米国における2024年最大のトピックは11月に行われる予定の大統領選挙ですが、トランプ対バイデンという構図がほぼ確実視される中、諸外国の反応も喧しくなってきました。
日本では「もしトラ」などと言われていますが、トランプ氏が再び大統領になることがあったらどんな(困った)ことになるかというような想定が飛び交っています。
ところで、ポリティコ紙は最近のニュースレターで、中国はバイデン氏続投よりもトランプ氏の返り咲きを望んでいるとの分析を載せたそうなのですが、かつて中国に対して厳しい姿勢で対峙してきたトランプ氏を敢えて望むというのはやや直感に反する分析のように思われますね。
トランプ陣営はポリティコ紙の報道を、"false reporting"と批判し、さらに、
a harebrained assertion
であるとこき下ろしたということです。
The Trump campaign issued a blistering response to Politico's "false reporting" that China would prefer former President Trump back in the White House come November and is even aiding those efforts.
"In Politico’s Nightly newsletter, Catherine Kim makes a harebrained assertion that China would prefer President Trump to return to the White House," Trump campaign communications director Steven Cheung said in a statement released Wednesday evening.
(Emma Colton. Trump campaign rips Politico for 'harebrained assertion' that China prefers him over Biden. Fox News. April 4, 2024.)
ということで、今日の1語は"harebrained"なんですが、辞書には、
移り気な、気まぐれな、うわついた、軽はずみの(flighty, reckless);馬鹿な(foolish)
(研究社新英和大辞典)
とあります。
ポリティコ紙の記事を読んでいませんが、上記引用の記事を読む限り、中国がバイデン氏よりもトランプ氏を望んでいるというのはあり得そうにないと思われるところ、仮にトランプ政権が誕生した場合に中国の有利に働く可能性(つまりこれが中国にとっての「もしトラ」という訳ですが)について触れ、ひいてはそれが米国の不利益につながる、という巧みな論理展開をしているのかも知れません。もしかして、印象操作?
トランプ陣営がこのような「印象操作」を批判して、そのような言説を展開する専門家を"harebrained"とこき下ろしている、という文脈かと。
ところで、"harebrained"という単語について、そのまま読むと、"hare"(ウサギ)の脳、ということで、ウサギが賢いのかそうでないのかよく知りませんけれども(以前取り上げた"birdbrain(ed)"もご覧下さい)、臆病だとは聞いたことがあり、"harebrained"の意味もそのようなウサギの性格から来ているという解説があります。
一方、American Heritage Dictionaryの解説では、"harebrained"は元、
hairbrained
だと言っています。つまり、"hair"(髪の毛)ということですが、これは"hair"が"hare"を意味する異綴りであったことによるらしいのですが、"hairbrained"というスペルから、ウサギの脳みそ、ではなく、髪の毛ほどの脳みそ、というのがこの語の成り立ちであると考える人もあり、「ウサギの脳みそ」なのか、「髪の毛ほどの脳みそ」なのか、分からなくなっているということです。
多くの辞書で"hairbrained"のエントリもありますが、"harebrained"を参照せよという記載になっています。
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