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2020年7月8日水曜日

false complacency

昨日と同じ話題になりますが、アメリカにおける新型コロナウィルス感染症の拡大状況を受けて、大統領と専門家の見方の違いが鮮明となっています。

トランプ大統領が、米国内での死亡率が低いことを挙げてコロナウィルス対策の成果を強調する一方、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所長のFauci氏はトランプ氏の見方について、


false complacency


だと切って捨てました。


Anthony Fauci, the nation’s top infectious disease expert, warned Tuesday the U.S. should not fall into “false complacency” because COVID-19 death rates have dropped, noting the virus can cause other severe health outcomes.

“It’s a false narrative to take comfort in a lower rate of death,” Fauci said Tuesday during a livestreamed press conference hosted by Sen. Doug Jones (D-Ala.)

“There's so many other things that are very dangerous and bad about this virus, don't get yourself into a false complacency,” he added.
(Jessie Helmann. Fauci warns against 'false complacency' on COVID-19. The Hill. July 7, 2020.)


この"false complacency"という表現は、何というか、面白い表現です。というのは、"complacency"は自己満足、とか自惚れ、独りよがり、といった意味で、そもそも個人の気持ちとか主観のことを言う表現だと思うのですが、それに"false"(誤った、間違いの)という形容をしているからです。

自身の気持ちや主観に対して、それが間違っているとか言われる筋合いは無い!と反論してしまいそうです。

しかしながら、死亡率が低いのだからアメリカ政府のコロナ対策は間違っていない、というトランプ氏の"complacency"は、大統領という公人の発言として見たときには、やはり"false"と言わざるを得ないのでしょう。

死亡率は確かに指標の一つであり、それが低い傾向を示しているという事実はあるようですが、新型コロナウィルス感染症拡大の遅行指標(a lagging indicator)でしかない、というのが専門家の見方のようです。

つまり、死亡率に先立つ、感染状況の増加に対処しなければ意味が無い、ということです。


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