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2024年11月7日木曜日

concede

アメリカ大統領選はトランプ元大統領とカマラ・ハリス副大統領の大接戦、支持率では僅差との大方の予想を覆し、トランプ氏が大勝しました。

開票結果が出揃うまでに数日を要するとの報道もありましたが、投票日の夜にはトランプ氏の圧倒的な得票数が明らかとなり、あっけなく結果が確定した格好です。

敗北を喫したハリス氏は母校の大学でスピーチを行い、負けを認めました。トランプ氏には電話で祝意を伝えたと報道されています。


WASHINGTON — Vice President Kamala Harris, in her first public comments since losing the 2024 White House race to former President Trump, urged supporters to "accept the results." 

But Harris on Wednesday afternoon emphasized that "while I concede this election, I do not concede the fight that fueled this campaign."
(Paul Steinhauser. Harris formally concedes one day after Trump's sweeping victory. Fox News. November 6, 2024.)


負けを認めるという英語表現には、


concede


という動詞が使われています。譲る、認容するという意味のラテン語cedoから来ている単語です。

辞書を引いてみると、"concede"に続けてthat節が来るパターンでは、that節の内容を真実、あるいは正当なものとして認める、是認する、という意味合いで用いられます。

また、含意としては、渋々、嫌々ながら、という含みがあります。

興味深いのは、このthat節の用法とはまた別に、


concede an election


という用例が載っており(ランダムハウス英和辞書)、選挙での敗北を認める、とあることです。

これは直接目的語を取るパターンということになりますが、


concede an election (to someone)
concede a victory (to one’s opponent)


のように、負けた相手についてto以下で示し、対象を譲る、相手に与える、という意味合いから来ています。また、最終結果を待たずに、という含みがあります。

そして、"concede"の名詞形である"concession"はやはり譲歩、容認という意味ですが、"concession speech"は敗戦の弁を述べることを指し、上で引用したハリス氏のスピーチというのはまさにそれに当たります。


Harris, in her concession speech on Wednesday, appeared to paint a contrast with Trump.
(ibid.)


余談ですが、日比谷公園に"concessions"という看板を掲げた小屋のような建物があります。



飲み物などを売っている「売店」なのですが、営業許可、販売権を意味する"concession"のことで、"concession stand"というのが売店を指すそうです。


2024年11月6日水曜日

phone bank

アメリカ大統領選投票日の様子を伝える記事の中で、ハリス候補がワシントンD.C.の"phone bank"をサプライズ訪問、という記事を見かけました。

ハリス氏は"phone bank"にて民主党関係者らの歓待を受け、自ら有権者に電話をかけるというパフォーマンスで盛り上がったとか。(これが見せかけでフェイクだというのが以下引用する記事なのですが・・・。)

ところでここでいう"phone bank"が具体的に何を指すのか、どういう場所なのか分からず、今日の1語になりました。


Kamala Harris made calls to voters at a phone bank in Washington, D.C., just hours before the polls closed. However, when she turned the phone towards the camera, the screen displayed only the camera app, with no active call shown. The clip went viral, with MAGA supporters calling her "​fake." However, many defended her, explaining that iPhones can run the camera app while on a call.
(Khushi Patel. Did Kamala Harris Accidentally Reveal 'Fake Call' On Camera? DC Phone Bank Video Sparks Debate. Times Now News. November 5, 2024.)


"phone bank"は銀行(bank)なのでしょうか、あるいは?と考えましたが、電話の銀行なんてイメージが湧きませんし、選挙の立候補者が銀行を訪れるというのも変な話です。

テレフォンバンキング(電話でできる銀行取引)というのがありますが、これもおかしい。

辞書にも見当たらないようなのですが、検索すると、


telephone bank
in American English
an array of telephones used in large-scale telephoning operations, as for a political campaign
(Collins Dictionary)


とあり、このことだと分かります。

つまり沢山の電話機を設置している場所のことで、コールセンターとか、有権者に電話をかけて投票をお願いする選挙対策本部のような場所を指すものです。

ハリス氏が訪れた"phone bank"とは恐らく後者を意味するのだと思われます。

"bank"という単語には、同種のものが一連となって列をなしている状態を指す意味があり、"phone bank"という表現の"bank"はこの意味かと思います。



2024年11月5日火曜日

F around and find out.

今日は11月5日火曜日、スーパーチューズデー、アメリカ大統領選はいよいよ投開票日を迎えました。米国時間はこれから11月5日朝になるところですから、期日前投票をしなかった人達は起床して投票所へ赴くのでしょう。

関連ニュースを斜め読みしていますと、首都ワシントンD.C.などでは、政府関連施設にフェンスやバリケードが設置され、街の店舗では窓ガラスにベニヤ板を貼り付けて対策するなど、厳戒態勢の様子です。

4年前、暴徒化したトランプ元大統領支持者らが引き起こした議事堂襲撃事件も記憶に新しいですが、何が起こるか分からないということなのでしょう。

以下引用する記事ですが、激戦州のひとつであり、最も多い選挙人数が割り当てられるペンシルベニア州フィラデルフィアでは、地方検事が投票所に赴く有権者の安全確保に関する声明を発表したとあります。


Philadelphia District Attorney Larry Krasner issued a warning to anyone who might think about interfering in Election Day activities.

During a press conference on Monday, Krasner highlighted voter protection efforts made by the election task force on the eve of Election Day.

"We are here on a very important day before a very important election. We are here more than anything to speak about protection of an election, making sure that the election that will occur tomorrow will be free. It will be fair, and it will be final," Krasner said.

(中略)

"I also want to be clear. Anybody who thinks it's time to play militia, F around and find out," Krasner said. "Anybody who thinks it's time to insult, to mistreat, to threaten people, F around and find out."
(Stepheny Price. Philly DA warns ‘anybody who thinks it’s time to play militia’ on Election Day: ‘F around and find out’. Fox News. November 4, 2024.)


曰く、大統領選挙という重要なイベントにおいて投票者の安全確保が使命であるとしています。至極当然ではあるのですが、民主主義、自由主義国家において選挙に暴力や社会不安が付きまとうというのは異常で深刻な事態ではないでしょうか。

直接の背景かどうかは分かりませんが、トランプ陣営は早くも選挙不正が発生しているとの主張を展開しているらしく、先鋭化した支持者が暴徒化する危険性が高まっているのかも知れません。

発言の中に以下のようなくだりがあり、おや、と思いました。


Anybody who thinks it's time to play militia, F around and find out,


"F around and find out"とはどういう意味でしょうか?難しい単語は使われていませんが、特に、"F"とは何なのか、初めて見る者としては誤植かとも思われました。すぐ続いてまた同じフレーズが出てきます。


Anybody who thinks it's time to insult, to mistreat, to threaten people, F around and find out.


従って、これは誤植ではなくて、"F around and find out"というのは何か特殊な言い回しだということになりそうです。

しかし、当然と言いますか、辞書には載っておらず、ネット検索しますと、"F"というのはどうやら"f---"のこと、つまり4文字のあの卑俗語を指しているらしいことが分かります。

で、このフレーズの意味合いは


To experience the negative consequences of engaging in a risky course of action. 
(Wiktionary)


というものであると分かりました。

コンテクストが警告であることからお分かりのように、良くないことをしでかそうと考える輩はよくよく考えて行動しないと困ったことになりますよ、というような意味合いで使われるようです。

このフレーズを約めて、FAFO、あるいはFAAFOとすることもあるようです。

由来ははっきりとしないようです。米国の政治的コンテクストで使われたことからSNSなどを通じて拡まったようですが、インフォーマルな表現であることは確かのようです。



2024年11月4日月曜日

Pride comes before a fall.

今日は文化の日の振替休日ですが、取り上げるネタに難渋しました。

ニュース記事を斜め読みしてネタを探しますが、大統領選の結果予想の記事もやや食傷気味。

こういう時はニュース記事からは一旦離れて、過日気になった表現をメモしておいたストックから探すということになります。

今日取り上げるフレーズは、


Pride comes before a fall.


というものですが、直訳すると没落の前にはプライドが現れる、というものです。

つまり、プライドが前面に出てくるようになるとその人の凋落も近い、ということなんですが、これは戒めの諺と捉えるべきフレーズでしょう。


Prince Harry has suffered a humiliating climbdown, with a royal commentator claiming that "pride comes before a fall".
(GB News. November 20, 2023.)


ところでこのフレーズの由来は旧約聖書の「箴言」なのだそうです。


痛手に先立つのは驕り。
つまずきに先立つのは高慢な霊。
(「箴言」16:18;新共同訳)


聖書の英語訳(ウィクショナリー)では以下のような英語になっています。


Pride goes before destruction,
and a haughty spirit before a fall.


日本語ですと、おごるれものは久しからず、など、人口に膾炙した言い回しが相当しますね。

2024年11月1日金曜日

fodder

ウクライナに侵略戦争を仕掛けているロシア軍に、北朝鮮が派兵しているという報道が先日あり、やはり事実として数千名の北朝鮮兵が対ウクライナの前線へ送られているらしいと言われています。

ロシアと北朝鮮がタッグを組むという、何とも不気味な構図ですが、誰もこれを停めることができないという事実に平和や国際秩序が危機に晒されていることをひしひしと感じます。

一方、昨日見かけたニュースでは、既に前線では北朝鮮兵士の戦死者が出ているという報道もありました。

また、以下引用する記事は、北朝鮮兵はロシアに使い捨てにされる運命にある、という韓国国連大使の談話を取り上げています。


North Korean troops headed to fight in Ukraine will "end up as mere cannon fodder," Joonkook Hwang, the South Korean ambassador to the UN, said on Wednesday.

Hwang was speaking at a UN Security Council briefing in New York on the Russian invasion of Ukraine when he referenced North Korea's involvement in the conflict.

North Korea is believed to have sent thousands of troops to aid Russia in its war against Ukraine, per officials from South Korea, Ukraine, and the US.

"As legitimate military targets, they will end up as mere cannon fodder, while the wages they are supposed to receive from Russia will end up squarely in Kim Jong-un's pocket," Hwang said of the Russia-bound North Korean troops.
(Kwan Wei Kevin Tan. North Korean troops will become 'cannon fodder' if they join Russia's war against Ukraine, South Korea says. Business Insider. October 31, 2024.)


「使い捨て」、記事中は、


cannon fodder


とある部分が相当します。

"fodder"とは家畜の飼料という意味ですが、語源は食料(food)です。大量消費されるべく、かき集められるものという意味から、さらに安価に調達できる、使い捨て、というニュアンスが付け加わりました。

"cannon fodder"という表現は、


大砲(cannon)の餌食になるだけの雑兵
(研究社新英和大辞典)


という意味です。

以前取り上げた、"gossip fodder"もご覧下さい。