新型コロナウィルスの感染は、デルタ株による感染拡大により、通常必要な2回の接種に加えて、3回目の追加接種(いわゆるbooster shots)が必要との言われています。
しかしながら、先進国でワクチン接種が進む一方、途上国などでは接種率は低く、先進国による追加接種はさらにこの格差を助長するとの懸念があります。
世界保健機関(WHO)は、アメリカなどに対し、追加接種を見合わせるよう呼び掛けています。
「追加接種の見合わせ」、「一時停止」、などと報道されていますが、英語の表現には、
moratorium
という単語が使われています。
The World Health Organization is calling for a moratorium on booster shots until at least the end of September, WHO Director-General Tedros Adhanom Ghebreyesus said during a news briefing in Geneva on Wednesday.
"WHO is calling for a moratorium on boosters until at least the end of September to enable at least 10% of the population of every country to be vaccinated. To make that happen, we need everyone's cooperation, especially the handful of countries and companies that control the global supply of vaccines," he said.
(Naomi Thomas. WHO calls for a moratorium on booster shots until at least the end of September. CNN. August 4, 2021.)
"moratorium"は何故か日本語でも「モラトリアム」というカタカナで流布していますが、今ひとつその意味が理解できていないという人は多いかもしれません。
かく言う私も、「モラトリアム」という言葉を聞くと「支払い猶予」という訳をすぐに思い浮かべるのですが、それと同時に、かつて流行語にもなった「モラトリアム人間」を思い出します。
英単語の"moratorium"は確かに「支払い猶予(期間)」の意味がありますが、これは、
a legally authorized period of delay in the performance of a legal obligation or the payment of a debt
(Merriam-Webster Dictionary)
という定義にあたるもので、借金の返済義務を法的に免除する一定の期間のことです。
これとは別に「一時停止」の意味合いがある訳ですが、これは"moratorium"の語源がラテン語で遅滞や休止を意味する名詞moraにあることによります。
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