最近ラテン語の勉強を再開しました。あらゆる品詞が複雑に格変化することは元より、名詞の性(男性、女性、中性)を覚えなくてはならないのが大変です。
初歩の教科書では、語尾が-aで終わる第一変化名詞からスタートしますが、例外を除いては女性名詞である、と解説されています。
そんな勉強をしているので、同じくラテン語系の言語であるスペイン語においても、名詞に同じような性質があることは理解できます。
ところが、最近、"Latinx"という単語が取り沙汰されているということを知りました。主に書き言葉で使われるようですが、発音は語尾の-xを「エクス」と発音し、敢えてカタカナにすれば「ラティネクス」のようになるそうです。
"Latinx"というのは、"Latino"でもなく、また"Latina"でもない、つまり男性、女性を区別しない、故に差別的でない表現なのだということらしいです。
Far-left Rep. Alexandria Ocasio-Cortez defended using the word “Latinx” to describe Hispanic men and women over the weekend and slammed her Democratic colleagues who she said “rail against” it — despite polling data indicating most Hispanics don’t use the term or virulently object to it.
(Callie Patteson. AOC calls out Dems who won’t say ‘Latinx’ — despite backlash to term. New York Post. June 6, 2022.)
"Latinx"と表現する他、"Latine"という言い方も同様です。
スペイン語の名詞において、語尾が-oとなるのは男性、-aは女性という規則性があるところ、これらの語尾を-x、もしくは-eで置き換えたのが"Latinx"であり、"Latine"ということなのです。
Ocasio-Cortez went on to claim that while “Latinx” is more convenient in written form, another gender-neutral term, “Latine,” is a better alternative when speaking. She also suggested both terms are comparable to the Spanish word “nosotres,” which translates to a gender-neutral “us” or “we.”
(ibid.)
多様な性自認に寛容であろうとする現代において、言語や言葉遣いに性差別的なものを見ようとする動きが顕著になっています。
一方で、こういう傾向に異を唱える人もいます。
"Latinx"という言葉について、そもそもスペイン語を母語とする当事者が好ましいとは思っておらず、性自認に寛容であろうとする一部の活動家などが推進しているに過ぎない、という意見です。
It soon became clear it was no joke. Latinx was becoming an official term on elite college campuses, popular among academics, progressives, young activists and LGBTQ groups who wanted gender-neutral terminology. (In Spanish words ending in “O” are masculine and those ending in “a” are feminine. When referring to a mixed-gender group, the plural word ends in the masculine “O,” so substituting that letter for “X” avoids preferencing the men.)
(Luisita Lopez Torregrosa. Many Latinos say 'Latinx' offends or bothers them. Here's why. NBC News. December 14, 2021.)
性自認に寛容であることは決して悪いこととは思わないものの、行き過ぎると言葉狩りのようにも感じられるということでしょう。
同じように取り沙汰されてきた単語を、当ブログでは過去にも取り上げてきました。振り返ってみます。
外国語の文法の教科書は書き換えを迫られるのでしょうか。
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