最近30日間のアクセス数トップ3記事

2023年12月12日火曜日

prevail

ウクライナのゼレンスキー大統領が3度目の訪米と報じられています。

米国のウクライナ支援は予算が尽きかけており、米議会で追加予算承認のタイムリミットが迫っていると連日報道されているところです。支援を進めたいバイデン政権と消極的な共和党側で対立構図にあり、不法移民対策の強化とセットでの妥協点が模索されているようです。

支援が滞ることになれば戦況はウクライナにとって不利なものとなることは確実と見られており、ゼレンスキー大統領自ら支援を訴えることが訪問の目的です。


Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy will get one last chance to prevail on senators to cut a deal on funding Ukraine’s defense against Russia before the chamber is scheduled to go home for the holidays.

Zelenskyy is scheduled to address all senators at a Tuesday morning meeting, according to a Senate leadership aide. The Senate is struggling to finish a deal that would marry Ukraine funding with new border restrictions, and Zelenskyy’s address may help prevail on senators in both parties to finish the job.
(Zelenskyy gets one last chance to convince Senate to cut a deal. Politico. December 10, 2023.)


今日の1語は、"prevail"です。

この単語には勝つ、優勢である、広がっている、といった意味があることはご存知だと思います。

この"prevail"という単語を見ると思い出すフレーズがあります。


May peace prevail on earth.


読者のみなさんも一度は見たことがあるのでは!?

街中や公園などに立っている白いポールに黒字で書かれたメッセージです。「世界人類が平和でありますように。」という日本語が添えられています。英語を習い始めた中学生の頃、まだ"prevail"という単語を知らなかった私は、その意味を辞書で確認して、ポールの書かれたこの文言は平和(peace)が地球上に「あまねく行き渡る」("prevail")ということを祈願する文なのだ、と納得した記憶があります。

さて、引用した記事では、2箇所、"prevail"という表現が使われています。


Zelenskyy will get one last chance to prevail on senators to cut a deal on funding…

Zelenskyy’s address may help prevail on senators in both parties


大体意味するところは分かるのですが、ここでの"prevail"の意味は、「あまねく行き渡る」や「勝つ」ではちょっとうまくはまりません。辞書では語義として最後の方に載っていますが、


説き伏せる、納得させる


という意味です。

この意味で"prevail"が用いられる時、目的語には相手(人)を取り、前置詞としてon、uponが用いられます。

ゼレンスキー大統領はウクライナ支援に懐疑的な上院議員らを得心させるために米国を訪問したという訳です。

この意味合いにおいて、"prevail"は"persuade"の同義語ですが、American Heritage Dictionaryの解説には以下のようにあり、


One prevails on somebody who resists: "He had prevailed upon the king to spare them" (Daniel Defoe).


特に抵抗する相手、拒否姿勢の相手に対して「説き伏せる」というニュアンスがあります。

米国ではこれからクリスマス休暇を迎え、議員らも地元に帰ってしまうために、追加予算の承認に折り合いが付かなければ支援が途切れることは避けられないと報道されています。

ロシアの軍事侵攻で沢山の犠牲者が出、厳寒の中クリスマスも新年も無いに等しい人々が喘いでいる中、俺等はクリスマス休暇だから後は知らんとばかりに法案の審議を放棄する議員の輩には呆れます。

ゼレンスキー氏はこんな米国会議員らを"prevail"できるでしょうか?また、果たしてウクライナはロシアを斥けて、"prevail"できるのでしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿