この数週間における米国内のトップニュースの1つに、未成年者の売春に関与した容疑で訴追されたJeffrey Epstein氏に関する記事があります。
ニューヨークの拘置所に拘留されていたところ死んでいるのが見つかり、自殺したという報道でまたしてもトップニュースの扱いになりました。
Epstein氏は金融界に幅をきかせた大富豪だったそうで、トランプ大統領やクリントン氏、さらには英王室ともコネクションがあったとされ、謀殺説が上がっているのです。
同氏が自ら命を絶ったのか、あるいは他殺されたのか、検死の行方が注目されているところ、今日は以下のような記事が目に留まりました。
Wealthy financier Jeffrey Epstein had broken bones in his neck, an autopsy found, raising further questions about the accused child sex trafficker’s death last weekend while he was held in a Manhattan jail.
Epstein’s demise on Saturday in the federal lockup was originally suspected of being the result of suicide by hanging.
But it remains under investigation by the FBI and the Office of the Inspector General of the Justice Department. And the New York City medical examiner’s office has yet to rule on the cause and manner of the death of the former friend of Presidents Donald Trump and Bill Clinton after performing his autopsy.
(Jeffrey Epstein had broken neck bones — raising questions about the accused sex trafficker’s cause of death. CNBC. August 16, 2019.)
関係者の話によるとですが、死亡したEpstein氏は首の骨を損傷していることが検死により分かったそうです。
首吊り自殺でも首の骨を損傷することはあるだろうと思われますので、"raising further questions~"というのは何を言わんとしているのか気になり、読み進めます。
NBC News medical expert Dr. John Torres said that a broken hyoid “can happen in both strangulation and hanging, but occurs in more often in strangulations.”
Torres noted that studies have found that a broken hyoid occurs in about 1 out of every 3 strangulations, and in 25% of hangings.
New York City’s chief medical examiner, Dr. Barbara Sampson, in a statement to CNBC, said, “In all forensic investigations, all information must be synthesized to determine the cause and manner of death.”
“Everything must be consistent; no single finding can be evaluated in a vacuum,” said Sampson, who noted that the determination of what led to Epstein’s death is pending further study.
(ibid.)
損傷していたのは、解剖学的にはhyoid(舌骨)ということなのですが、専門家によれば首吊り(hanging)よりも絞扼(strangulation)により発生する確率が高いとのことです。
つまり、他殺説を裏付ける可能性が出てきたということで、先の"raising further questions~"の言わんとするところが分かりました。
ところで今日取り上げたい表現は、この後に続く検死担当のドクターのコメントにある、
no single finding can be evaluated in a vacuum
という部分の、"in a vacuum"というフレーズです。
直前のコメントに、
all information must be synthesized to determine the cause and manner of death
とあることから想像がつくように、他殺説を疑わせる検死結果が出たものの、それを決定付けるまでのものではないというのが検死担当の判断と思われます。
それに続けてのコメントですから、舌骨の損傷という一件を以て(他殺であると)結論づけることはできない、というのが趣旨と解釈されます。
この"in a vacuum"というフレーズは、
separated from outside events or influences
(Merriam-Webster Dictionary)
という定義がされていますが、外部からの影響から隔絶された状態で、とか単独で、という意味です。
"vacuum"という単語の意味について以前にもこちらで取り上げていますので、併せてお読みください。
2019年8月16日金曜日
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