先日ネット中継で柔道の試合を見ていましたら、画面に
repechage
という単語が使われているのに目が留まりました。
ご存知のように、準々決勝は"quarter-final"、準決勝は"semi-final"で、英語でも馴染みがありますが、"repechage"は知りませんでした。(ちなみに、予選は"heat"で表現されているようです。)
中継を視聴していて、この"repechage"とは「3位決定戦」、つまり銅メダルに輝く選手を決める試合のことを意味しているのであろうと解釈したのですが、その後、手元にある研究社の英和大辞典を引いてみると、「敗者復活戦」とありました。
そのスペルからフランス語のように思われたのですが、調べてみるとやはりその通りで、仏語辞書にも"repechage"のエントリがあります。
"repechage"はフランス語動詞repêcherから来ていますが、その意味は「再び釣り上げる、自ら引き上げる」というもので、動詞pêcher(魚を釣る)に接頭辞re-がついたものです。
(なお、ロワイヤル仏和中辞典で"repêcher"を引いてみると、「水に落ちた猫を助け上げる」なる例文が載っていました。)
そこから発展して、苦境から救い出す、落第生を救済する、そしてスポーツのコンテクストでは「(敗者に)復活の機会を与える」、という意味になったようです。
下記に引用する記事では銅メダル決定戦(the bronze medal repechage)とあります。
A day after taekwondo wunderkind Avishag Semberg won the bronze in the women’s -49kg category, the Jewish state’s first in the 2021 games, Israeli eyes turned to the dojo, where judoka Baruch Shmailov faced Brazil’s Daniel Cargnin in the bronze medal repechage of the men’s -66kg.
(Israel misses out on judo bronze as Tokyo Olympics day 2 brings mixed results. Times of Israel. July 25, 2021.)
"repechage"はそもそもボート競技において用いられる用語だったようです。
なお、フランス語由来の"repechage"という他、英単語の"consolation"も敗者復活戦の意味で用いられます。(「慰め」とは、また「釣り上げ」と違ったニュアンスではないかと思います。)
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