最近30日間のアクセス数トップ3記事

2016年2月19日金曜日

アップル vs F.B.I. ― pit X against Y

テロリストのアイフォーンを解析しようとする米・捜査当局(F.B.I.)が、アップルに端末の暗号化の解除に協力するよう要求したのに対し、アップルが要求を拒否しているという件がトップニュースで報じられています。今日の朝刊でも大きく取り上げられていました。


A court order requiring Apple to create a way to help law enforcement get access to a terrorist's smartphone amounts to an "unprecedented" stretch of an antiquated law — one that is likely to spark an epic fight pitting privacy against national security, legal scholars said Thursday.
(Apple-FBI fight over iPhone encryption pits privacy against national security. Los Angeles Times. February 18, 2016.)


アップル対F.B.I.ということなのですが、ここでの対立の構図としてもうひとつ、


pit privacy against national security


という表現が用いられています。

明らかにここでは、


pit X against Y


という構造が見て取れます。

"pit"は短い単語ですが色々な意味がありますが、このような使われ方をしているのを見るのは初めてです。

"pit"には、


an enclosure in which animals are made to fight each other
(Merriam-Webster Dictionary)


という意味があって、これは闘犬や闘鶏のための囲いを意味しています。したがって、動詞の"pit"は目的語となる対象をこの囲いの中に入れて戦わせる、という意味となるわけです。

今回の件について言えば、事はプライバシー尊重か一国のセキュリティの確保か、という対立構造だというわけです。

記事は下記のように続きます。


Apple was caught off guard by the government's decision to go public with its request. Legal experts said the government probably decided to file publicly because it wants a debate on the issue framed by a case that poses strong emotions and fears.
(ibid.)


一般に犯罪捜査においては秘匿性が重視されるため今回のような“内幕”が明るみに出ることはないのですが、F.B.I.は意図的に今回の件を世間に問うような形にしたようです。テロリスト対策が喫緊の課題となる中で、国民的議論を呼び起こすことは必至でしょう。

議論の行方が気になります。


0 件のコメント:

コメントを投稿