マサチューセッツ工科大(MIT)の研究者らが、乳幼児が近親者を認識するのには唾液が大きな役割を果たしているという、非常に興味深い研究成果を報告しています。
MIT neuroscientists have now identified a specific signal that young children and even babies use to determine whether two people have a strong relationship and a mutual obligation to help each other: whether those two people kiss, share food, or have other interactions that involve sharing saliva.
In a new study, the researchers showed that babies expect people who share saliva to come to one another’s aid when one person is in distress, much more so than when people share toys or interact in other ways that do not involve saliva exchange. The findings suggest that babies can use these cues to try to figure out who around them is most likely to offer help, the researchers say.
(Anne Trafton. Babies can tell who has close relationships based on one clue: saliva. MIT News. January 20, 2022.)
社会性や人間関係などの点で未熟であるはずの乳幼児が家族などの近親者とそうでない人を区別できるのは、近親者との触れ合いの中で共有する唾液(saliva)があるからだ、というものです。
なるほど、言われてみれば、家族という間柄においては、キスやハグをしたりするのは自然な行為ですし、食事や飲み物をシェアしたりということはありますから、意識することはありませんが、唾液を共有しているという事になるのかも知れません。(新型コロナウィルス感染症拡大防止のためにこれらの行為を控えることが声高に叫ばれる中ではありますが・・・。)
MITにおける実験では、乳幼児に対し、2人の人物と操り人形が登場する映像を見せ、2人のうちどちらを近親者と認識するか、という試行を行ったということです。うち、1人は人形と食べ物をシェアしますが、もう1人はおもちゃで人形と遊ぶだけです。
人形が泣き始めた時、乳幼児が目で追うのは食べ物をシェアした方の1人でした。表面的な関係(おもちゃ)と、より親密な関係(食べ物のシェア)を区別している、とされます。
ところで、記事に以下のようなくだりがあります。
In human societies, people typically distinguish between “thick” and “thin” relationships. Thick relationships, usually found between family members, feature strong levels of attachment, obligation, and mutual responsiveness. Anthropologists have also observed that people in thick relationships are more willing to share bodily fluids such as saliva.
(ibid.)
人間関係の親密さを表現する形容詞に、“thick”と“thin”が使われています。
“thick”は通常、厚さや濃さを表現するのに使われますが、今回のように人間関係について、親密である、とか、深い仲を表すのに用いられます。小説を読んでいて見かけたことがあります。
“thin”についてはどうでしょう?
こちらは、辞書には人間関係に関しての意味合いは見当たりませんが、“thick”の対義語となると、“thin”になるのは必定でしょうか。具体例として、今回の記事以外では見たことはありませんが。
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