米・イリノイ州にあるLincoln Collegeが157年という長い歴史に幕を下ろすそうです。
記事見出しによりますと、ランサムウェアによる被害が原因で大学運営が立ち行かなくなったことが原因とあります。
サイバー攻撃が原因で大学が潰れるとは驚きを禁じ得ません。
Lincoln College says it will close this week in the wake of a ransomware attack that took months to resolve. While the impact of COVID-19 severely impacted activities such as recruitment and fundraising, the cyberattack seems to have been the tipping point for the Illinois institution.
(中略)
Barring a last-minute respite, the one-two punch of the pandemic and a cyberattack have brought an end to a 157-year-old institution.
(Kris Holt. A US college is shutting down for good following a ransomware attack. Engadget. May 9, 2022.)
記事本文、また他紙の報道も読んでみますと、パンデミックの影響で入学者数減少などによって経営が圧迫される要因があったところ、昨年12月に起きたランサムウェア被害が決定的な打撃を与えた模様です。
今日取り上げるのは、"tipping point"という表現なのですが、
the cyberattack seems to have been the tipping point for the Illinois institution
というくだりで用いられています。
上記では「決定的な打撃」と書きましたが、"tipping point"とは、
the critical point in a situation, process, or system beyond which a significant and often unstoppable effect or change takes place
(Merriam-Webster Dictionary)
と定義され、物事の局面が変わるポイント、というような意味合いです。
"tip"という動詞は傾く、傾ぐ、ひっくり返る(返す)、という意味ですが、"tipping point"はある出来事が対象をひっくり返してしまうほどの影響力を及ぼす点、ということになります。
ところで、Merriam-Websterオンラインで定義をチェックしておりましたら、"tipping point"という表現の意外なルーツを解説しているものがありました。
それによりますと、1950年代に現れたこの表現は、米国社会において住民に占める黒人の割合が一定レベルを超えることを意味するのに使われたのが最初だそうです。
白人は生活圏に黒人の割合が増加することを忌避し、"tipping point"を超えると郊外へと居住地を移す"white flight"と呼ばれる現象が見られます。
人種差別的な背景を持った表現だとはつゆ知らず、ある意味で新しい発見でした。
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