SNSで自身の自殺を生中継したアメリカ人の映像が拡散し、問題になっています。
その舞台となったフェースブックを始め、SNSサイトは映像の削除に努めていますが、TikTokなどの他SNSに次から次へと転載され、いたちごっこのようになっている模様です。
Graphic video of a US Army veteran’s suicide circulated on social media sites for days after the livestreamed death — showing how sites like Facebook are having trouble stopping such disturbing footage.
A distraught Ronnie McNutt, 33, fatally shot himself during a Facebook Live stream on Aug. 31, according to outlets including the Daily Star.
Facebook removed the original video on the day it was posted, but it has been repeatedly re-posted there and on other social media sites by internet trolls capitalizing on the shock value.
“We removed the original video from Facebook last month, on the day it was streamed, and have used automation technology to remove copies and uploads since that time,” Facebook said in a statement to outlets including the BBC.
(Aaron Feis. Facebook scramble to remove video of Ronnie McNutt suicide. New York Post. September 8, 2020.)
記事のくだりで、
but it has been repeatedly re-posted there and on other social media sites by internet trolls capitalizing on the shock value
という部分があります。
言わんとするところは分かるように思いますが、ここでの"shock value"という表現が気になったので取り上げました。
いわゆる「グロな」コンテンツというものは人に嫌悪感を催させるものですが、怖いもの見たさの興味や関心を引くことも確かで、ネット上はそのようなコンテンツに溢れています。
また、そのようなコンテンツをネットに投稿することでアクセス数を稼ぎ、ひいては収入につなげようという輩が後を絶たないのでしょう。
この"shock value"という表現ですが、手持ちの英和辞書には載っているものがありませんでしたが、Merriam-Websterでは、
usefulness to surprise and usually upset people
と定義されています。問題は何と訳すかでしょう。
"value"という単語からは価値、価格、値段、とか値打ち、という日本語がまず思い浮かびますが、「グロな」画像がそれを見る人にもたらすであろう"shock"(衝撃)が、直接的な価値や値段を持つということではないので、ここではしっくりこないように思われます。
むしろ、衝撃がもたらす効果のことを指していると言えるでしょう。
"shock value"の用例は意外にも少なくなく、様々なコンテクストで使われているようです。
例えば、以下のような用例はこの表現の意味するところを理解するのを助けてくれます。
Unfortunately, Kevin Williamson's ("Scream") drama focuses too much on shock value and not enough on content.
(Christian Science Monitor, 1998)
つまりは、本当に中身があるような価値ではなく、単なる受け狙い、効果を狙ったもの、といったところが含意されているのではないでしょうか。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿