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2015年8月17日月曜日

dystopia

ちょうどお盆休み明けの月曜日、関東は雨のスタートとなりましたが休み明けのだるい体を引き摺って出勤された方も多いのではないでしょうか?(小生は、申し訳ないながらも、今日まで休みとさせていただき、明日から出勤です。)

会社という場所は多くのサラリーマンにとっては、できることなら行かなくてもよいのならば(食べていけるのであれば)それに越したことはないのですが、そういうわけにも行かないものです。

ネット大手のアマゾン社については最近、その社風、社内環境の劣悪さがNYタイムズ紙で特集記事になったそうなのですが、CEOのJeff Bezos氏が反論したということで話題になっています。


In a memo to employees first obtained by technology news site GeekWire, the online retailer’s chief said that anyone who worked at a company like the one portrayed in the Times’ story would be “crazy to stay” before adding that he hopes workers “don’t recognize the company described.”

“[The article] claims that our intentional approach is to create a soulless, dystopian workplace where no fun is had and no laughter heard,” Bezos wrote. “Again, I don’t recognize this Amazon and I very much hope you don’t, either. More broadly, I don’t think any company adopting the approach portrayed could survive, much less thrive, in today’s highly competitive tech hiring market.”
(Ryan Mac. Jeff Bezos: Anyone Working At A Company Described In New York Times Story Would Be 'Crazy To Stay.' Forbes. August 17, 2015.)


同氏がコメントの中で使っている、"dystopia[n]"という単語を取り上げたいと思います。

"dystopia"というのは、"utopia"(ユートピア、理想郷)の対義語ということになっています。

なるほど、とここで終わりにしてしまうのは当ブログ「えいご1日1語」の精神に反しますので、もう少し詳しく見てましょう。

"utopia"の語源については、Sir Thomas Moreの著作になる"Utopia"というタイトルから来ているのですが、この単語はギリシャ語で"no"(否定)を意味するu-、と場所を意味するtopiaが結合したものです。つまり、ありえない(存在しない)場所、ということです。

ところが、理想郷という和訳にも見られるように、ギリシャ語の接頭辞u-が、“良”を意味するeu-("euphemism"などの単語に見られる接頭辞です)と誤解され、意味合いも“存在しない場所”から“すばらしい場所”へと変容してきました。

"dystopia"は、この"eu-"に対しての"dys-"、つまり“悪い”という意味の"dys-"を以ってして、"utopia"の対義語足りえたものです。

また、J.S. Millの著作になるHansard Commonsで用いられたのが最初だということです。

ある意味、("utopia"という単語の解釈上の)誤解、勘違いから生まれた単語だと言えるかもしれません。


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