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2023年6月23日金曜日

obscenely

1912年に沈没したタイタニック号の残骸を見るツアーと称した潜水艇が出発後に連絡が取れなくなり、米、カナダ両国をまたがっての懸命の捜索が行われていましたが、タイタニック号から少し離れた海域で残骸が発見され、乗員1名、乗客4名の5名全員が死亡という最悪の結果となりました。

ここ数日、潜水艇の捜索に関する記事が常にトップニュースに出てきていたので目を通していたのですが、潜水艇を運営する会社のCEOが、潜水艇の安全性について問題がない旨の発言をしていたという記事が印象に残っていました。

数日前の記事ですが、以下引用します。


As a huge search and rescue operation continues for a missing submersible in the Atlantic one thing has become apparent, that the vessel was not as “obscenely safe” as the company’s CEO had promised.

Stockton Rush, founder of Titanic exploration company OceanGate, is one of the five people on board the Titan, which disappeared while heading to the wreckage on Monday.

Titan has allegedly not been approved or certified by any regulatory body and didn’t require its passengers to have any diving experience, despite OceanGate offering the activity on its eight day voyages.
(Rebecca Borg. ‘Obscenely safe’: OceanGate CEO’s chilling interview. News.com.au. June 21, 2023.)


引っかかったのは、


obscenely safe


という表現です。

潜水艇が安全だ、と言っているのは分かるのですが、"obscenely"という修飾語が引っかかります。

"obscene"という単語はご存知のように、猥褻な、とか卑猥な、という意味です。そのような表現が何故、安全(safe)という言葉を修飾するのに使われるのか、意味を掴めずにいました。

潜水艇運営会社のCEOの発言ですので、一般的な用法ではないかもしれません。

他記事でも発言が引用符付きで取り上げられています。


The founder of the company behind the Titan submersible previously described his industry as "obscenely safe" and complained that passenger-vessel regulations held back innovation.
(Mia Jankowicz. The maker of the lost Titan submersible previously complained about strict passenger-vessel regulations, saying the industry was 'obscenely safe'. Insider. June 20, 2023.)


ところで、Merriam-Webster Dictionaryでは、"obscene"の定義に、


so excessive as to be offensive


というものがあり、例として、


obscene wealth
obscene waste


などを挙げています。

これは、猥褻、卑猥、といった"obscene"の意味からは離れて、単に強調のために用いられていると考えられます。

"obscene"が意味する猥雑性といったものは人に嫌悪を催させるものですが、人に嫌気を起こさせるくらいの、という強意表現なのだと思われます。

それにしても、嫌になるくらい、もしくは嫌悪を催すくらいに安全である("obscenely safe")とは、一体どういうことでしょうか?

実のところ、最初に引用した記事と2番目に引用した記事とでは、微妙にコンテクストが異なっており、2番目の"obscenely safe"は、潜水艇に要求される安全性の業界水準についてコメントしているものです。つまり、その水準に対応しなければならない人が嫌気を起こすくらいに(高い安全性の要求基準)、ということと思われます。

こうした"obscenely"の用法、つまり強意表現としての用法がどれくらい定着しているのか、コーパスを検索してみますと、多くの用例がヒットしました。

"obscene"を猥褻という概念だけで捉えていると戸惑う表現とも言えます。



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