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2023年5月30日火曜日

Panglossian

人工知能(AI)に関する話題がこのところ沸騰しています。先日広島で開催されたG7において生成AIに関する規制やルールが議論された他、新聞やメディア上では、人間が行っている仕事の過半はAIに取って代わられるとか、専門家がAIによってもたらされるベネフィットとリスクを論じています。

以下の記事を読んでみましょう。


Gradually and then suddenly, technologies driven by artificial intelligence (AI) are taking hold in major economies. Predictions of the impact of AI range from the Panglossian — an era of rising productivity leading to higher living standards — to the dire, the end of human civilisation. Even if humanity is safe for now, the ranks of white-collar professionals, some experts say, could be decimated by the extensive use of AI.
(ET Conversations with OpenAI CEO Sam Altman: Rebooting the future with AI. The Economic Times. May 19, 2023.)


記事中、


Panglossian


という見慣れない単語が出てきます。実際初めて見る単語だったのですが、文脈は、


Predictions of the impact of AI range from the Panglossian… to the dire


ということであり、"Panglossian"は"dire"(悲惨な、恐ろしい、ひどい)の対局にある概念と想像がつきます。

辞書を引けば、"Panglossian"とは、


極端に楽観的な


という意味であると分かります。

語源解説に目を向けると、この単語はフランスの詩人VoltaireによるCandideという作品の登場人物である、Dr. Panglossに因むとあります。

作品を読んだことはありませんが、Merriam-Websterの解説によれば、Dr. Panglossは言ってみれば筋金入りの楽天主義家で、どんな災厄に見舞われようとも、この世が最善の世界であるという主張を貫いたとあります。

また、"Panglossian"、"Dr. Pangloss"という名前は、ギリシャ語の接頭辞pan-と、舌を意味するglossaを組み合わせたものであり、饒舌、多弁を意味します。楽観主義者はよく喋るということでしょうか。

因みにVoltaire作品に刺激を受けた音楽家、レナード・バーンスタインが作曲したミュージカル「キャンディード」はご存知の方も多いかと思います。

その序曲は昔からお気に入りの曲でしたが、こんなきっかけで再開するとは・・・。



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