米国では今秋11月に予定されている中間選挙の予備選挙(primaryと呼ばれています)が各州で行われていますが、中でも最も注目されていたワイオミング州での予備選挙が先日開票されました。
注目されていたのは、共和党のチェイニー氏とヘイグマン候補の争いで、2021年1月に起きた議事堂襲撃事件をきっかけに反トランプを旗幟鮮明に打ち出したチェイニー氏に対して、トランプ氏が刺客として対抗馬に立てたヘイグマン氏、という構図でした。
結果として、ヘイグマン氏が大差の得票数で勝利し、チェイニー氏は負けを認めましたが、トランプ氏を阻止すべく、大統領選への参戦を検討しているとも報じられています。
Defeated Wyoming Rep. Liz Cheney confirmed Wednesday that she is “thinking about” running for the White House to keep her nemesis, former President Donald Trump, “out of the Oval Office.”
“It is something that I am thinking about and I’ll make a decision in the coming months,” the 56-year-old daughter of former Vice President Dick Cheney told NBC News’ “Today” show.
“I will be doing whatever it takes to keep Donald Trump out of the Oval Office.”
(Lee Brown. Rep. Liz Cheney considering presidential run after losing Wyoming GOP primary. New York Post. August 17, 2022.)
チェイニー氏は、元副大統領のDick Cheney氏を父に持つ、政治家としては言わば名門の出とされる立場ですが、共和党の地盤でRed Stateとも呼ばれるワイオミング州でトランプ氏を敵に回した状況では苦しい立場での戦いだったようです。
チェイニー氏にとって、トランプ氏は、
nemesis
とされています。
Nemesisというのは、ギリシャ神話に出てくる応報天罰の神(女神)です。
不正を働く人間に対しては必ず罰を与えるというNemesisの名前は、正義の象徴であり、一般名詞化して、懲罰を加える人という意味で使われるのは納得です。
しかしながら、どういう訳か、
勝てない相手、ライバル
という意味で用いられるようになり、引用した記事の文脈ではこの意味が相当します。仇敵という日本語がぴったりでしょう。
"nemesis"が仇敵の意味を持つに至った経緯はよくわからないのですが、因果応報を受ける立場の者にとっては、その罰を回避することも出来ず、どうしようもない、敵わない、ということからこのような意味が生まれたのだろうかと思ったりします。
チェイニー氏にとってトランプ氏が"nemesis"だとすれば、大統領選でも結局勝てないのでは、と思ったりします。
0 件のコメント:
コメントを投稿