当事者となったトルコ国籍の女性は有名なボディービルダーだそうですが、タンクトップとデニムのショートパンツ姿は鍛えられた肉体も露わな状況だったのでしょうか、他の乗客への配慮が必要という理由で搭乗を拒否されたというものです。
Another day, another woman reportedly removed from a flight because “families”. This time, it was Turkish influencer and bodybuilder Deniz Saypinar, who says she tried to board an American Airlines flight from Texas to Miami and was refused entry to the plane because her outfit — a brown tank top and a pair of denim shorts — was considered potentially offensive to the innocent eyes of Americans flying to a beach destination where literally everyone they see will be wearing a bikini. According to Saypinar, she was told by staff that she was basically “naked”.
(Holly Baxter. Another woman has been barred from a flight for looking too sexy because airlines don’t know their own policies. The Independent. July 12, 2021.)
引用したのはインディペンデント紙の記事からですが、事実ベースのニュース記事とはまた別に、この一件に関して評論している記事から引用しました。
その論調はというと、今回のAmerican Airlineの対応に批判的で、航空会社による「搭乗に不適切な着衣、装い」の定義に疑問を呈しています。
そもそもなぜ女性だけがそのような観点から吟味されなくてはならないのかという主張が展開されているのですが、そのような論調の中、下記のようなくだりがあります。
Needless to say, these issues are also a legal minefield for airlines. It’s well-established that women of color, especially Black women and girls, are often judged to be more mature and more sexual than their white counterparts. This racist “Jezebel stereotype” might easily inform any person’s judgment on the job, unwittingly or no.
(ibid.)
話が人種差別という点にまで及んでいるのですが、ここで使われている"Jezebel stereotype"という言葉に目が留まりました。
この"Jezebel stereotype"というのは、特に黒人の女性を生まれつきみだらである、好色である、また扇情的な存在として見る差別的な見方のことを指すものです。
ところで、英和辞典を引いてみると"Jezebel"とは聖書の列王記に出てくるイスラエル王の妻イゼベルのことで、破廉恥な女、性悪女として描かれているとのこと。
手元の旧約聖書を参照してみますと、列王記上16:31にイスラエル王アハブがイゼベル(Jezebel)を妻に迎えたとの記述がみえます。
続いて、同21:25ではイゼベルの性悪を示す所業が記述されているのですが、みだら、好色というのとは少し違うようでした。
さらに、列王記下9:30で出てきますが、先の所業の報いとして、主の預言通りの惨めな死を遂げます。
上述したように、英和辞典では列王記を典拠としているのですが、ふしだらな女の象徴としての意味の典拠は、どちらかと言えば、新約聖書のヨハネの黙示録2:20にあるようです。
しかし、あなたに対して言うべきことがある。あなたは、あのイゼベルという女のすることを大目に見ている。この女は、自ら預言者と称して、わたしの僕たちを教え、また惑わして、みだらなことをさせ、偶像に献げた肉を食べさせている。
(新共同訳)
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