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2022年6月8日水曜日

「〜はマスト」 ー de rigueur

パンデミックにより一部の労働者においては定着した感のあるリモートワークですが、オフィス回帰を促す経営層との意識差については先日の投稿でも見てきた通りです。

労使間関係のダイナミズムはマーケットの状況、即ち市場に人材が溢れているのか、それとも足らないのかに左右されるものですが、今日ではどちらかと言えば企業が必要とする人材が不足している傾向のようです。従って、経営側は労働者確保のためには、リモートワークというオプションはある意味必須条件ともなりつつある、というのが以下に引用する記事の主旨です。


However flawed, remote work arrangements have become a linchpin of a COVID-era labor market defined by high employee turnover.

For many knowledge workers in an economy with more open jobs than workers to fill them, WFH is more de rigueur than ever before.

Even when they've done it unenthusiastically, more employers have embraced flexible work-from-home arrangements.
(Javier E David. Remote work may not be working any more. Axios. June 5, 2022.)


WFH is more de rigueur than ever before


という部分に着目しましょう。

イタリックにしましたが、最初読んだ時はすんなりと頭に入って来ず、スペルミスかと思いました。

この表現を知りませんでしたが、"de rigueur"でひとかたまり、よく見ればフランス語のスペルのようです。

実際、"de rigueur"はフランス語であり、"rigueur"は英単語では"rigor"に相当します。

お手持ちの辞書にもきっと載っていると思いますが、意味は、


礼式上必要である


というもので、この表現が用いられるのは主としてドレスコードなどを記載する場合です。

それは例えば、会食等において出席者はスーツ、ネクタイ着用が必須、といった具合のドレスコードのことであり、フランス語では"costume de rigueur"と呼ばれます。

この"de rigueur"という表現がフランス語のスペルそのままで英語に入ってきたようですが、上記の引用例に見られるように、コンテクストはドレスコードに限らず、現代風に言えば、「〜はマスト」(必須である)という時のフレーズとして広く用いられるようになりました。

コーパスでいくつか用例を拾ってみました。


Suits are back, hemlines are longer, button-down shirts are de rigueur.
(Harper's Bazaar, 2012)

Blockers that sort out spam e-mails have become de rigueur.
(ABA Journal, 2004)


スペルのみならず、発音がややこしそうです。rigueurに見られるフランス語特有のスペル、-eurはamateurやentrepreneurといった単語にも見られるものです。

実際、これらの単語もそのまま英単語になっていますから、"de rigueur"を会話の中で使ってみるというチャレンジをしても良いかも!?



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