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2020年8月10日月曜日

スプーンの比喩 ー stick spoon in

夏本番、お盆休みはいかがお過ごしでしょうか。

先日ヘッドラインを斜め読みしていましたら、正しいお茶の入れ方、みたいな記事が目に留まりました。

日本の茶道ではありませんけれども、英国式の喫茶にも伝統やマナーみたいなものが厳然としてあるというのは聞いたことがあります。

記事で話題にしているのは、お湯をどのように沸かすか、という問題です。


(CNN) An American woman's TikTok guide to making hot tea that went viral in June had Brits tut-tutting in horror over their morning cuppa -- largely because of the controversial use of a microwave rather than a kettle to heat water.

The spat over the best way to brew tea boiled over into a transatlantic incident, with both the UK and US ambassadors sticking their spoon in and the British military summoned to explain the "correct" technique.

Now scientists have waded into the debate, apparently confirming what many Brits have known instinctively for years -- water heated in a microwave just isn't the same.
(Katie Hunt. The correct way to make tea? Science weighs in on microwaving vs. kettle. CNN. August 4, 2020.)


引用したのは記事の冒頭部分ですが、お湯の話題だけに色々と表現が工夫されており、しゃれが利いていますね。

結論としては、電子レンジでお湯を沸かすのと、やかんをつかうのとではお湯の質が異なる、ということのようで、直感的に確かにそのような気もするのですが、科学的にも説明がつくらしいです。

ところで今日取り上げようと思っている表現は、


with both the UK and US ambassadors sticking their spoon in


というくだりの、”stick(ing) spoon in”という表現です。

先程、しゃれが利いていると書きましたが、お茶の入れ方を話題にした記事だけに、


議論が「沸騰」(”The spat over the best way to brew tea boiled over into a transatlantic incident”)


とか、ある中、“stick one’s spoon in”も同様の意図があってここで使われているのだろうと直感的に想像しましたが、辞書にそのようなフレーズは載っていません。

色々な辞書に当たり、またネットで検索などもしてみましたが、記事のコンテクストに沿うようなフレーズとしては見つけられませんでした。

その代わり、と言いますか、スプーンじゃないのなら、フォークはどうだ、ナイフは?と調べて行くと、


stick one’s knife in


というフレーズがあり、


If someone puts the knife in or stick the knife in, they deliberately do or say things which will upset another person or cause problems for them
(Collins Cobuild Dictionary of Idioms)


という意味でした。

なるほど、記事のコンテクストにも合うように思われますが、記事のライターは“knife”を敢えて“spoon”に変えてしゃれを利かせたかったのでしょうか。

という顛末で、正しい表現(!?)としては、“stick one’s knife in”ということになるのですが、「スプーン」(spoon)を使った比喩的表現に色々興味深いものがあることが今回の記事をきっかけとして分かったことから、今週はスプーンの表現を取り上げてみたいと思います。


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