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2019年12月17日火曜日

coquettish

ヌーベルバーグの映画女優として名を馳せた女優アンナ・カリーナ(Anna Karina)さんが死去されました。

週末のネットのニュースで知ったのですが、あの大きくて特徴的な目をした女優の顔を思い出しました。

大学生の頃、フランス映画にかぶれていた時期がありまして、特にジャン・リュック・ゴダール監督の作品をレンタルビデオ店で借りて観ていました。

アンナ・カリーナさんについては特に「気狂いピエロ」での印象が残っています。


From the beginning of film history, there have been examples of directors putting their wives and/or lovers in their films, such as Josef von Sternberg-Marlene Dietrich and Roberto Rossellini-Ingrid Bergman. But there was never anything like the goings-on between the directors and their stars during the period of the French New Wave in the 1960s.

Among the couples were Louis Malle-Jeanne Moreau, Claude Chabrol–Stéphane Audran, and François Truffaut with a number of his leading ladies. However, the closest cinematic and personal relationship was that of Jean-Luc Godard and Anna Karina.

In Godard’s films, the Danish-born Karina, who has died aged 79 of cancer, is seldom off screen, coquettish and spirited, and never a mere victim or innocent. Their films together have been described as documentaries of Karina herself.
(Anna Karina obituary. The Guardian. December 16, 2019.)


アンナ・カリーナさんはゴダール作品で活躍し、同監督と結婚しましたが、その後「気狂いピエロ」発表の年に離婚しました。

「気狂いピエロ」では相手役の男優ジャン・ポール・ベルモンド氏とのやり取りも印象的でしたが、引用記事に形容されている通り、


coquettish


なところのある役回りが多かったようです。

この"coquettish"については日本語でもカタカナで「コケティッシュな女」などというように形容詞で使われますが、(女性が)あだっぽい、とかなまめかしい、媚態のある、というような意味で主に使われます。

ところでこの"coquettish"はどういう由来の単語なのだろうかと興味をもって辞書を引いてみると、そのスペルから想像できるように、フランス語coq、つまり英語で"cock"と関係があるのですね。

ここで違和感を感じられることと思いますが、"cock"というのは雄鶏のことなのに、"coquettish"は女性のことを形容する表現であるということです。

実は"coquettish"の前に、"coquet"という単語があるのですが、その意味するところは雄鶏のcoqから連想されるように、女性に秋波を送る男性を指したものでした。

この後、"coquette"というスペルの単語も派生し、こちらは"coquet"の女性形として定着しました。

もうお分かりだと思いますが、"coquettish"は女性形としての"coquette"が形容詞化したもので、主に現代で"coquettish"は女性の媚態について用いられる表現となったわけです。

ちなみに名詞形である"coquetry"は男性、女性、両方について用いられるようです。(カタカナで「コケットリー」という場合は、主に女性を前提にしていると思われますが。)


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