昨日も取り上げましたが、ワクチン接種義務化の是非はアメリカ国内で沸騰している話題のひとつです。
アメリカが先行しているだけに、日本でもいずれこのような議論になるのか・・・、と考えると少し不安にもなります。
今日取り上げる記事は企業におけるワクチン接種義務化を巡っての問題ですが、航空会社ではパイロットを始めとする従業員を対象として、ワクチン接種を義務化する動きがあります。
大手のユナイテッド航空がその一例として取り上げられているものです。
United Airlines announced Tuesday that only 593 of its workers face dismissal for not complying with the requirement to get a Covid-19 vaccine. That is less than 1% of its 67,000 US workers who are covered by the rule.
(中略)
The major unions at United have not fought the airline's vaccine mandate. But Tuesday the pilots unions representing pilots at American and Southwest voiced objections to federal rules they fear could require vaccine for their members.
(中略)
So far the other major US airlines — American Airlines (AAL), Delta (DAL) and Southwest (LUV) — do not have a mandate, although Delta has told employees they'll have to pay more for health insurance if they are not vaccinated.
Both the American and Southwest pilots unions have been voicing displeasure with work conditions at the airlines in recent months for issues that have nothing to do with vaccines. Both unions have announced plans to hold informational pickets of the airlines later this year, though in neither case would they engage in a work stoppage.
(Chris Isidore. Almost all United employees complied with the vaccine mandate. CNN. September 29, 2021.)
ユナイテッド航空において、ワクチン接種義務を不服として解雇になった従業員は約600名で、全従業員に占める割合は1%、その他については、健康上の理由や宗教上の理由による例外を除いて、大半が義務化を受け入れているとのことです。
アメリカでは、バイデン政権の政策として、100人以上の従業員を擁する企業は感染拡大防止のためにワクチン接種、もしくは週毎の検査を義務付けるということになっています。
ユナイテッド航空は、より厳しい方の措置、つまりワクチン義務化に踏み切ったという訳です。
ところでこのような事態において、労働組合が黙っている訳がありません。引用部分の後段では、
unions have announced plans to hold informational pickets of the airlines later this year
とありますが、パイロットが置かれている労働環境を巡って、"informational pickets"が予定されているとのことです。
この"informational pickets"とは何を指すのでしょうか。
まずは「ピケ」という言葉をご存知でしょうか?
労働者がストライキに際して「ピケを張る」などと言います。
この「ピケ」というのはフランス語piquetから来ていますが、原義は突き刺すという意味で、地面に刺す杭のことです。英語で"picket"と綴ります。
そもそもが軍事の用語で、敵の襲来を察知するために前線に立たせる前哨隊のことを指していました。
ストライキのコンテクストでは、職場の入口でストライキの大義名分を掲げる組合員のことを指すのに用いられるようになったようです。
この「ピケ」の要員はストライキを実行するために、他の労働者が職場に入ることを阻止することも目的とします。経験した訳でもありませんが、労使交渉に当たっては実力行使的な側面も出てくるということです。
そのような"picket"に"informational"という修飾語がついているものですが、Merriam-Webster Dictionaryによると、
picketing by a labor union for the purpose of informing the public about a matter of concern to the union
と定義されており、要は労働組合側が問題視していることを当事者以外にも分かるように掲示することを目的とするものである、ということになります。
引用部分の続く箇所で、実際に労働停止(ストライキ)するものではない、とあることからも分かるように、「実力行使」というよりももう少し穏やかな内容のものである、ということです。
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