かねてトラス氏の優勢が報じられていましたので特に驚きはありませんが、リーダーとしてはこの6年間で4人目と聞くと、他所ごとながら、今度は果たしてどれくらい持つのかなという気もします。
インフレ対策やイギリス国内で高騰する光熱費への対処など、課題は山積しているからです。
Double-digit inflation, a looming recession, labor unrest, soaring household energy bills and possible fuel shortages this winter — all will confront Ms. Truss as she moves into 10 Downing Street. She also must repair a party deeply divided after Mr. Johnson’s turbulent three-year tenure, which peaked in 2019 with a landslide general election victory but descended into unrelenting scandals after that.
In a businesslike speech to a party gathering after her victory was announced, Ms. Truss promised a “bold plan” to lower taxes and bolster the economy, adding: “We will deliver, we will deliver and we will deliver.”
(Liz Truss to Replace Boris Johnson as Prime Minister. New York Times. September 5, 2022.)
トラス氏は物価高対策を急務とし、税負担軽減を公約に掲げました。党首選勝利後のコメントでは、大胆な計画(bold plan)を実行すると約束し、
We will deliver.
と、言ったそうです。(三度に渡って強調したところに決意が表れているというところでしょうか。)
この、"deliver"という動詞については以前、"deliver on"というフレーズを取り上げたことがあるのですが、
期待にそむかない;(約束・誓いなどを)立派に果たす
(研究社新英和大辞典)
という意味です。
今日改めて取り上げようと思ったのは、"deliver"という単語の語源についてです。
ラテン語deliberareから来ているのですが、その意味は、自由にする(to liberate)、というものです。また、ラテン語liberは、拘束されない、自由な、という意味の形容詞であり、英語ではliberalやlibertyといった単語につながっています。
従って、"deliver"という動詞にも、救い出すという意味が残っています。また、児を出産するという意味の"deliver"も同様です。
一方、カタカナのデリバリーという言葉に見られる、配達、送達(する)という意味があります。また、(身柄などを)引き渡す、明け渡す、といった意味は、自由にする(to liberate)という本来の意味とは相反していますが、約束を果たすという意味はここから発展したものだろうと思われます。
"deliverable"というのは、引き渡しが可能な、という意味ですが、ビジネスの用語としてはほとんど名詞化して、最終成果物、納品物、を意味することが多いです。こちらも約束を果たす、という意味から来ているのでしょう。
トラス新首相は果たしてイギリス国民の声に応えることができるのか?
"We will deliver, …"の行方が注目されます。
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