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2014年7月21日月曜日

あるブロードウェイ女優の死 ― mortal coil

とあるブロードウェイ女優の訃報を伝える記事に目が留まりました。


Broadway lost one of its strongest, saltiest and most enduring voices Thursday when Elaine Stritch – actress, singer, long-legged and sharp-tongued force of nature – shook off her mortal coil, at 89.
(Elysa Gardner. Elaine Stritch, inimitable stage star, dead at 89. USA Today. July 17, 2014.)


(shook off) her mortal coil


という表現は初めて見るものでしたが、コンテクストから“死”を意味するのは明らかです。

辞書を引くと、"coil"のエントリーに、


混乱、騒ぎ;面倒、この世の煩わしさ


という意味があります。この"coil"は、コイル(銅線巻き)や輪の意味の"coil"とは別の単語です。

死をこの世の煩わしさとの決別と捉えるならば、まさに"shake off"です。

ところで、大き目の辞書ではこの表現がシェークスピアの「ハムレット」で用いられていることを示しています。お手持ちの辞書でも恐らく、


shuffle off this mortal coil


と用例の引用があるのではないでしょうか。

「ハムレット」の文庫本が手元にあったので久しぶりに手に取って見ました。第3幕1場、あの有名な"To be or not to be..."の台詞に続く部分です。

Shakespeare's Words - A Glossary & Language Companion (David Crystal & Ben Crystal, Penguin)によると、同様の表現は「から騒ぎ」(Much Ado About Nothing)、「テンペスト」(The Tempest)など他の作品にも見られるそうです。


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