このところ新聞の国際面でこの人の名前を見ない日は無いといっても過言ではないくらい報じられています。
ドナルド・トランプ氏。2016年アメリカ大統領選の共和党候補者指名争いを引っ掻き回している元不動産王とされています。
緒戦となったアイオワ州での党員集会では支持を落としたものの、その後は連勝し、現在首位、“トランプ大統領”が現実味を増してきたとまで言われています。共和党ではトランプ氏支持を表明する議員までが出てきており、これに危機感を募らせる関係者は気が気ではないようです。
MADISON, Ala. — The implosion over Donald Trump’s candidacy that Republicans had hoped to avoid arrived so virulently this weekend that many party leaders vowed never to back the billionaire and openly questioned whether the GOP could come together this election year.
(Divisions within GOP over Trump’s candidacy are growing. The Washington Post. February 28, 2016.)
引用した記事の冒頭に"implosion"という単語が使われています。知っているようで知らない、分かったようでよくわからない単語、ではないでしょうか?
"implosion"を英和辞書で引いてみますと
内側に破裂すること("explosion"の逆)
といった定義があります。(また、決まって、音声学の専門用語としての定義が続きます。)
記事のコンテクストに照らして、「内側の破裂」とはトランプ氏が予想外の支持を得ていることで共和党内部での分裂が見られ始めたことを言っているのだろうとは想像がつきます。
記事タイトルの"divisions within GOP over Trump's..."が、"The implosion over Donald Trump's..."を説明していると言えます。
しかしながら、辞書における"implosion"の定義にはこのようなコンテクストにふさわしい定義が見えず、恐らくこういうものは機械翻訳が苦手にする類のものなのでしょう。
ところで、Merriam-WebsterやAmeirican Heritage Dictionaryでも"implosion"の定義は同様で、このような記事に即した意味合いは見られません。
では、動詞である、"implode"はどうだろうかと引いてみると、
to break down or fall apart from within : self-destruct
(Merriam-Webster Dictionary)
To undergo a catastrophic failure
(American Heritage Dictionary)
などとあり、少しイメージが近いものになっています。
記事のコンテクストで言えば、「自爆」といった和訳が思い浮かびます。
また、コーパスで"implode (over)"の用例を検索してみました。
In fact, Obama vaulted to victory in the crowded Democratic primary only after the multimillionaire front-runner imploded over personal problems.
(Associated Press. 2009.)
Several months earlier he had watched the presidential aspirations of his father, George, the governor of Michigan, implode over a single word -- " brainwashing " -- intemperately uttered.
(Atlantic Monthly. 2005.)
いずれの例文も、やはり「自爆」というイメージです。
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蘭です。
返信削除分裂させてから自分を支持する人を獲得。というような手法はトランプ氏が得意ようです。選挙時に女性問題やLGBTなどの話題で支持層を固めました。就任して以来は中国脅威論で世界と中国を分裂しようとしています。トランプ氏はいつも敵が必要で、敵と英戦する姿で大統領の固めていく意図が明白ですね。これからも、いつも正しいトランプ大統領は自分の功績を吹聴していくでしょう。