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2014年12月10日水曜日

立入禁止、あるいは“治外法権” ― off limits

以前書いたことがあるかと思いますが、走ることにこのところハマっているせいか、スポーツ関係の記事、とりわけランニングやマラソン関連の記事にはよく目が留まります。

下記はトレイルランニングと呼ばれる分野に関しての記事です。トレイルランというのは一般には山道など、一般には整備されていない道を走るランニングで、私はその手の大会に出場したことはないのですが、いわゆるオフロードを走るのも楽しいものです。


Marcella Vivrette Smith Park only allows hikers on its six miles of off-road trails.

A 400-acre, hiker-friendly park in Tennessee has a message to trail runners: no running allowed.

Located in Brentwood, Tenn., Marcella Vivrette Smith Park opened last month and features more than six miles of trails. Officials said runners must stick to the paved and gravel roads in the park, however. That means those off-road trails are off limits.

A city official said it’s really about safety.
(Trail Running Not Allowed at Tennessee Park. Competitor.com. December 8, 2014.)


トレイルランナーの方に怒られるかもしれませんが、山道を走ることについては賛否両論があり、特にハイカー、登山者からは批判的に見られているという状況が日本でも存在します。上記の記事はアメリカでの話ですが、やはり安全面の懸念から、公園内のトレイルを走ることが禁止された、というものです。

つまり、トレイルランナーは立入禁止(off limits)ということになった、ということなのです。

"off limits"という表現を取り上げたいと思います。

"limit"というのは日本語でも“リミット”とカタカナ書きしますが、制限、限界というような意味であることはどなたも異論ないと思います。ところで、その概念は、点だったり線だったりするのではないでしょうか?つまり、境界を示す点、あるいは線です。

もちろんそれも正しい認識ですが、英語の"limit"の概念には“範囲、空間”があり、それは囲まれているものです。

"off limits"が“立入禁止”という意味になるのは、"limits"がこのような範囲、空間の概念であることを理解する必要があります。つまり、(立ち入りのできる)区域(limits)から“外れている”(off)、ということなのです。これは“治外法権”という概念に近いのではないかと思います。(ちなみに、治外法権を英語で"extraterritorial"というようです。)

日本語の“立入禁止”は“立ち入りのできる区域”(limits)に焦点を当てているというよりは、立ち入りできない区域の方に焦点を当てた表現だと思います。英語の捉え方はその逆になっているのが面白いと思いました。

ちなみに、"off limits"の対義語(表現)となるのが"on limits"で、これは立入自由(立ち入りが制限されない)という意味になります。英語の概念はあくまで自身のコントロールが及ぶ範囲にあるか否かで捉えているということが分かります。

最後に、もう1つ、"off limits"を比喩的に使っている記事を引用します。


WASHINGTON (AP) — The White House says the controversy over a Republican operative who criticized President Barack Obama's daughters is a reminder of the importance of carefully choosing one's words.

Elizabeth Lauten was the communications director to Rep. Stephen Fincher of Tennessee. She resigned Monday after a backlash over her Facebook post claiming the daughters should have shown more "class" at a turkey-pardoning ceremony.

White House spokesman Josh Earnest says he was surprised a congressional staffer would use a Thanksgiving-themed event to criticize the first family. He says individuals who frequently speak publicly tend to be mindful of how their words are perceived.

Lauten had urged the Obama girls to "dress like you deserve respect, not a spot at a bar." Earnest says it's common sense that first daughters should be off-limits to criticism.
(White House: First Daughters Should Be Off-Limits. Huffington Post. December 1, 2014.)


先日当ブログでも取り上げた話題ですが、政治家の家族というのは批判してはならない(ある意味“治外法権”となる)対象だということです。


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