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2024年3月7日木曜日

enshrine

女性の中絶の権利を巡っては、米国においては国を二分する問題となっていますが、フランスにおいては、中絶の権利が憲法で認められることになったと先日報じられました。


France made history on Monday as the first country in the world to enshrine the right to abortion in its constitution.

In a special session held at the Palace of Versailles, parliament passed the bill, which had already been adopted by the National Assembly in January and the Senate on Wednesday, with an overwhelming vote of 780-72. Parliament had to put a final stamp of approval at the joint session on Monday for it to officially go into effect, reported AP.

The amendment to Article 34 of the French Constitution states that “the law determines the conditions by which is exercised the freedom of women to have recourse to an abortion, which is guaranteed.” Abortion has been legal in France since 1975 and is overwhelmingly supported by the French population, according to polls.
(Mary Walrath-Holdridge. France becomes only country to enshrine the right to abortion in its constitution. USA Today. March 4, 2024.)


記事のタイトルに、


France becomes only country to enshrine the right to abortion in its constitution


とありますように、憲法で中絶の権利を認めるのは世界で初めてということです。

そして、このタイトル、また記事中で使われている、


enshrine


という動詞を取り上げたいと思います。

単語のスペルからお分かりのように、"shrine"、即ち神社という単語に接頭辞en-が付いたものとなっており、動詞としての意味は、


宮に納める、祭る
(研究社新英和大辞典)


というものです。

が、ここでの意味合いは、


明文化する、明記する


というものであり、国内でも、女性の中絶の権利が世界で初めて憲法に明文化された、と報道されています。

研究社新英和大辞典はこのような意味を載せていませんが、ランダムハウス英和辞書には載っていました。

ところで、"shrine"という単語はラテン語scriniumに遡るとされ、その意味は文庫、本や書類を入れる箱、というものです。

そこから、"shrine"とは聖人などの遺物、また遺骨などを大切に保管する場所、つまり聖廟や神社を指す言葉になったとされます。

さて、"enshrine"という動詞に戻りますと、やはり"shrine"ですから、聖なるものとして厳かに取り扱うというニュアンスがあるかと思います。

憲法の内容を軽々しく変更したりはしませんから、"enshrine"(明文化)される対象にはそれなりの重みがあることが前提となっていると思われます。

コーパスで検索してみると、


enshrined in the constitution
enshrined in legislation


等の用例が見られますが、


*enshrined in the contract
*enshrined in the document


などとは言わないようです。つまり、それなりの格がある文書でないと使えないようです。

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