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2023年8月24日木曜日

take your ball and go home

パンデミックの終焉に合わせるように、リモートワークからオフィス回帰(RTO)への動きが大手企業を中心に拡がりました。

リモートワークのベネフィットを享受していた従業員側の反発を受け、最低週3日(あるいは2日)はオフィス勤務、それ以外はリモートワークを認める、といった運用が多くの企業で採用され、それがスタンダードになるかとも思われましたが、今日読んだ記事によると週5日のオフィス勤務、つまり週休2日制前提とすると、リモートワークは一切無し、という動きが一部あるようです。


Goldman Sachs just upped the ante on the remote work reckoning.

The company is asking workers to come back to the office five days a week, according to a Bloomberg report. This is a much stricter policy than many other corporations, who have asked employees to return for at least two to three days a week.

And Goldman's move to raise the stakes on RTO could spur others to do the same.

"It's time to face reality. We're getting back to five days a week, because that's the reality. That's what we saw before COVID and that's what we're currently seeing," said Jason Greer, the founder and president of Greer Consulting, on CNBC Wednesday.
(Cadie Thompson. Goldman just threw down the gauntlet in the remote work reckoning. Your company could follow its lead. Business Insider. August 23, 2023.)


完全オフィス勤務へと先頭を切るのは金融大手のゴールドマン・サックスですが、予想される従業員の反発も物ともせず強行できるのは、会社側が余程優位にあるものと思われます。

記事でコンサルタントのコメントが引用されていますが、これが新しい現実だ、ということのようですね。そして以下のように続きます。


"Companies are coming from the perspective of this… If I pay you every two weeks to come into the office, you come into the office and if you don't like it, take your ball and go somewhere else because there are thousands of employees looking to get your position," Greer said.
(ibid.)


ここで、


if you don't like it, take your ball and go somewhere else 


というフレーズが出てきます。

初めて見る表現だったのですが、文脈から意味合いは想像ついたものの、こんな表現があったのかと気になって調べてみました。

辞書には載っていないようなのですが、ネットで検索してみるとこのフレーズは、


take one’s ball and go home


というもので、一種の慣用句として定着していると分かりました。

記事では命令形で出てくるのですが、このフレーズの成り立ちは、


I take my ball and go home


という能動形の発話文にあるようです。

いくつか拾い読みしたところでは、ここでの"ball"とは、野球のボールでもサッカーボールでも何でもいいのですが、子供達がボールで遊んでいるところ、自分の思い通りに事がいかない1人が癇癪を起こして・・・、という状況をイメージすると分かりやすい、ということです。

遊んでいるボールを持って来たのが癇癪を起こした1人だった、というケースです。「面白くないからもう辞めた、帰る。」

子供時代にそんなこともあったなぁと思い出しますが、その1人がボールを持って帰ってしまえば、そこで遊び(ゲーム)は終わり、残された子供は他のことをして遊ぶしかありません。

よって、


take one’s ball and go home


とは、集団の中で自分が思うように行かないからと途中で投げ出して家に帰る行為を言ったもので、行為者に対する蔑みみたいなものが込められています。

そしてこれが記事中のコメントのように命令形で用いられると、そのニュアンスはどうなるでしょうか。

前後の文脈と相俟って、相手の子供っぽさやひ弱さを仄めかしているのは明らかです。

この会社の場合、代わりはいくらでも居る、「嫌なら辞めていいよ」、というのがピッタリで、やはり会社優位ということでしょう。


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