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2020年6月1日月曜日

handiwork

ミネソタ州ミネアポリスで、Memorial Dayの祝日に、黒人男性が警官に拘束されてその後死亡するという事件が発生し、事件に抗議する暴動が発生しました。

暴動はミネソタ州に留まらず、全米各地へと飛び火し、警察車両や建物への放火、果ては近隣店舗での略奪まで発生し、留まることがないようです。各州では鎮圧のために州兵が動員され、トランプ大統領は、ワシントンD.C.でのデモが過激化する中、不測の事態に備えて、ホワイトハウスの地下シェルターに避難したとか。

ツイッターのタイムラインは各都市での惨状を撮影した動画や写真で溢れています。

事の次第は、アフリカ系アメリカ人のGeorge Floydさんは偽造紙幣を使おうとした嫌疑をかけられ、通報によって現場に駆け付けた警察官に拘束されましたが、その際に地面に押さえつけられ、首の部分を警官の膝で数分間に渡って圧迫されたことが原因で窒息死したと見られています。

週末、このニュースを知りましたが、必要限度を超えると思われる対応が疑われ、ひどい事件だと思いました。枚挙の暇のない、過去の同様の事例を思い起こすと、暴動の発生もむべなるかなと思われるのですが、果たして店舗の略奪行為までは正当化されるのか、はなはだ疑問です。


Rioters broke into the Minneapolis Police 3rd Precinct just after 10 p.m. Thursday night and set the building on fire. They tossed fireworks into the blaze. Chants of "George Floyd" and "I can't breathe" echoed from below the smoke and bright explosions while hundreds gathered to record the moment on their cellphones.

Gov. Tim Walz responded by calling in the largest national National Guard deployment in state history, the first of dozens of police escalations around the country responding to eruptions of outrage over the weekend after Floyd, an unarmed black man, died during an arrest by white police officers in Minneapolis on May 25.

By Saturday, local politicians were casting the chaos as the handiwork of outside agitators. Walz estimated that about 80% of those being destructive do not live in the state. The mayor of St. Paul, Melvin Carter, said every person arrested in the city Friday night was not a Minnesotan, a sentiment parroted by Minneapolis Mayor Jacob Frey.
(Officials blame 'out-of-state' agitators but those at the heart of protests are homegrown. USA Today. May 31, 2020.)


ミネソタ州のデモの暴徒化に関しては、その多くがミネアポリス市外からの参加者が認められ、直接事件に関わりのない人たち(すなわち「部外者」)と思われるという分析もあるようです。(引用したUSA Today紙の記事ではそれに対して否定的ですが。)

トランプ大統領はデモが過激化している背景にANTIFAと呼ばれる反ファシズム過激派や反白人至上主義者、極左集団の関与が疑われるとツイッターでコメントし、ANTIFAのテロ指定を検討しているそうです。

さて、本日の単語ですが、記事では、


the chaos as the handiwork of outside agitators


というくだりがあるのですが、この"handiwork"という単語が気になったので調べたという次第です。

辞書を引きますと、いくつかある意味のうち、「仕業」という日本語がぴったりくるようです。

"handiwork"、すなわち"hand"(手)による"work"(作ったもの、作品)ということで、手作り品、手工品という意味もあるのですが、「仕業」という場合、そこにはネガティヴな含みがあります。

“deed”や“act”といった一般的な単語を置いて、“handiwork”という単語は知らないと出てきません。

ところで、単純な疑問として、handy-workではなく、なぜhandi-work、なのかというのが気になりました。

ハンディワイパーとかハンディクリーナーではありませんが、カタカナの「ハンディ」からはhandy-のスペルが想起されます。(実際、国内で販売されているこれら商品には、「手軽さ」を意味するhandy-のスペルが使われています。)

ところが、語源欄を見てみますと、"handiwork"はhandi-(handy-)と-workに分割して解釈するものではなく、むしろhand-と-iworkと解釈すべきだということが分かり、びっくり。

"-iwork"って一体どういうこと?と思われるかもしれませんが、この-i-という一文字は古英語における過去分詞や集合名詞を作る働きをしているものだそうです。(ある意味接頭辞みたいなものでしょうか。)

この"-iwork"という部分は、古英語ではgeweorcという形だったそうで、ge-は集合名詞を形成する要素です。(過去分詞形ということでは、ドイツ語ではge-で始まる変化形が多くありますね。)

このge-は、その後中英語や近代英語ではa-や、i-、ei-、y-、などと形を変えて残っているそうです。(研究社新英和大辞典による。)


1 件のコメント:

  1. 蘭です。
    アメリカ国内の組織がテロ組織として指定されたことは今までありません。トランプ大統領は就任して以来、ずっと「アメリカ史上初の〇〇」を次へと次へやってきました。
    handとiworkという形で区切るのは驚きました。とても勉強になりました。ありがとうございます。

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