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2026年10月7日水曜日

Eighth Amendment

テネシー州で31年前の殺人事件の被告として死刑判決を受けていた女性の死刑が執行されましたが、薬物投与による死刑執行が失敗したとのニュースを読みました。女性は1週間ほど意識不明の状態が続き生命が危ぶまれていましたが、その後意識を回復し会話ができるようにまでなったと報じられています。こうした事例は前代未聞です。


NASHVILLE, Tenn. (WSMV) - Christa Pike is “conscious, speaking, and continues to receive critical medical care” nearly a week after her botched execution, her attorneys said on Tuesday.

Pike, who is convicted for the 1995 torture and murder of Colleen Slemmer, was supposed to be executed via lethal injection in Tennessee last Wednesday. However, after receiving two doses of what should have been lethal amounts of pentobarbital, she survived.

(中略)

Whether the state can proceed with another execution attempt remains to be seen.

“Given what we know now, how she responds to lethal injection, and given what happened to her, Christa Pike’s lawyers have a pretty good argument that it would be a violation of the Eighth Amendment to execute her using [lethal injection],” Vanderbilt Law School professor Christopher Slobogin told WSMV4.
(Li Cohen. Christa Pike ‘conscious, speaking’ nearly a week after botched execution: ‘Her recovery is medically unprecedented’. WSMV4. October 7, 2026.)


失敗した死刑執行は再開されるのか?つまり2回目の死刑執行を行うことは許容されるのか、という問いが持ち上がっています。

これに対しては、被告の弁護士は再度の死刑執行は残酷であり、終身刑への減刑が妥当だとの主張をしていると別記事でも報じられています。

"Eighth Amendment"、これは合衆国憲法修正第8条というものですが、過剰な処罰、特に死刑に関しては残酷な刑を禁じています。"Eighth Amendment"の内容は以下のようなものです。


Excessive bail shall not be required, nor excessive fines imposed, nor cruel and unusual punishments inflicted.


合衆国憲法修正についてはこれまでも取り上げてきました。First, Second, Fourth, Fifthをどうぞ。


2026年10月6日火曜日

fog line

交通事故のニュース記事からの引用です。カリフォルニア州マリブで、停車中の乗用車にSUVが衝突し、乗用車に乗車していた男性が死亡したというものです。


A longtime chef for the famous Japanese restaurant chain Nobu was killed over the weekend in Malibu, California, when a teen driver crashed into his parked vehicle, where he was sleeping while waiting for his shift to start.

(中略)

The California Post reported that the teen driving the Range Rover in Uchimiya’s case on Saturday veered across the road’s fog line, which separates the traffic lane from the shoulder – and hit the chef’s car.
(Edward Helmore. Nobu chef killed by teen driver who crashed into his parked car in Malibu. The Guardian. October 5, 2026.)


事故原因については、衝突したSUVがスピード超過していた上に、


veered across the road’s fog line


と説明されています。"fog line"という表現を知りませんでした。続く部分には道路と路肩(shoulder)を隔てる線であるとの説明があることから、これは日本では路側帯、あるいは車道外側線と呼ばれるものに相当するものだと思われます。つまり、道路端の路側帯に寄せて停車していたところにスピード超過のSUVが突っ込んだということです。

車道端の路側帯を示すライン(または車道外側線)をアメリカでは"fog line"と呼ぶということを学びました。その命名は霧が発生した時に車道の端をドライバーに分かるように示すことが目的なのだそうです。

事故現場となったハイウェイはマリブの海岸線沿いの道路で事故が多いことで有名だということです。

亡くなったのは現地で人気の日本食レストランの日本人シェフだということです。ご冥福をお祈りします。


2026年10月5日月曜日

goober

ルイジアナ州選出の上院議員ジョン・ケネディ氏(74歳)が2028年の大統領選への出馬を検討しているというニュース記事からの引用です。


WASHINGTON — Verbal sharpshooter Sen. John Kennedy kept the door open to a 2028 presidential run and defended Sen. Tom Cotton from President Trump’s wrath over his blocking of the Sunshine Protection Act.

“My plans right now are to run for re-election, but as I’ve said before, if I don’t think I can be effective in the Senate anymore, I would consider it,” the 74-year-old told NBC’s “Meet the Press” on Sunday.

“I haven’t made a decision. If a bunch of, on my side of the aisle, if a bunch of goobers run, and I think they’re goobers, and one of the goobers might win, and I think I could do a better job, I would consider running.”
(Ryan King. Sen. Kennedy floats 2028 prez bid if ‘a bunch of goobers run’ — as he goes after Trump. October 4, 2026.)


次期大統領選を巡ってはまだ不透明なところが多いですが、前回の大統領選でトランプ氏に破れたカマラ・ハリス氏や、ニューサム加州知事などの有力候補の名前が取り沙汰されています。

ケネディ氏はこうした人達よりも自分の方が大統領職に相応しいと自信満々のようです。発言に出てくるのは、


goobers


という見慣れない単語ですが、間抜けという意味で使われるようです。

"goober"とはアメリカ南部方言でピーナッツのことだそうで、これはアフリカのバンツー語n-gubaから来ているそうです。

ピーナッツが間抜けの意味になるのはよく分かりませんね。

ちょうどこの時期、落花生の収穫シーズンですが、週末は生落花生を買い求め、茹でたのを美味しくいだだいたところです。

2026年10月2日金曜日

pinky-swear

人間がAI(人工知能)を制御できなくなる危険性に対してトランプ大統領は否定的で、AI開発を遅らせるのはバカげていると言っています。

そのトランプ氏はAIという名称が良くないと言い、SI (Super Intelligence ) と改称すると宣言しましたが、グーグルやメタ、アンソロピックなどAI関連企業のトップをホワイトハウスに招き、AI(SI!?)開発において各社が内部統制を強化するとの内容で合意したと報じられています。

各社のCEOらが合意、署名した共同声明のような文書が公開されています。その文書中、トランプ氏の署名欄では、"President of the United States"が、"President of the Unites States"になっており、スペルミスだとこれまた揶揄されています。

それはさておき、ホワイトハウス主導による今回の合意宣言についての記事から引用です。


ON TUESDAY, EXECUTIVES for Google, Anthropic, Meta, OpenAI, xAI, and Nvidia all signed “The White House Accord on Super Intelligence,” which was announced following a luncheon held by President Donald Trump.

The effort was an act of “tremendous self-regulation,” as Trump put it, but the agreement is not the sweeping AI regulation that people inside the companies themselves have been asking for. And while failing to honor these public commitments could count as illegally lying to consumers, even that wouldn’t be enough to trigger massive reforms.
(Maddy Varner. Trump’s AI Safety ‘Accord’ Is a Fancy Pinky-Swear. Wired. September 30, 2026.)


AIの安全性に関する合意宣言は"AI Safety Accord"とあるのですが、記事のタイトルには、


pinky-swear


と表現されています。

"pinky"については以前取り上げたことがありますが、これは小指のことです。そして"swear"とは宣誓のことで、つまり小指での宣誓ということになります。"pinky promise"とも表現されることがありますが、小指による約束は日本語でいう「指切りげんまん」に当たるものです。

この「指切りげんまん」は日本だけの風習と思いきや、アメリカや諸外国にもあるものなんですね。"pinky-swear"、"pinky promise"いずれも辞書には見当たりませんが、「指切り」は子どものやる事、子どもの間での約束事というイメージがありますね。

AIの安全性に各社が責任を持つという今回の合意宣言を"pinky-swear"だというのは、それが子どもの約束事みたいだ、と揶揄しているように感じられますね。

「指切りげんまん」の「げんまん」とはゲンコツ万回、約束を破ったら拳固で1万回殴るということで、「針千本飲ます」と合わせて約束破りは許さないという、ある意味脅しですが、AIの安全性を担うトップ企業の責任は重大と考えられるところ、ゲンコツ万回や針千本では済まない話だろうと思われます。

2026年10月1日木曜日

badonk

クマの話です。アメリカではFat Bear Weekという毎年のイベントでクマの人気投票が行われているそうです。その人気投票で「89 Backpack」という名前のクマが16頭の候補の中から一番人気に選出されたというニュース記事からの引用です。


A brown bear known as 89 Backpack has won the annual Fat Bear Week competition, after what the US National Parks Service described as a "battle of size, skill, snack acquisition, and strategic loafing".

Backpack's wideness narrowly defeated a bear known only as 910, earning 103,344 votes to 910's 98,253 in the final round of the competition, which is run by the Katmai National Park in Alaska.

The National Parks Service thanked the 16 bears who "involuntarily participated" in the competition, now in its thirteenth year.

Backpack, who was described by one supporter as having both the "chonk and the badonk", will shortly enter hibernation, which can last up to six months.
(Helen Sullivan. 'Backpack' declared Alaska's Fat Bear Week winner. BBC News. September 30, 2026.)


日本ではクマの市街地の出没が相次ぎ、最近は少し収まっているようですが、クマに対して忌避感が拭えないところがあろうかと思います。

一番人気の「89 Backpack」については、


the "chonk and the badonk"


がその人気の理由とあります。"chonk"という単語には丸々と太った体形というよいな意味があります。一方の"badonk"ですが、こちらは辞書に載っておらず、意味の手掛かりがありませんが、"chonk"と"badonk"とが韻を踏んでいるようにも感じられます。

ネットで検索すると"badonk"にはやはり丸々と肥えたお尻を指す意味なのだそうです。特に女性のそれを指すらしく、やや性的な意味合いも帯びているようです。この"badonk"という単語は先述しましたように辞書には載っていないのですが、小生は臀部を意味する"buttock"から来ているのかと思いました。しかし、ネットでのいくつかのソースによると、"badonkadonk"(または、badunkadunk)という俗語に由来するらしく、これはボーリングの球を転がした時の音、つまり擬音語だというのです。なるほど、ボーリングにしばらく行っていませんが、あの重たい玉は丸々と肥えたお尻に見立てられなくもありませんし、床に転がすとそんな音(!?)がしそうです。

クマに愛らしさを感じるのはやはりあの丸々と太った体形にあるのだろうと思いますが、"chonk"も"badonk"もそうした体形についての表現であり、韻を踏んだフレーズとして一体を成すパターンで使われることが多いようです。日本語でいう「ずんぐりむっくり」に近いという説明もあります。


2026年9月30日水曜日

pistol-whip

記事の引用からどうぞ。


A violent pair bashed a man in the head with a gun before swiping his luxury watch and a bundle of cash outside an East Village dive bar early Tuesday, cops said. 

The duo — both strangers — approached the victim around 3:20 a.m. in front of Josie’s Bar on East 6th Street near Avenue A and yanked on his fanny pack, police said. 

One of the muggers then pulled out a gun and hit him over the head multiple times, leaving him bloody, authorities said.
(Amanda Woods. Violent pair pistol-whips man, steals his luxury watch, cash outside NYC bar: cops. New York Post. September 29, 2026.)


強盗の話ですが、記事のタイトルで、


pistol-whip


という表現が使われています。ニューヨーク繁華街のバーで二人組が男性1人を襲って時計や金を奪ったというものですが、"pistol-whip"の意味するところは本文からお分かりのようにピストルで打撃を加えた、ということです。

変わった表現だなぁと思ったのですが、意外にも(?!)この"pistol-whip"という単語は辞書にちゃんと載っているんですね。ランダムハウス英和辞書ではアメリカ英語の表現として、


(特に人の頭部と肩を)ピストルで繰り返し殴る


とあります。映画のワンシーンのようですが、ピストルは弾丸を撃ち込めば殺傷能力もある武器ですが、ピストルをちらつかせて脅すのに使われることもあれば、相手を殴打するのにも使えるという訳です。

ある意味銃社外アメリカを彷彿とさせる表現ではないかと思います。

以前取り上げましたが"hot as a pistol"という表現もご覧下さい。



2026年9月29日火曜日

rogue

人智を超え、制御が効かなくなって暴走するAI — 。そのようなAI(人工知能)に付加される形容に、


rogue


があります。暴走する、手に追えない、(行動などが)予測不能な、凶暴な、などといった意味合いがあります。


Chipmaker Nvidia said Monday it is introducing a new software platform to address concerns about artificial intelligence agents that have “gone rogue” and operated outside human control.

“Today, with over 100 industry partners, we introduced the NVIDIA Open Agent Safety Platform,” Nvidia CEO Jensen Huang wrote in a post on X Monday.

Nvidia (NVDA) says its technology will enable companies to monitor every action undertaken by an AI agent, as well as enforce policies.
(Chris Isidore.Nvidia launches new tool to keep AI agents from going rogue. CNN. September 28, 2026.)


この"rogue"という単語はごろつき、悪漢、詐欺師などの意味もある名詞でもありますが、その語源はよく分かっていないようです。American Heritage Dictionaryでは"Origin unknown."(語源不詳)とあるのみです。

研究社新英和大辞典では、他人を頼る(to ask)という意味のラテン語動詞rogareと関連があり、「OxfordやCambridgeの苦学生を装った」不正直者、浮浪者というのが原義と推測される、との説明を載せています。このほか、よく参考にさせていただくOnline Etymology Dictionaryによれば、フランス語で高慢を意味するrogueやケルト語と関連があるとの説もあるそうですが、いずれの説も確証に欠けるようで、最終的には語源不詳に落ち着いているもののようです。

"rogue"という単語にはかほどにネガティヴな意味が強いのですが、茶目っ気や剽軽という意味合いもあります。また、群れからはぐれて単独行動を取る象のことを"rogue elephant"というそうです。性格が荒いために群れに馴染めない動物を指すともあります。

こうした意味合いから、AIに対する形容として使われる、制御不能な、という意味は最近になって生じたもののようです。


2026年9月28日月曜日

order of magnitude

記事の引用からお読みください。


OpenAI, Anthropic and security researchers are investigating tens of thousands of incidents in which their frontier models took steps that outside evaluators would consider problematic, sources told Axios.

Why it matters: The sheer number of incidents, which occurred in recent months in internal testing and the real world, indicates that the problem is orders of magnitude more complex than what is publicly known.
(Madison Mills. Scoop: Top AI companies probing tens of thousands of security incidents. Axios. September 26, 2026.)


最近世間を騒がせている、制御不能になってしまうAI(人工知能)の危険性に関する話しです。これまでにAIがテスト環境から逸脱して実際のシステム脆弱性をターゲットにしたという事例や、オーストラリアでは本来アクセスが許可されない健康保険データベースへの侵入があったなど、幾つかのインシデントが公になっています。しかしながら、実際には何万件というインシデントが発生しているとの報告があり、暴走するAIの事例は我々が知らないだけで枚挙にいとまが無い状況なのだと思われます。

そして記事では、


the problem is orders of magnitude more complex than what is publicly known


というくだりがあります。

この箇所の文意を最初掴みあぐねたのですが、イタリックにした部分、"orders of magnitude"というフレーズの解釈が問題です。

AIのインシデントが認識されているよりも、より複雑なものであった、というのが文意ですが、"order of magnitude"は後続の"(more) complex"を修飾する副詞のような働きをしていると考えられます。

この"order of magnitude"は慣用的なフレーズで、"order"は等級、"magnitude"は大きさ、程度を意味するものですが、いわゆる数字の「桁」を指すと辞書にあります。それは数字としては10倍、つまりゼロ(0)一つ分、ということなのですが、ここでは"orders of magnitude"と複数形ですから、10倍以上、100、1,000という桁違いである、ということになります。

辞書の例文には、


of the same order of magnitude(同程度の大きさの)
Their estate is larger than ours by two orders of magnitude.(彼らの土地は我々のよりも二桁分大きい。(100倍もある。))


といったものが載っています。(研究社新英和大辞典)

これらの用例は、"of the same order of magnitude"や"by two orders of magnitude"であり、前置詞ofやbyがありますが、記事の用例は前置詞がありません。

このような用法は〜倍を意味するtime(s)という名詞が前置詞を伴わずに後続の形容詞を修飾するように使われるのに似ています。


2026年9月25日金曜日

peace sign

先日、約3ヶ月のブランクを経て公務に復帰したマコネル上院議員の話題を取り上げましたが、今日読んだ記事によるとその後も車椅子で登院し、法案議決の投票を行ったと報じられています。

記事によれば、マコネル議員は報道のカメラに向けて"peace sign"をしてみせ、元気なところをアピールしたとあります。


Sen. Mitch McConnell, R-Kentucky, appeared to acknowledge cameras with a peace sign on Tuesday, Sept. 22, after returning to his Washington home from the U.S. Capitol.

The 84-year-old senator was captured on video being pushed in a wheelchair toward the entrance of his residence after spending time on Capitol Hill. As he was being taken inside, McConnell raised two fingers in what appeared to be a peace sign.

The moment came about a week after McConnell returned to the Senate following a months-long absence from public view.
(Anthony Thompson. Mitch McConnell flashes peace sign after Capitol return. USA TODAY. September 24, 2026.)


そうです、"peace sign"とはあの「ピース」のことです。この「ピース」、あるいは「Vサイン」とも呼ばれる、写真を撮る際にカメラに向けられる二本指を立てて作るハンドサインというのは小生が子供の頃流行っていた(?!)と言いますか、当たり前のようにやっていたので、日本人の文化で和製英語だろうと勝手に思い込んでいたのですが、そうでは無いということを知った次第です。

Merriam-Webster Dictionaryでは、


a sign made by holding the palm outward and forming a V with the index and middle fingers and used to indicate the desire for peace


と定義されています。

この"peace sign"の起源は諸説あるようですが、Wikipediaによりますと、元は"victory sign"、つまりVサインとして始まったもののようです。

昔、戦争で負けた側の兵士は銃の引き金を引くことが出来ないように人差し指と中指を切り落とされたそうですが、この二本指はまさしく"peace sign"、また"victory sign"を形造るのに使う指です。戦いに勝ち残るということは指を切り落とされなかったということであり、勝利をアピールするのにこの二本指を立てたハンドサインが定着したという説です。

この"victory sign"が"peace sign"へと変わってきたのはベトナム戦争の時代だといいます。アメリカなどで反戦運動が高まった時期です。勝利(victory)を声高に主張するのではなく、平和(peace)を希求する、ということでしょうか。

小生が子供の時、写真に写る際にこぞってやるあの「ピースサイン」は戦後に定着したものとの話もあります。アメリカの進駐軍がやっていたのをを真似たということらしいですが、つまりは和製英語でも無かったということで、小生の不勉強を恥じる次第です。



2026年9月24日木曜日

diesel

トランプ大統領が"diesel"の国外輸出を禁止する可能性について言及したと報じられています。

ニュース記事では単に"diesel"と書かれているのですが、これはディーゼルエンジン用の燃料、すなわち日本語でいう「軽油」のことを指しています。ディーゼルエンジンのことなのかと読み違えそうでしたが、英単語の"diesel"にはディーゼルエンジンの意味と、それを動かす燃料(fuel)という両方の意味が辞書でも確認できます。


The oil industry has warned a diesel export ban will backfire and exacerbate the global fuel crisis as President Donald Trump weighs restrictions.

Trump appeared to back an export ban earlier this week, as he faces mounting political pressure to tackle rising fuel prices ahead of the midterm elections in November.

“I’ve said let’s not send out the diesel. We make a lot of diesel,” Trump told reporters Tuesday on the sidelines of the annual United Nations General Assembly. “I’ve called for it within my people. I’ve been talking about it.”
(Spencer Kimball. Oil industry warns a diesel export ban will raise fuel prices as Trump weighs restrictions. CNBC. September 23, 2026.)


トランプ大統領の発言は2ヶ月後に行われる中間選挙を意識したもので、アメリカ国内のガソリン等燃料価格の高騰への対策を意図したもののようです。記事によればアメリカ国内の"diesel"燃料価格は1ガロン当たり3ドル以上高値で推移しており、農業関係者らの経営に悪影響を及ぼしているといいます。しかしながら、"diesel"を輸出禁止にしたところで、価格高騰に歯止めはかからないと経済の専門家は指摘しているようです。

さて、"diesel"は普通名詞になっていますが、このエンジン(内燃機関)を発明したドイツ人
Rudolph Diesel (1858-1913) の名前に由来します。

一般的なガソリンエンジンはエンジンのシリンダ内に噴射したガソリン燃料にスパークプラグで点火することで得られる爆発によりピストンを動かすというものですが、"diesel"エンジンは圧縮して高温になった空気に"diesel"燃料を噴射、これにより燃料が自然発火して爆発することでパワーを得る仕組みです。この発明は、それまでの蒸気機関のエネルギー損失と比較すると画期的なものであったとされます。

今回の話題、"diesel"燃料、すなわち「軽油」も化石燃料という点ではガソリンと同じです。(もちろん、ディーゼルエンジンにガソリンは使えず、その逆も同じですが。)故に、"diesel"燃料の禁輸は燃料価格高騰には効果が無いのだろうと思います。現にトランプ氏の発言を受けて軽油燃料は高騰しているそうです。

2026年9月23日水曜日

macromastia

怪しからんとのお叱りを受けるかも知れませんが、男性というものは女性の胸というものに対して、大きいのが良いというようなステレオタイプ的な見方があるように思います。

しかしながら、女性にしてみれば大きな胸というのは、それはそれで悩ましいものがあるのだとも聞いたことがあります。

引用する記事ですが、体形に比して大きく発達した胸というのは、肩コリや腰痛などの他、様々な身体症状を引き起こすそうで、異常なケースは"macromastia"と呼ばれるそうです。


Women with larger breasts are all too familiar with the backaches and neck pain that can come with a bigger set of ta-tas.

But a new study published today links having disproportionately big breasts with an unexpected health issue — that, on its surface, isn’t connected to the chest at all.

“Many people think of enlarged breast tissue primarily as a cosmetic issue, but our findings suggest it may be associated with a broader range of women’s health concerns,” lead study author Kristyn Pocock said in a press release.

(中略)

The researchers specifically looked at macromastia, a medical condition involving abnormally large breasts. In this case, “abnormally large” refers to breast size disproportionately larger that the person’s frame. There is no specific cup size.
(Rachel Sacks. Having disproportionately big boobs linked to a surprising health issue: study. September 22, 2026.)


体形に比して異常に大きな胸が引き起こす症状には、偏頭痛や睡眠時の呼吸不全などもあり、深刻な問題であるとされます。

さて、"macromastia"という用語ですが、接頭辞のmacro-は説明不要でしょうが、大きいという意味ですね。mastiaという部分に関しては、乳房を意味するmasto-から来ています。(以前取り上げたmastectomyも参照ください。)

このmasto-というのは木の実を指す古英語mastに由来するそうですが、更に遡って印欧祖語ではmad-という語根で、その意味は湿った(moist, wet)という意味なんだそうです。この印欧祖語は派生するゲルマン語系の言語やラテン語などにおいて、上述した木の実の他、食べ物や食べること、飲むことを表す語に繋がっているそうで、乳を出す器官を意味する語になっているのも頷けます。




2026年9月22日火曜日

splay

今日の1語は"splay"という動詞です。(sprayではありません、念の為。)

用例として記事の引用から以下をどうぞ。


“The helicopter just crashed!” a voice in the crowd yelled, drawing eyes away from the splayed-out wreckage of a bus collision that claimed two lives.
(Dalia Faheid. An SUV slammed into a city bus, then the news helicopters took flight. How one tragedy led to another. CNN. September 20, 2026.)


飲酒運転のSUVが停車中のバスに突っ込み2名が死亡という大事故の現場に、報道のヘリコプターが墜落しさらに3名が死亡という凄惨な事故があったというニュースです。

今日の1語は、


splayed-out wreckage of a bus collision


というくだりで、動詞というよりも過去分詞形での形容詞として用いられています。動詞の"splay"(しつこいようですが、sprayではありません)はあまりお目にかかったことがありませんが、広げる、張る、という意味で使われると辞書にあります。形容詞としては、外へ広がった、という意味のほか、不格好な、ぶざまな、という意味があるようです。

SUVが横腹に突っ込んだ後のバスの車体は文字通り酷く損傷しており、ぶざまな様子です。

"splay"という単語の成り立ちですが、"display"の短縮形であると語源欄に説明があります。"display"とはご存知の通り、陳列する、展示する、という意味の動詞であり、原義は(見せるために)広げるという意味です。接頭辞dis-と、たたむ、巻くという意味のラテン語動詞plicareから成ります。畳むことの反対、故に広げる(display)という意味になる訳です。



2026年9月21日月曜日

kryptonite

11月の中間選挙を前にして騒がしくなってきました。

長引くイランとの戦争とそれに伴う国内経済状況の悪化などを背景にトランプ大統領の支持率は低迷しており、共和党の候補らはトランプ氏との距離を置く傾向が見られるとのことです。つまり、不人気な大統領の累が自身の選挙戦に影響することを恐れているという訳です。

候補者らにとってトランプ氏は、"kryptonite"だ、というのです。


The pressure is only increasing with the midterms less than two months away. Trump’s approval rating is stuck under 40%. while several POLITICO polls have found that half of Americans think his deportation agenda is too aggressive and that even Trump’s loyal MAGA base is losing patience with the Iran war, given the economic costs.

“These candidates know how to read a poll,” said a GOP strategist working for Republicans in races around the country who was granted anonymity to speak candidly. Referring to Trump, they added: “They know he is kryptonite.”

Some other battleground Republicans who received Trump’s endorsement have since deleted or minimized references to the president on their campaign websites.
(‘He is kryptonite’: Republicans start breaking with Trump. Politico. September 21, 2026.)


この"kryptonite"という言葉はスーパーマンに由来するのだそうです。アメリカでコミックとして人気を博したスーパーヒーローですが、この"kryptonite"という緑色の放射性物質に触れると能力が発揮できなくなるというストーリー設定があり、特定の状況下において立場を危うくするもの、というような意味合いで用いられるようになったものです。Merriam-Webster Dictionaryでは、


a substance that causes the comic-book character Superman to become weak when he is exposed to it


と定義されています。

2026年9月18日金曜日

synthetic performer

SNSを眺めているとAI(人工知能)で生成された、本物と見紛うばかりの画像や動画にびっくりします。特に人間が出てくる動画で、それがAIで生成された人工的なものだと言われるとその精巧さには舌を巻くほどです。

カリフォルニア州で、広告に生成AIによる人間そっくりの音声や動画が含まれる場合には、消費者に対してその旨を明示しなければならないという法律が成立しました。

生成AIによる人間そっくりの登場人物のことを、"synthetic performer"というそうです。


That confident spokesperson walking you through a new blender's features, or explaining why this insurance plan is "right for your family," might not be a person at all. Starting January 1, 2027, California advertisers will have to tell you that upfront. Governor Gavin Newsom signed SB 1050 on September 16, 2026, adding a targeted disclosure requirement to the state's existing false advertising framework. 

Any audio, video, or audiovisual advertisement that features a "synthetic performer" in a prominent role must include a clear and conspicuous disclosure. Acceptable language includes "This performance features a synthetic performer" or "No human performer is depicted." The law defines a AI-generated figure, voice, or representation. It creates a realistic impression of a human performance but depicts no identifiable real person.
(Al Landes. California Will Make Ads Tell You When Their “Actors” Are AI. Yahoo! News. September 18, 2026.)


生成AIが高度化し、もはや本物と「本物そっくり」を見分けることが難しくなってしまった消費者を保護するための法制化と考えられます。今はネット上の動画像での話しですが、いずれは街中や店舗などで対面する相手が本物なのか「本物そっくり」なのか、見分けがつかないという時代がやってくるのでしょう。



2026年9月17日木曜日

老人虐待 ー elder abuse

マコネル上院議員が約3ヶ月振りに議場に姿を見せたというニュースです。

84歳と高齢のマコネル上院議員ですが、3ヶ月前自宅で転倒し、以降、公の場に姿を見せず、同氏の健康状態は様々な憶測を呼び、死亡説まで出ていました。

この度カムバックを果たした訳ですが、医者の見立ては完全復活ということではなさそうです。


A top doctor has warned that Mitch McConnell appeared as though he wasn’t well enough to return to the Senate and expressed deep concerns about elder abuse.

The 84-year-old senator was seen in public for the first time on Monday evening, after being hospitalized on June 14.

(中略)

“If he had another fall, it could kill him. It could absolutely kill him,” said Dr. Anahita Dua, a vascular surgeon.

(中略)

Dua warned Senate work would absolutely be a distraction from his recovery and add to the strain, and warned the entire situation reeked of “elder abuse.”
(Sarah Ewall-Wice.Doctor Fears McConnell’s Senate Return Could Prove Fatal. The Daily Beast. September 16, 2026.)


マコネル議員は車椅子に乗って議場に姿を現しましたが、議場での投票を終えると早々に退出したようです。移動の車中から親指を立てて報道のカメラに反応する姿も見られたそうですが、医者の見立ては公務を果たしうる状態ではないとのこと。

そして、仮にもまた転倒するようなことがあれば命の危険があり、現在のマコネル氏にとって上院議員の勤めは老人虐待(elder abuse)だとまで言っています。

「老人虐待」とは穏やかでない言葉遣いです。この言葉から受けるイメージは、高齢者の周りにいる家族や介護者が老人に対して身体的、精神的な苦痛を与えるような行為を繰り返すというものに思われます。

果たしてマコネル氏は家族や関係者から無理矢理にワシントンの議場に行かせられたというのでしょうか。そのような報道も憶測と思われる言及もありませんが、マコネル氏が公務に復帰する健康状態に無いということを分かっていながらそれを止めない周囲の判断に問題があるということなのかも知れません。

記事では2023年、92歳で死去したDainne Feinstein上院議員の例が触れられています。同氏は病気治療のため入院、辞職した方が良いと言われながらもそれを拒んで復帰、車椅子で登院しましたが、その後亡くなりました。


2026年9月16日水曜日

digs

世紀のカップルとでも言うべき、テイラー・スイフトさんとアメフト選手の結婚式がニューヨークのど真ん中マジソンスクエアガーデンで行われたことを先日取り上げました。新居はオハイオ州、エリー湖を望む2万1,000平方メートルという広大な敷地に建てられたマンションだそうです。二人の意向でセキュリティとプライバシーは非常に厳重になっているとの話しです。


Taylor Swift and Travis Kelce aren’t taking any chances when it comes to feeling safe in their new Ohio mansion.

Page Six has exclusively learned that the couple have set up a warning alarm surrounding their new digs.

“A neighbor approached the house and got a voice warning about not passing onto the property after getting too close to the house,” a nearby neighbor shared.
(Lanae Brody. Taylor Swift and Travis Kelce go to extreme measures to keep nosy neighbors away from new Ohio mansion. Page Six. September 15, 2026.)


引用した記事では新居のことを、


their new digs


と表現しています。

"digs"という単語に住む処という意味があることを知りませんでした。しばしば"new digs"というフレーズで新居、新しい居場所というような意味合いでカジュアルに使われるようです。因みに、この意味で用いる場合にはdigs"というように複数形で使われるものとなっています。

このような"digs"の意味合いは、"diggings"という言葉からきており、イギリス英語なんだそうです。英和辞書には下宿という日本語が載っています。つまり借りて住む場所を指すのですが、世紀のカップルの新居は贅を尽くした豪華なマンションですから、借家を指す"digs"というのはちょっと違うようにも思われます。

さて、動詞の"dig"には掘るという意味がありますが、土を掘って作った洞穴住居のイメージなんでしょうか。洞穴を住居としていたのは原始時代と考えると、随分古い歴史でもあるのかと思わされますが、いくつかの辞書を見てみましたが、詳しい語源に触れているものは見当たりませんでした。

インターネットを検索してみますと、"digs"、"diggings"の由来について触れた興味深いサイトがありました。それによると、19世紀半ばのゴールドラッシュの時代に期限があるという説があるそうで、掘る(dig)という行為と住処の関連が見て取れます。しかしながら、住処という意味での"digs"の初出はそれ以前、18世紀始め頃にディケンズの小説でも確認されており、ゴールドラッシュとの関連は眉唾のようです。

"dig"という単語ですが、このほかには、皮肉、当てこすり、という意味もあります。



2026年9月15日火曜日

kill switch

昨日の投稿ではAIが人間を超えて自律的に働くことで抑制が効かなくなるというリスクが現実のものとして議論されているという話題を取り上げました。

今日も同じ話題で恐縮ですが、議論はアメリカのみならず世界各国で行われているようで、以下に引用するのはイギリスでの話です。

イギリスの国会ではAIに"kill switch"を導入すべきとの議論が行われたそうで、この"kill switch"という言葉がトレンドのようになっています。


The UK government has rejected the idea of creating a so-called "kill switch" to stop a dangerous attack from rogue AI.

The proposal to create a legal mechanism for the UK to switch off an AI model in an emergency has been brought to Parliament by lords and MPs in recent weeks as fears grow about the threat the tech poses.

But the Cabinet Office - the part of government which leads on AI safety - said the UK "cannot simply turn AI off".
(Joe Tidy. UK government rejects 'kill switch' idea for dangerous AI. BBC News. September 11, 2026.)


"kill switch"はカタカナでも「キルスイッチ」として使われていますが、強制停止装置などと訳され、非常時に機械やシステムなどを停止させる仕組みのことを言い、Merriam-Webster Dictionaryでは、


a mechanism or feature on a mechanical or electronic device that allows one or more functions to be turned off or made unavailable


と定義されています。

さて、イギリスではAIに"kill switch"を義務化するという法案が議会に提案されましたが、否決されたとあります。

理由はイギリスだけで出来るものでは無い、ということのようですが、国境の無いインターネット環境において、ある国だけが"kill switch"を設けたとしても、それが果たして機能するのか分からないということのようです。

トランプ米大統領はAI開発を抑制することは愚行であり、ロシアによる"hoax"だとし、そんなことをすれば喜ぶのは中国だとまで言っています。


2026年9月14日月曜日

cataclysmic

AI(人工知能)が自律的に発達を遂げた結果、人間の能力を遥かに超えてもはや抑制の効かない状況が生ずるという、SF小説か映画のようなストーリーがまことしやかに語られています。

しかし、現実にそのような状況が起きつつあると、AI開発の先進企業のトップや幹部社員が警告したと、昨夕、ラジオのニュースで聞きました。

以下はCNNの記事からの引用です。


The latest warnings about AI seem intended to boggle minds and shock everyone into action.

Anthropic CEO Dario Amodei, a leader in the AI race, on Saturday called for a conscious slowdown in AI development in an essay posted to his website. AI is developing faster and faster and could outrun humans’ ability to manage it, he wrote.

“Left unchecked, it could outrun our ability to understand and control these systems, and so must be pursued very carefully, if at all,” Amodei wrote.
(Zachary B Wolf. AI and the end of humanity? OK, ‘doomer’ says one Trump official. CNN. September 13, 2026.)


記事によれば、この10年くらいでAIが人智を遥かに凌ぐことになるので、AIの開発を遅らせなければ、人類が終焉する可能性があるとまで言われているそうです。

このようなAI企業幹部の発言を受けて、サンダース上院議員のコメントです。


Among those calling for government action is Sen. Bernie Sanders, who takes the warnings seriously.

“Nearly every day, there is a frightening new story about how Big Tech companies are losing control of the technology they are developing, with potentially cataclysmic results,” Sanders said in announcing proposed legislation to ban artificial superintelligence. “It is irresponsible for society to allow them to move forward and make these products even more advanced.”
(ibid.)


人智を超えて自律的に振る舞うAIが、


cataclysmic


な結末をもたらす恐れがある、と。

"cataclysm"は激変とか大変革と訳されていますが、ギリシャ語kataklusmosは大洪水の意味で、洗い流すという意味のギリシャ語動詞kluzeinに由来します。

接頭辞cata-は、下方へ(down)、〜に反して(against)という意味合いで、過去には"cataract"や"catafalque"という単語を取り上げました。

余談ですが、"cataclysm"と意味合いも似た単語に"catastrophe"があり、大惨事、悲劇的な終末、カタカナでも「カタストロフ」と用いられます。こちらも同様に接頭辞cata-とギリシャ語動詞strephein(to
turn)の組み合わせによる語ですが、原義としてはギリシャ劇、特に悲劇における結末、大団円を指す言葉で、いわゆる破滅的、悲劇的な結末という意味合いは後になって生じたものだそうです。




2026年9月11日金曜日

bread and circuses

11月の米中間選挙を控え、トランプ大統領は共和党が勝利するならば全ての成人の米国民に一人当たり5,000ドル(約77万円)を支給すると発言したと報じられました。

もの凄い大盤振る舞い(!?)、または「バラマキ政策」と言えます。


Facing an uphill battle in the final weeks of an affordability-focused midterm election, President Donald Trump on Wednesday night made an audacious promise: Every adult American citizen will receive a $5,000 "dividend," but only if Republicans are victorious in November.

While extremely light on details, the proposal quickly drew heat from critics on both sides of the aisle, including some of Trump's own supporters. And it spurred questions of whether it would be illegal as a payment incentive to influence votes.

"I am hugely in favor of winning the midterms, and love much about this admin, but am strongly against bread and circus bribes," Palantir co-founder and Republican donor Joe Lonsdale said on X.
(Trump's $1 trillion-plus 'dividend' plan meets immediate bipartisan pushback. CNBC. September 10, 2026.)


有権者を買収するような発言に対し、民主党はもとより、共和党内からも反対意見が噴出しているそうです。

共和党を支持する大手企業トップによる批判が引用されており、


am strongly against bread and circus bribes…


とあります。"bread and circus"という表現に注目です。「パンとサーカス」というのが字句通りの訳になりますが、


Offerings, such as benefits or entertainments, intended to placate discontent or distract attention from a policy or situation.
(American Heritage Dictionary)


という意味で用いられるフレーズです。「パン」は食料、「サーカス」は娯楽の象徴で、これら二つを民衆に与えることで宥める、不満を解消する、ということなんですね。

このフレーズはラテン語panem et circensesを英語に置き換えたものとの説明が辞書に載っています。ローマの風刺詩人ユウェナーリスが用いた言葉だそうです。

なお、ラテン語panem et circensesのpanem、またcircensesは名詞の複数形・目的格となっています。(英語の一般名詞に格変化はありませんが、)英語へ置き換えたものは、"bread and circuses"となり、辞書にもこの複数形で載っています。


2026年9月10日木曜日

sizable

トランプ大統領がホワイトハウスの側近職員に現金を贈ったというニュース記事を読みました。

その額、45,000ドル。現ナマです。(わたしも欲しい・・・)


Donald Trump gave sizable holiday gifts to four White House aides, according to new financial disclosures released by the administration, including $45,000 to executive assistant Natalie Harp.

Communications adviser Margo Martin and deputy director of Oval Office operations Chamberlain Harris also received $45,000, while director of Oval Office operations Walt Nauta received a $20,000 gift.
(Trump gave $45,000 to Natalie Harp and other White House aides as holiday gifts. The Guardian. September 9, 2026.)


現金の名目は"holiday gift"だそうです。その形容に、


sizable


とあります。"size"に接尾辞-ableが付いたものですが、相当の大きさの、かなり大きい、という意味です。かつては、手頃な大きさの、という意味でも使われたようです。45,000ドルは手頃な額では決してありません。

臨時収入の恩恵に預かった職員の中には最近メディアの注目を集めているNatalie Harpという女性が含まれているとあります。イランの暗殺を恐れて大統領専用機ではなく、別の飛行機に隠密に乗り換えた際もトランプ大統領と行動を共にしたことで注目を浴びましたが、トランプ氏に好意的なメディアの記事を印刷して手渡しするのが主な仕事らしく、"Human Printer"と呼ばれているそうな。

さて、サイズ("size")の話しです。

物の大きさ、寸法を意味する"size"という単語は、"assize"という単語の頭音消失形であると辞書にあります。(古フランス語siseから来ているようですが、元はassisseという語であったものが変化したようです。l’assisseが誤って、la siseと解釈されたらしいという説は"apron"など、異分析により生じた単語の語源に似ています。)

その"assize"ですが、英単語としては残っており、辞書には巡回裁判という意味などが載っています。裁判と、寸法を意味する「サイズ」・・・。随分と意味合いが違います。

上述した古フランス語assisseですが、もう少し語源を遡ると動詞asseoir、ラテン語adsedereとなり、これは接頭辞ad-とsedere(to sit)からなる動詞なんですね。つまり、座るという意味合いなんですが、裁判という意味は審理のために関係者が集う(一堂に会して座る)ということから生じたようです。

そして、大きさを言う「サイズ」ですが、古くは物の大きさ、量、そしてその価格を法定価格として定めていたのですが、"assize"という単語にその意味合いを認めることができます。