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2021年3月9日火曜日

"Women belong in the kitchen."に見る"belong"の意味合い ― belong

日本でもフランチャイズ展開する人気のハンバーガーチェーンのバーガーキング(Burger King)がSNSで炎上しています。

問題になっているのはイギリスのバーガーキング(Burger King UK)の公式ツイッターです。

"Women belong in the kitchen."というツイートが多くのユーザーから反発をくらいました。


Burger King's attempt to highlight gender disparity in the restaurant industry with a provocative tweet appears to have backfired.

On Monday, which is also International Women's Day, the Twitter account for Burger King UK tweeted "Women belong in the kitchen."

In a series of subsequent threaded tweets, the fast food giant pointed out the lack of female chefs in the restaurant business.

"If they want to, of course," reads a follow-up from Burger King UK. "Yet only 20% of chefs are women. We're on a mission to change the gender ratio in the restaurant industry by empowering female employees with the opportunity to pursue a culinary career."

The chain then highlighted its new scholarship program for female employees to "pursue their culinary dreams!"
(Brett Molina. Burger King UK under fire for tweeting 'Women belong in the kitchen' on International Women's Day. USA Today. March 8, 2021.)


問題になったツイートは既に削除されているようですが、この、


Women belong in the kitchen.


という短い文を最初に見た時にまず思ったのが、"belong (in)"を何と訳すか、ということでした。

"belong"という単語は中学生で習う基本単語でしょうか。既に遠い記憶ですが、私も昔、"belong"は自動詞であり、"belong to~"という表現を習い、~に属する、所属する、~の一員である、という日本語訳を暗記したのが染みついています。

問題のツイートでは、"belong to"ではなく、"belong in"です。

ランダムハウス英和辞書を引いてみますと、


一員としてふさわしい、資格がある
あるべき(ふさわしい)場所にある、


と載っています。

解説では、

to は単に所属関係をいうが、in は所属関係に加えてその場所がその人にふさわしいという意を含む

ともあります。(なお、中学性の娘が持っているジュニア・アンカー英和辞典(学研)を見てみたところ、このような意味合いは載っておらず、"belong to~"の「所属する」の意味合いのみです。)

日本語に訳すならば、「女性にはキッチンがお似合いだ」、「女性はキッチンにいるのが相応しい」、などとなるでしょうか。女性をステレオタイプ化した、やや差別的な表現に聞こえなくもないですね。

Burger King UKの主張は、プロのシェフに占める女性の割合が低い現状(イギリス国内では20%にとどまるそうです)を打開すべく、奨学制度を設けることにあったとのことです。

しかしながら、"Women belong in the kitchen."というしょっぱなのツイートには、多くのユーザーが眉を顰め、批判の声が殺到しました。

この表現が誤解を与えかねないとの予見があったのかどうか分かりませんが、短いフレーズでまずはインパクトを与える意図があったものと思われます。しかし、そのようなやり方に対しても、いわゆる“clickbait”との謗りを免れません。

よりによって、International Women's Dayのその日に女性蔑視と受け取られるツイートで炎上してしまったのは皮肉というよりほかありません。

ツイートは削除されましたが、このフレーズを使った新聞の全面広告も打っており、発行され既に流通してしまったものについてはどうしようもありません。



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