先月27日、メリーランド州ボルティモアの鉄橋が貨物船の衝突により崩落した事故で、貨物船の会社がその責任を問われているというニュース記事からの引用です。
The city of Baltimore said the owners of the Dali cargo ship should be held accountable in last month’s crash and subsequent collapse of the Francis Scott Key Bridge, according to a new court filing. The crash left six people who were working on the bridge at the time of the collapse dead.
In court papers filed on Monday, Baltimore is accusing parent company, Grace Ocean Private Ltd., of gross and potentially criminal negligence when it put an "unseaworthy vessel" into the water on March 26, just moments before it crashed into a structure supporting the bridge and causing it to topple, ABC News reported.
(Lawrence Richard. Baltimore says who should be held responsible for Francis Scott Key Bridge collapse in new filing. Fox News. April 23, 2024.)
鉄橋の修復等にかかる賠償請求は数十億ドルとも言われているようですが、船の運航会社は賠償金の減免を要求しているようです。
事故の原因は100パーセント会社側にあるというのがボルティモア市側の見解ですが、その過失について、
it put an "unseaworthy vessel" into the water on March 26
と書かれたくだりがあります。
この、"unseaworthy"という表現はコンテクストから意味するところはだいたい想像がつきますが、初めて見るものです。ちょっと変わった表現だと思いませんか?
辞書にはちゃんと"unseaworthy"のエントリがあって、
(船舶が)航行に適さない、耐航性(耐波性)のない
と載っています。
つまり、海上を航行させるのに相応しくない船舶(unseaworthy vessel)を運航させたことを過失であるとしている訳です。
この"unseaworthy"という単語を分析すると、"seaworthy"という単語に否定の接頭辞un-が付いたものと解釈できます。果たして"seaworthy"という単語も存在し、その意味は、航海に適した、安全航行が可能な、というものなのでした。
さて、辞書には類似の表現として、"airworthy"なる単語を挙げており、こちらは航空機が航空飛行に適している、という意味です。
ところで、こうした単語の、-worthyという接尾辞は、
〜に適している
という意味を持つものであることが、これまた辞書に乗っています。
-worthyという単語で比較的馴染みがあるのは、
trustworthy
newsworthy
blameworthy
などではないでしょうか。
これらの-worthyは、〜に値する、という意味を持つもので、今日取り上げた"unseaworthy"の-worthyとは意味が異なっていることに注目して下さい。
今回の事故で崩落した鉄橋、Francis Scott Key Bridgeはボルティモア湾にかかる長さ約2.6キロの橋ですが、Francis Scott Keyという人物はアメリカ国歌(「星条旗」)の歌詞を書いた人なんだそうです。
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