものです。通常売られている"mint julep"は10ドル前後の価格ということです。

"julep"という単語についてですが、この単語はペルシア語起源で、バラを意味するgulと水を意味するabという語から成るもので、それがアラビア語julabとなり、ラテン語、中期フランス語などを経て英語になったものであると語源欄の解説に見えます。つまり、もともとはバラの(入った)水、ということでしたが、現代ではシロップ、甘味という意味で用いられ、特にアメリカ南部では"julep"と言えば"mint julep"というカクテルを指すようです。

こう書いていると何だか"mint julep"を飲んでみたくなってくるから不思議です。ゴールデンウィーク最終日、競馬観戦はともかくとして、快晴の空の下、緑を眺めながら飲んだら美味しいでしょうね。


2013年5月3日金曜日

米ドルの表現 ― grand

アメリカ・ドルを表現するのに色々な表現があることを読者の皆さんは恐らくご存知かと思います。ハリウッド映画などでもよく出てくるのが、


buck


という単語ではないでしょうか?"fifty bucks"(50ドル)といった表現を聞いたことがある方は多いと思います。

ところでこれと類似の表現で、


grand


というものもあることをご存知でしたか?"grand"は、1,000ドルを指します。省略形は下記の引用でも分かるように、"G"なのですが、コンピューター世代の我々(!?)は、"G"と見ると、"giga"(ギガ、10の9乗)と勘違いしてしまいそうです。

1,000ドルだったら、"K"(kilo、キロ)が適当なんじゃないかと思ってしまいますが・・・。


‘Smoking’ gun nets 60G fine

The owner of a Midtown tourist shop is firing back at Mayor Bloomberg’s crusade against toy guns, filing papers to block a $60,000 fine from the city for selling lighters shaped like small pistols.
(Julia Marsh. ‘Smoking’ gun nets 60G fine. New York Post. May 2, 2013.)


記事は、ピストルの形をしたおもちゃのようなライターを販売した容疑で6万ドル($60G)の罰金をニューヨーク市から課せられたという話です。

なぜ、"grand"が1,000ドルを意味するようになったかについては定説はなさそうですが、大きいという意味の形容詞の"grand"が、大金の1,000ドルを意味するのに使われたという説明がもっぱらのようです。

ちなみに本題から少し逸れますが、タイトルの"smoking gun"というのは、話題がライターというだけに洒落が利いています。


2013年5月2日木曜日

猪瀬知事の舌禍 ― gamesmanship

2020年オリンピックの東京招致を目指す猪瀬知事がニューヨークタイムズ紙の取材で、ライバル都市批判とも受け取られる発言をしたことが波紋を呼んでいます。

知事はトルコのイスタンブールに関する自身のコメントについて、真意が反映されていないと否定していましたが、招致活動への影響を慮ってか、発言を撤回、謝罪しました。

問題となったニューヨークタイムズ紙の記事から引用します。


With less than five months to go before the International Olympic Committee chooses a city to host the 2020 Summer Games, the three remaining bidders — Istanbul, Madrid and Tokyo — are increasing their efforts to win over delegates and the public.

(中略)

Naoki Inose, the governor of the Tokyo Metropolitan Government and chairman of the Tokyo 2020 bid, has often done that, highlighting his city’s extensive and efficient transportation system, as well as the financial and technical wherewithal to build first-class sports sites and housing for the athletes. He has also noted that, like Paris and London, Tokyo has hosted the Summer Games before, a claim that Istanbul and Madrid cannot make.

But Inose has also pushed the boundaries of rhetorical gamesmanship with occasionally blunt and candid statements about how his city compares with the competition, particularly Istanbul, which he has suggested is less developed and less equipped to host the Games.
(Ken Belson. In Promoting His City for 2020 Games, Tokyo’s Bid Chairman Tweaks Others. The New York Times. April 26, 2013.)


知事の釈明によれば、インタビューの終わりに立ち話的にちょっとだけコメントしたことがライバル都市に対する批判のコメントとして必要以上にクローズアップされたとのことですが、上記の引用によれば、


Inose has pushed the boundaries of rhetorical gamesmanship with occasionally blunt and candid statements


ということであり、記者にしてみればオリンピック委員会のルールを逸脱したコメントと受け取ったのでしょう。脇が甘かった、と言えばそれまでかもしれません。

さて、今日の一語、


gamesmanship


ですが、ランダムハウス英和によると、


ルール違反すれすれの巧妙な手段を用いること


とあります。この表現は、"sportsmanship"との対比から生まれたものですが、"sportsmanship"が純真で清々しいものであるのに対し、勝つためには多少の駆け引きもやむを得ないというのが"gamesmanship"の含意にあります。

知事の発言は他都市批判を意図しながら、そのすれすれのところだったということでしょうか。"gamesmanship"を修飾する、"rhetorical"という形容詞にも、その辺りの意味が込められています。


2013年5月1日水曜日

第1世代iPhoneは”引退”へ ― out to pasture

スマートフォンの代名詞とも言える、アップル社のアイフォーン(iPhone)ですが、その第1世代の製品は発売から6年を経てついに“引退”というニュースです。


Bye-Phone.

Six years after the iPhone went on sale, Apple is putting the first-generation device out to pasture.

Apple will label the original iPhone an “obsolete” product in much of the world and “vintage” in the US, according to Apple fan blog 9to5Mac.

The vintage classification means that only people who purchased the original iPhone in California will have access to Apple repair services.

California laws are responsible for the special treatment, but within two years the first iPhone will be obsolete in all of the US.

The first iPhone is credited with revolutionizing mobile computing, sparking a media frenzy and generating long lines when it hit the market in June 2007. Time magazine named it gadget of the year in 2007.
(Garett Sloane. 1st Generation iPhone goes from ‘Gadget of the Year’ to ‘Obsolete’ in 6 years. New York Post. April 30, 2013.)


“引退”の意味というのは、アップル社が製品の修理をもはや受け付けなるということだそうです。

さて、“引退”を意味するのに、


put... out to pasture


という表現が使われています。ご存知のように、"pasture"とは、牧草地、牧場を意味する単語です。

"put... out to pasture"は家畜を牧草地に追いやる、というような意味になるかと思います。この表現は、人を退職させる、閑職に付かせる、というような意味で用いられます。

“追いやる”という表現には本人の意思に反して望ましくない状況や状態に移行させるというようなネガティヴな響きがあります。牧草地でのんびりと草を食んでいられるのは決して望ましくない状況などではなさそうですが、なぜにこのようなネガティヴな意味になったのでしょうか。

Online Etymology Dictionaryによると、“引退させる”という意味でのこの成句が使われ始めたのは1945年辺りと、比較的最近の話で、馬を現役(の激しい労働)から(牧草地で好きなように草を食んでいられるように)引退させるということから生まれた表現なのだそうです。つまり、馬にとっては苦役から開放されて望ましい状況のことを表現していたわけですが、いつの間にかネガティヴな意味に発展したようです。

一般的な話として、“引退”や“退職”は果たしてネガティヴなことなのでしょうか、それとも喜ばしいことなのでしょうか。iPhoneは人間ではありませんからその意思は分かりませんが。