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2020年6月15日月曜日

thuggery

アメリカ・ミネソタ州での警官による黒人男性の暴行死をきっかけに発生した抗議デモが世界にも飛び火していますが、イギリスの首都ロンドンではこの週末に人種差別に抗議するデモと極右団体が衝突する騒ぎになったようです。

ジョンソン首相は一連の騒ぎについて、ツイッターでの投稿で、


racist thuggery


と嘆きました。


United Kingdom Prime Minister Boris Johnson on Saturday decried "racist thuggery" after violent clashes broke out between far-right protestors and anti-racism demonstrators in London.

The violence took place amid escalating unrest in the U.S. and other parts of the world in wake of the death of George Floyd, a black man who died in police custody in Minneapolis. In response, protestors in the U.K. have targeted monuments of figures they've deemed symbols of racism in recent weeks.

(中略)

"Racist thuggery has no place on our streets," Johnson said on Twitter. "Anyone attacking the police will be met with full force of the law. These marches & protests have been subverted by violence and breach current guidelines."

"Racism has no part in the UK and we must work together to make that a reality," he added.
(Justin Wise. Boris Johnson decries 'racist thuggery' after London protests become violent. The Hill. June 14, 2020.)


この"thuggery"という単語は見慣れないものですが、"thug"(暴漢、殺し屋)という単語は目にしたことがあるのではないでしょうか。

"thuggery"、もしくは"thugee"という単語は、この"thug"から来ているもので、殺人者の行為、暴力行為、という意味で用いられます。

ところで、"thug"の語源をチェックしてみると、悪党や詐欺師を意味するヒンディー語から来ているということでした。(初出が1810年)

インド北部で、破壊の女神Deviを崇拝し旅人を殺害したりして略奪した盗賊団のことを、タグと呼んだそうです。(ランダムハウス英和辞書;ちなみに英単語“thug”の発音は、「タグ」というよりも、「サグ」に近いです。)

ここで改めて世界史の教科書や史料集を引っ張り出してきたのですが、19世紀前後というのは、英国やオランダ、フランスなど西欧諸国がこぞって東アジアに進出し、植民地化していった歴史があります。

イギリス東インド会社を設立した英国は、最終的にインドを統治下に置きましたが、インド国内にイギリス文化の影響を残す一方、ヒンディー語を含む現地の言葉が英語に及ぼした影響も少なからずあるようです。

恐らくは、イギリス人がインドの現地で「タグ」の被害にもあったことから英国人に恐れられたのではないかと・・・、これは全くの想像ですが、恐らくはヒンディー語から英語に輸入されたと思われる、"thug"という単語の語源に思いました。


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