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2015年1月30日金曜日

divide one's time

高度情報化社会、という表現は陳腐化したようにも思いますがクレジットカードの使用履歴から個人が特定可能、と言われると情報化社会というのを実感します。

最近の研究によれば、クレジットカードの使用履歴4件足らずで個人を特定することができるそうです。


Just four bits of information gleaned from a shopper's credit card can be used to identify almost anyone, researchers have found.

The study in the journal Science analysed three months of credit card records for 1.1m people in an unidentified industrialised country.

Ninety percent of individuals could be uniquely identified using just four pieces of information, such as where they bought coffee one day or where they purchased a new jumper or pair of shoes.
(You can be identified from just four purchases on your credit card bill, study finds. Daily Telegraph. January 29, 2015.)


女性の方が男性よりも特定が容易なのだそうです。また、高所得者もより特定しやすいというくだりがあり、以下に引用します。


"Women are more re-identifiable than men in credit card metadata," it added.

People with higher incomes were also easier to identify, perhaps because they "have distinctive patterns in how they divide their time between the shops they visit," added the study.
(ibid.)


ここで、


divide their time


という表現に目が留まりました。私にとって、ちょっと見慣れない表現でした。高所得者が特定されやすい理由として、


patterns in how they divide their time between the shops they visit


とあります。この"divide their time"をどう訳したものでしょうか。

敢えて言うまでもなく、"divide"には分ける、分割する、という意味がありますので上記で言わんとするところも分からないこともないのですが、クレジットカードの使用履歴というコンテクストから解釈しようとするとよく分かりません。時間を分割する、というのがどうもしっくりきません。

ランダムハウス英和で"divide"を引いてみましたが、それらしき説明を見つけることができません。恐らく、"divide one's time"は慣用句的な表現であろうと考え、コーパスで調べてみるとやはり多くの用例を確認することができました。枚挙に暇がありませんが、


...divides his time among teaching, research, and...
...divided his time among Toronto, Paris, Cairo and Dubai...
...dividing his time between homes in London and New York...


などといった用例を見ると、少しずつ納得感が出てきました。そしてこのフレーズは、


divide one's time between
divide one's time among


というパターンで、"among"、あるいは"between"以下には場所、地名、職業などが来ることが多いということも分かりました。

つまり、日本語で言うと、場所に関して言えば“往復する”、という意味になるかと思います。職業に関していえば、“掛け持ち”といったところでしょうか。

英語では時間(time)という概念が出ているものの、日本語では空間の概念が出ていると言えます。"divide"という動詞から“往復”という日本語はなかなか出てこないのではないでしょうか。

カード使用履歴の話に戻ると、高所得者が特定されやすいのは、お店の訪問のパターンが(低所得者や普通の人と比較して)際立って異なっている、ということがある、ということでしょう。


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