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2021年1月29日金曜日

fishy

日本でも展開するファーストフードチェーンのサブウェイがまた騒ぎになっています。

当ブログでも以前記事を取り上げましたが、フットロングと謳う同社のバンズが実は"foot"(1フィート)に満たないとか、バンズの糖質含有量が多いのでパンとは認められないとか、度々話題(問題!?)になっています。

今回は、同社の「ツナ」サンドイッチが、実際にはツナを使っていないとして、集団訴訟に発展しているものです。

サブウェイ側は否定しており、争う姿勢のようです。


If you bought a tuna sandwich from a Subway restaurant recently, chances are you may have eaten something that was ‘made from anything but tuna,’ two Bay Area customers allege.

Karen Dhanowa and Nilima Amin of Alameda County filed a lawsuit in San Francisco federal court last week accusing the American fast food restaurant franchise of misrepresenting its tuna sandwich.

The plaintiffs claim that they performed independent lab tests of samples of tuna taken from several Subway locations in California.
(ARIEL ZILBER. Subway is sued after tuna sandwiches are 'revealed to be anything but tuna' and 'don't even contain FISH'. The Daily Mail. January 28, 2021.)


以下は、同じ話題の別ソースからの引用です。


There might be something fishy about the tuna at Subway.

The chain is being accused of committing footlong fraud by serving fake tuna in its sandwiches and wraps, in a lawsuit alleging the fish is actually made with "a mixture of various concoctions," the Washington Post reports. 
(Jeanette Settembre. Subway accused of selling fake tuna in footlong fraud lawsuit
Suit alleges the fish is actually 'a mixture of various concoctions'. Fox News. January 28, 2021.)


話題が「ツナ」だけに、冒頭部分の"fishy"とはシャレがきいています。

ここでの"fishy"の意味は、


うさんくさい、いかがわしい、怪しい


といったものです。

魚(fish)と何の関係があってこんな意味に?

魚の生臭さとか、手に持った時にヌルっとして滑りやすい、といったことからだそうです。

魚好きの私としては、魚に失礼だろう!?と思いました。



2021年1月28日木曜日

spitting image

唐突ですが、"spitting image"という表現をご存知でしょうか?

生き写し、そっくり、瓜二つ、という意味です。

ご存知のように"spit"とは「唾を吐く」という意味です。"image"は分かりますが、唾を吐くのががなぜ「生き写し」という意味になるのか。

小説を読んでいて出くわしたのですが、知らなかったので意味を確認しましたが、それにしても変わった表現だなあと思いました。

ニュース記事を検索してみました。(記事のタイトルで使われています。)


The first look of Kristen Stewart playing Princess Diana in the upcoming movie "Spencer" was released on Wednesday and she looks uncannily like the late royal in the photo.

"Spencer," directed by Pablo Larraín ("Jackie"), has begun production and will be shooting in the UK and Germany. The movie will follow Princess Diana over Christmas weekend when she decided to leave Prince Charles.
(Jason Guerrasio. Kristen Stewart is the spitting image of Princess Diana in first look at 'Spencer'. Insider. January 28, 2021.)


辞書を引くと"spitting image"の他、

the spit and image of~
the dead spit of~
the very spit of~

など、いくつか表現のバリエーションがあることが分かります。

類似の表現を含めた、これら表現の由来については諸説あるようですが、はっきりとこうだと言えるものはないようです。

そもそも"spit"については、親にそっくりな子供というのは親の口から「吐き出された」、というような言い回しがあり、これに由来するそうです。語源の説明になっていない(!?)ように思われますが、フランス語で唾を吐くことを意味するcrachéという動詞にも同じ意味合いがあるということです。

もう1つの説としては、元の表現は"spirit and image"で、"spirt"が"spit"に変化したというものです。"spit"よりも、"spirit"の方が幾分しっくりきます。

さらにもう1つの説としては、"splitting image"から変化した、というものですが、こちらは意味的にはもっともらしいものの、証拠に欠けるそうです。

以上は主にMerriam-Websterオンライン、またPhrase Finderの解説を参考にさせていただきました。

さて、個人的な解釈です。歯磨きをする妻がうがいの後に、ペッとやるのですが(失礼!)、その感じが父親(義父)にそっくりなもので、まさに“spitting”のイメージが似ている、ということでこのフレーズを説明しているように思ったりするのでした。


2021年1月27日水曜日

Two heads are better than one.

パンデミックの影響で、マスク着用はもはや「当たり前」、さらに「正しいマスクの着用方法」が問われることになってきました。

先日の朝刊では、マスクを着用しているものの、鼻部分までを覆わない「鼻出し」(half-masking)の問題が取り沙汰されていました。

また、様々なマスクの種類(不織布マスクや布マスク)やフェイスガード等、PPEの種類別にウィルス拡散防止、感染予防能力の差があることも、素人レベルでも常識になってきました。

ところでアメリカでは、マスクを二重にして着用する、"double masking"が注目されています。

先日の大統領就任式に出席した多くの関係者がこの"double masking"で登場したことから注目を集めているようですが、そのほとんどは不絹布マスクの上に布マスクを着用するというものです。

米国ではファウチ博士もその有効性にお墨付きを与えています。


They say two heads are better than one, but can the same be said for masks?

The answer is yes, according to Dr. Anthony Fauci, the nation’s top infectious disease expert.

“So, if you have a physical covering with one layer, you put another layer on, it just makes common sense that it likely would be more effective," Fauci told "NBC News’ TODAY" on Monday. “That’s the reason why you see people either double masking or doing a version of an N95.”

Double masking was in the spotlight last week during President Joe Biden’s inauguration, where several high-profile officials and celebrities were photographed wearing two masks.
(Adrianna Rodriguez. Are two masks better than one? Double masking 'just makes common sense' to help prevent COVID-19 spread, Fauci says. USA Today. January 26, 2021.)


引用した記事の冒頭に、


Two heads are better than one.


とありますが、これは頭は1つよりも2つの方がベター、ということで、日本語で言うところの、


三人寄れば文殊の知恵


という諺の英語版です。

マスクは「1枚よりも2枚が効果的(ベター)」という話題に掛けたシャレですね。

怒られそうですが、マスク1枚でも煩わしく感じる私は、2枚だと余計に息苦しくなるような気がしてなりません。



2021年1月26日火曜日

feel in one's bones

小説を読んでいましたら、"feel it in my bones"という表現に出くわしました。

意味は何となく分かりましたが、辞書を確認すると、


直感する、ピンとくる; (・・・ではないかと)感じる
(ランダムハウス英和辞書)


とありました。

手元にあるCollins-Cobuild Dictionary of Idiomsでは、"feel something in your bones"というエントリで、


If you say that you can feel something in your bones, you mean that you feel very strongly that you are right about something, although you cannot explain why. Verbs such as 'know', 'believe', and 'sense' are sometimes used instead of 'feel'.


と説明しています。

微妙に意味は異なるかも知れませんが、自らの直接的な感覚を表現する日本語として、「肌で感じる」という表現があります。

日本語では肌という外部にさらされた表面で感じることを、英語では骨という体の奥深くの見えない部分で知覚するという違いは興味深いものがあります。

骨(bone)という体の部位に対するこのような捉え方は不思議に思われましたが、Merriam-Websterで"bone"の意味を確認すると、解剖学的な骨という部位の意味以外に、"essence, core"という意味があり、また"the most deeply ingrained part"とも定義されており、自分自身が感じる、知覚するものというのは、体の奥深くに根差しているというその感覚も少し理解できるように思われました。

Collins-Cobuildの例文を引用します。


Joe, I have a hunch you're going to lose tonight. I just feel it in my bones.


先に引用した解説にあるように、動詞は"know"であったり、"believe"であったり、その他の動詞で代用されることもあります。



2021年1月25日月曜日

今年はウシ年 ― vaccine

日曜日の邦紙朝刊で、新型コロナウィルスワクチンの準備状況を報じていました。

海外ではイスラエルや米国、英国、インドなど諸外国が既に先行していますが、日本でもいよいよ2月後半くらいから接種がスタートするようです。

記事では、厚労省が構築する、ワクチンの流通管理システム「V-SYS」について取り上げていました。

"V"は恐らくは"vaccine"の"V"、"SYS"は"system"のことだろうと思います。(もしかしたら、Victoryの“V”かも!?)

ところで、ワクチン("vaccine")の語源をご存知でしょうか?

"vaccine"はラテン語vaccinusから来ており、このvaccinusは同じくラテン語vacca(雌ウシ)から来ています。

つまり、元々の意味は、(雌)ウシ、なのです。

かつて、18世紀の話ですが、天然痘(疱瘡; smallpox)の予防のために、同種の病気で症状がより軽い牛痘(cowpox)のウィルスを接種し、免疫をつけるということが行われていました。

その背景には、ウシの世話に従事する労働者が牛痘に罹患しながらも、なぜか天然痘にはかからないという事実に着目した医師がありました。

牛痘のことをvariolae vaccinaeと言い、このラテン語は「ウシの」(vaccinae)「天然痘」(variolae)という意味です。(つまり、今日でいう「ワクチン」の意味合いはありません。)

variolate(また、variolation、variolization)という英単語も(天然痘の)接種の意味で使われますが、もっぱら"vaccine"が(予防接種としての)ワクチンとして使われるようになったのです。

奇遇にも今年はウシ(丑)年であります。

厚労省のV-SYSが大きな問題なく稼働してワクチンが予防効果を発揮し、コロナ撃退の丑年(コロナに打ち勝った人類のVictoryを記念する年)となることを願ってやみません。


Carolyn Zain had heard horror stories about the nation’s coronavirus vaccine rollout: long waits, clunky websites, people being turned away. So when her health department announced it was expanding appointments, she armed herself with two phones — cellphone in one hand, landline in the other — and held her breath.
(Sarah Mervosh. How West Virginia Became a U.S. Leader in Vaccine Rollout. New York Times. January 24, 2021.)


以前取り上げた"inoculate"もご覧ください。



2021年1月22日金曜日

zinger

ホワイトハウスを去ったトランプ元大統領に対して、グレタ・トゥーンベリさんがツイッターで放ったツイートが話題です。

世界を股にかける環境活動家はまだ10代ですが、皮肉な言辞にも長けているようですね。


Greta Thunberg appeared to have the last laugh as she reignited her Twitter feud with outgoing President Donald Trump as he left office as a one-term President.

The teenage climate activist hit out as Joe Biden was sworn in as America’s 46th President of the United States.

“He seems like a very happy old man looking forward to a bright and wonderful future. So nice to see!” Thunberg wrote on Twitter under a picture of Trump boarding a helicopter to leave the White House.

The zinger was a reference to Trump’s belittling response to Greta after her passionate speech to the United Nations.
(Barney Davis. ‘He seems like a happy old man!” Greta Thunberg has last laugh in Donald Trump feud. Evening Standard. January 21, 2021.)


"zinger"というのは、


a pointed witty remark or retort
(Merriam-Webster Dictionary)


ということで、当意即妙の言葉、とかきつい冗談、といった意味です。

以前、"zing"という動詞を取り上げましたが、その"zing"に名詞を作る接尾辞-erが付いたものです。



2021年1月21日木曜日

大統領就任式:紫色のコーデに込められた願い ― bipartisanship

いよいよバイデン新政権が正式にスタートしました。

就任式にはバイデン夫妻を始め、カマラ・ハリス副大統領夫妻、オバマ元大統領夫妻やヒラリー・クリントン氏らの顔ぶれが見られますが、女性が一様に紫色を基調としたファッションであると注目されています。

果たして紫色(purple)のコーディネイトにはどのような意味が込められているのでしょうか?


In a sea of red, white and blue, there’s a whole lot of purple.

Vice President Kamala Harris, former first lady Michelle Obama and 2016 Democratic presidential nominee Hillary Clinton donned purple, a color used traditionally as a symbol of bipartisanship — a mix of Republican red and Democratic blue — for Inauguration Day.

The color, Vanity Fair reported, also has historically symbolized nobility and was a color favored by the suffragettes, in addition to white.

The color was chosen by suffragettes in 1908, according to the National Park Service, to represent “the royal blood that flows in the veins of every suffragette, the instinct of freedom and dignity.”
(Nadine DeNinno. Why are so many women wearing purple at Biden’s inauguration today? New York Post. January 20, 2021.)


日本での紫色と言えば、昔古典や歴史の授業で習ったように、最も高貴な位にある人が身に付けるものと理解されています。

米国政治史における紫は、記事にありますように、

a symbol of bipartisanship

だそうです。

その説明が、共和党の赤と民主党の青を混ぜたもの、というのに納得。

"bipartisan"とは二大政党における、二党の協働のことであり、超党派などとも訳されます。

ここにも、赤と青に分断された米国を何とかして再びひとつにしたい、癒しをもたらしたいという新政権の希望が見てとれます。



2021年1月20日水曜日

"vet" - その2 ― vetting

バイデン新大統領の就任式を目前に控えて、ワシントンDCは厳戒態勢にあるようです。

先日発生した、暴徒による連邦議事堂の占拠をきっかけに、最大級の警備態勢が敷かれています。

ところが、警備に携わる関係者の中に「不適格者」が紛れ込んでいるということで、任務から除外されるスタッフが出ているということですから、念の入れようも半端ではありません。


Twelve Army National Guard members have been removed from inauguration duty in Washington, DC, as part of the security vetting process initiated, in part, to ensure troops tasked with securing Wednesday's ceremony in the nation's capital do not have ties to extremist groups, the Chief of the National Guard Bureau said Tuesday.

(中略)

The nation's capital is on edge ahead of President-elect Joe Biden's inauguration. While much of Washington has been shut down following the deadly riot at the US Capitol on January 6, defense officials have sought to reassure the public that the troops sent to protect the inauguration are being fully vetted.
(12 Army National Guard members removed from inauguration duty. CNN. January 19, 2021.)


12名の警備員が"security vetting process"の結果、外されたということなのですが、"vetting"という表現について取り上げたいと思います。

コンテクストから、この"vetting"はいわゆる身辺調査、バックグラウンドチェックのことだろうな、と想像がつくと思います。引用したCNNの記事では複数個所で"vetting"、"vet"という動詞が使われています。

実は以前にも"vet"を一度取り上げています。その時の投稿で取り上げた意味合いは、(原稿などを)精査する、正確性を吟味する、といったもので、今回のような「身辺調査」といった意味もあるとは認識していませんでした。

改めて辞書を引いてみると、手元のランダムハウス英和、American Heritage Dictionaryでは、この「身辺調査」という類の意味が見当たらないのです。

このような意味で使われる"vet"は、"veteran"という単語を想起させますが、実は無関係です。動詞の“vet”は、"veterinary"(獣医学の意)から来ており、競走馬をレース前に獣医が慎重に検査したことに由来するそうです。

そこから発展して、雇用や取引の前に候補者を詳しく吟味することを意味するようになったもののようです。吟味の内容は、身体検査(健康診断)から経歴(バックグラウンド)のチェックまで様々です。

私事ですが、今日は年1回の健康診断を受けてきました。

健康診断は英語で"medical checkup"ですが、"vetting"といってもあながち間違いではないのでは、などと思いながらこれを書いているところです。



2021年1月19日火曜日

コロナ禍で見直される「通勤」の効用 ― ritual

昨年暮れ、勤務先でメンタルヘルス研修なるプログラムがあり、内容はご想像がつくと思いますが、コロナ禍でのストレスにどう対処するか、どのように同僚や上司部下として接するか、という話題でした。

ところで、今日CNNの記事を見ていますと、"fake commute"なる言葉が話題になっていました。

コロナ禍で在宅勤務がより広く導入され、職種によっては、通勤の機会が大幅に減ったという人もおられるでしょう。

そうしたオフィスワーカーも当初は面倒な通勤(痛勤!?)が減ったことを歓迎する向きもあったかも知れませんが、長引く在宅勤務態勢では仕事とプライベートの境界があいまいになり、却ってストレスをため込んでいるという状況もあると言います。

"fake commute"は、通勤の機会減を新たに別の形での日常習慣で置き換える、というコンセプトのようです。

新しい日常習慣の内容は、毎朝の散歩だったり、ジョギングや自転車、はたまた実際にオフィスまで車で行ってそのまま帰ってくる、というものまで様々です。


If the blur between work and home is still a struggle, mimicking your route from the Before Times may be the solution you need.

For many people, commuting to work can be the worst part of their day:

(中略)

For others, however, commuting may have been a ritual that was critical for their mental health and work-life balance.

(中略)

"Routines and rituals are very beneficial to us, because they're things that we understand and know what to expect from them," said Lynn Bufka, the senior director of practice transformation and quality at the American Psychological Association.

"The routine sets up for us, without having to think about what we're going to do next, 'Here is how my day is going to flow,'" she said. "It helps us ease from point A to point B."

Commutes are forced pauses that signal the time to transition from one's work identity to another identity, such as parent, spouse or friend, said Ravi S. Gajendran, an associate professor at Florida International University's College of Business.  "Working full time from home during the pandemic makes it difficult to transition between work and home roles," he said via email.
(Kristen Rogers. The rise of the fake commute, and why it's good for your mental health. CNN. January 18, 2021.)


さて、今日の一語ですが、"fake commute"でも良いのですが、敢えて"ritual"としました。

儀式、という意味です。

記事では"routines and rituals"と出てきますが、一般的な会話の内容として"ritual"は"routine"とほぼ同義、習慣になっている事柄を指すことが多いです。

辞書の定義ではAmerican Heritage Dictionaryで、


A set of actions that are conducted routinely in the same manner: My household chores have become a morning ritual.


と載っていました。

我々の日常はこのルーチン、"ritual"の繰り返しであるという意見には同意です。

また、通勤はある意味、仕事とプライベートとを時間的にも空間的にも分けるという効用があったのだと、在宅勤務下の今にして思います。



2021年1月18日月曜日

pull one's leg

"pull one's leg"というフレーズをご存知でしょうか?

からかう、とか「かつぐ」という意味で使われます。小説を読んでいたところ、でくわしました。


For a moment I suspected that he was pulling my leg, but a glance at him convinced me otherwise.
(F. Scott Fitzgerald. The Great Gatsby.)


日本語に直訳すると「足を引っ張る」となり、別の意味になりそうですが、英語の表現としては「からかう」になります。

手元にあるCollins-Cobuild Dictionary of Idiomsには下記のように載っています。


If you pull someone's leg, you tease them something which is not true.


他の辞書の定義も参考にみてみますと、嘘をつくというのとほぼ同義ですが、悪意は無い、というのがポイントのようです。

よく参考にさせていただく、phrases.org.ukのサイトの解説によりますと、20世紀の俗語表現だそうですが、最近ではあまり使われなくなっているようです。

由来については、かつて、泥棒は被害者の足を取って転倒させた隙に盗みを働いたことからこのフレーズが生まれたという説があるらしいですが、眉唾物のようです。

足(leg, foot)に関連する表現を「体の部位・足」というタグでまとめていますので、その他の表現もご覧下さい。



2021年1月15日金曜日

a stroke of fortune

新型コロナウィルス感染症が世界中を席巻する中、インフルエンザの流行には変化が見られています。

北半球では冬が到来し、新型コロナとインフルエンザのダブルパンチによる“ツインデミック”(twindemic)が懸念されていたところですが、恐れたような事態には至っていないというのです。

つまり、例年であれば年末から年始のこの時期にかけて、インフルエンザ様の症状を訴える患者が急増するところ、今シーズンは例年よりかなり低い統計で推移しているということです。


The “twindemic” of influenza and coronavirus feared by public health officials has so far failed to materialize.

The flu typically kills tens of thousands of Americans and can account for hundreds of thousands of hospitalizations during the winter season. But this year, it’s fizzled almost entirely in the Bay Area — a stroke of fortune needed as coronavirus cases, hospitalizations and deaths surge uncontrolled statewide.

“The flu is essentially not present in Northern California at this point,” said Dr. Randy Bergen, a pediatric infectious disease specialist at Kaiser who is also the clinical lead for Northern California’s flu vaccine program. “Our hospitals are always filled during the winter, and in normal years, it’s because of influenza. This is a very abnormal year, but it’s because of a different respiratory virus.”
(Annie Vainshtein. These charts show the startling picture of a ‘very abnormal’ Bay Area flu season. San Francisco Chronicle. January 13, 2021.)


例年よりも随分と少ないインフルエンザ患者の報告数となっている背景については、新型コロナウィルスへの対策、すなわちマスクの着用や手洗い、またソーシャルディスタンシングなどの対策が功を奏していると見られています。

記事では、


a stroke of fortune


と表現されているのですが、これは思いがけない幸運、といった意味です。

ご存知のように、"stroke"は"strike"(打撃)から来ています。ここから派生する意味は、時計や鐘の一打だったり、心臓の鼓動だったり、水泳のひと掻きやボートでの一漕ぎだったり、文字や絵を描く時の一筆、はたまた発作・・・等々、様々ですが、


(運などの)偶然のめぐり合わせ、思いがけない出来事
(ランダムハウス英和辞書)


という意味もあるということを知りませんでした。

"a stroke of good luck"や、"a stroke of fate"などというような慣用句で使われます。



2021年1月14日木曜日

caterwaul

猫(オス)を飼っています。普段あまり鳴くことはありません。

"caterwaul"という単語は、ギャーギャー喚く、金切り声を出す、という意味ですが、cater-は猫(cat)を意味し、-waulは遠吠えのようにうなるという意味で擬声語から来ているそうです。

発情期のネコの鳴き声、金切り声ということでは、不愉快な、耳障りのするような音、またそのような発言という意味で使われます。


The new year seems to have wasted little time in gearing up to rival the hysterics of 2020. Latest reports from the German Weather Service (DWD) that last year was Germany’s second hottest on record are sure to trigger the national political tinderbox into zealous overdrive, and with it new calls for a wave of climate-related prohibitions guaranteed to fundamentally affect people’s lives. “The scientific climate facts from the National Meteorological Service are alarming,” comes the caterwaul of the DWD via climate director Tobias Fuchs, “Climate protection is the order of the day. We must act now.”
(Greg Peterson. Germany: The Country of Prohibitions. International Policy Digest. January 11, 2021.)



2021年1月13日水曜日

ストライクはなぜ"strike"か? ― strike

トランプ大統領支持者による連邦議事堂の襲撃事件は世界に衝撃を与えました。

事態を重くみた大手SNSが、トランプ氏のアカウントを停止するなどの措置を取り、その賛否が議論となっています。

ツイッターがアカウントの無期限停止を決めたのに続き、フェースブックもアカウント停止を決めました。

さらに今日、YouTubeがトランプ氏の公式チャンネルを一時停止(suspension)する措置を取ったと報じられています。

その内容としては、アカウントの完全停止までは行かず、暴動を煽るような一部コンテンツの削除と新たな動画アップロードの停止というもののようです。


YouTube is suspending President Donald Trump's channel for at least one week, and potentially longer, after his channel earned a strike under the platform's policies, the company said Tuesday evening.

A recent video on Trump's channel had incited violence, YouTube told CNN Business. That video has now been removed.

YouTube declined to share details of the video that earned Trump the strike, but said that after the one-week timeout, it will revisit the decision. YouTube also removed content from the White House's channel for violating policy, the company told CNN Business.

(中略)

"After careful review, and in light of concerns about the ongoing potential for violence, we removed new content uploaded to the Donald J. Trump channel and issued a strike for violating our policies for inciting violence," a YouTube spokesperson said in a statement.

"As a result, in accordance with our long-standing strikes system, the channel is now prevented from uploading new videos or livestreams for a minimum of seven days—which may be extended."
(Brian Fung. YouTube is suspending President Donald Trump's channel. CNN. January 13, 2021.)


さて、引用した記事の中で、"strike"という単語が何度か出てきます。


his channel earned a strike...
the video that earned Trump the strike...
issued a strike for violating our policies...
in accordance with our long-standing strikes system...


などです。

どういう意味でこの"strike"を用いているのだろうと思って調べてみると、どうやらYouTubeはアカウント停止処分を下す場合の判断基準を、野球の三振ルールになぞらえて、Community Guideline strike basicsと呼ばれる独自規定にしているということが分かったのでした。

つまり、同サイトの利用規約に違反する場合、1回の違反は1ストライク、2回目がツーストライク、3回目はスリーストライクでアウト(アカウントの永久停止)、ということのようです。(実際には、最初のストライクがカウントされる前にWarningという段階があるということです。)

「ストライク」の概念は当事者に対する不利益、マイナスポイントということは理解できますね。

さて、本題です。

野球のストライクはなぜ"strike"(叩く、殴る、打つ)なのか?

打者が空振りしたり、ストライクゾーンの球を打てなかったりした場合にカウントされる「ストライク」を“strike”(打つ)というのは、なるほど、言われてみれば不思議です。("hit"と"strike"が英単語として同義語であることからしても不思議です。)

野球の「ストライク」に相当する辞書の定義も一応チェックしました。


a pitched ball that is in the strike zone or is swung at and is not hit fair
(Merriam-Webster Dictionary)

A pitched ball that is counted against the batter, typically one that is swung at and missed, fouled off, or judged to have passed through the strike zone.
(American Heritage Dictionary)


ここでのポイントは、空振りはストライクの一種ではあるけれども、その他にファウルを打ってしまった場合もストライクにカウントされる、ということです。

小生がよく参照するサイトにOnline Etymology Dictionaryがありますが、下記の説明がありました。


modern sense developed by 1890s, apparently from foul strike, which counted against the batter, and as hit came to be used for "contact with the ball" this word was left for "a swing and a miss" that counts against the batter


この説明だけではよく分からないというのが正直なところですが、要は、"strike"というのは"foul strike"という表現から来ているという説明です。

興味深いことに、野球のルールというのは時代と共に変遷してきており、かつてはファウルボールはストライクにカウントされないルールだったそうです。しかし、打者のファウルでも進塁が認められるのでは守備側が著しく不利になるため、"foul strike"のルールが採用されたそうです。(Baseball Referenceのサイトの解説による。)

また、かつてはストライクゾーンの球を振らなくともストライクにカウントされることはなく、打者はいい投球が来るまでバットを振らずにいることもできたそうです。

1858年のルール改正でストライクゾーンの球を振らない場合にもストライクとしてカウントされるというルールが追加されたとあります。

Should a striker stand at the bat without striking at good balls repeatedly pitched to him, for the purpose of delaying the game or of giving advantage to a player, the umpire, after warning him, shall call one strike, and if he persists in such action, two and three strikes. When three strikes are called, he shall be subject to the same rules as if he had struck at three balls.
protoball.orgのサイトより引用)

ここからは小生の想像ですが、古い時代のルールにおいては「ストライク」とは、かつては空振りとファウルボールに限定される概念であり、それらは"a swing and a miss"ということで“foul strike”と表現されてきたものの、ルール改正により見逃し(つまりストライクゾーンの球を振らない場合)にもストライクとしてカウントされるようになったことから、その意味を拡大したということではないかと思います。

ちなみにですが、三振によるアウトをアルファベットのKで表現することはよく知られているところですがあ、これは“struck(out)”の“k”から来ているそうです。


2021年1月12日火曜日

大統領就任式:テーマは"America United"

バイデン次期大統領の就任式が、およそ1週間後の1月20日に行われます。 

バイデン陣営は、就任式のテーマを“America United”に決定したと発表しました。


President-elect Joe Biden’s theme for his inauguration will be “America United,” his transition team announced Monday.

“At a time of unprecedented crisis and deep divisions, America United reflects the beginning of a new national journey that restores the soul of America, brings the country together, and creates a path to a brighter future,” a statement from the transition team read.

(中略)

“This inauguration marks a new chapter for the American people — one of healing, of unifying, of coming together, of an America united. It is time to turn the page on this era of division.

“The inaugural activities will reflect our shared values and serve as a reminder that we are stronger together than we are apart, just as our motto ‘e pluribus unum’ reminds us — out of many, one,” Biden inauguration CEO Tony Allen said in a statement.
(Emily Jacobs. Joe Biden announces ‘America United’ as inauguration theme. New York Post. January 11, 2021.)


“America United”を訳すならば、団結したアメリカ、ひとつにまとまったアメリカ、といったところでしょうか。

国名のUnited States of Americaそのままではないか、という気もしますが、先週発生した連邦議事堂での暴動にも象徴されるように、かつてない程までに米国は分断されている中、“America United”が意味するところは単なる表面的なものに留まらないものがあるように思われます。

また、バイデン氏始め、多くの政治家らがコメントしているように、党派や主義主張を乗り越えてアメリカ国民が一致団結しなければならない、そして今"healing"(癒し)が必要である、という、ほとんど悲痛にも響く願いが込められているようです。

"unite(d)"の語源はラテン語のunusであり、数字の1を意味します。(unusから動詞unireが派生し、その過去分詞形unitusから来ているというのが辞書の解説で確認できます。)



2021年1月11日月曜日

topsy-turvy

“topsy-turby”という単語をご存知でしょうか。

同じ言葉を繰り返したり、韻を踏む似たような語を重ねた表現で、reduplication、reduplicativesなどと呼ばれます。

当ブログでも度々取り上げてきました。

引用した記事は、2020年の新車販売台数に関するもので、ご存知のようにパンデミックの影響で例年よりも大きく下回ったというものです。


Automakers' topsy-turvy year ends on a high note

Automakers sold an estimated 14.5 million vehicles in 2020 — down about 15% from a year earlier and the lowest level since 2012 — as the coronavirus pandemic disrupted the industry's long winning streak.
(Joan Muller. Automakers' topsy-turvy year ends on a high note. Axios. January 6, 2021.)


記事のタイトル部分で“topsy-turvy”が使われています。ちなみに、Forbesの記事でも同じ話題ですが、この表現が使われています。


Auto Sales Are Down, But Dealer Profits Are Up, In Topsy-Turvy 2020
(Jim Henry. Auto Sales Are Down, But Dealer Profits Are Up, In Topsy-Turvy 2020. Forbes. December 23, 2020.)


さて、解説が後回しになってしまいましたが、“topsy-turby”というのは、無茶苦茶な、混乱した、とか、あべこべの、真っ逆さまの、といった意味です。

引用した記事のコンテクストでは「無茶苦茶な、混乱した」という意味がぴったりでしょうか。あるいは新車販売台数が急転直下、真っ逆さまの減少を辿ることになったことを言っているのかもしれません。

topsy-は、“top”から、-turvyの方は、“overturn”から来ていると辞書の解説にあります。




2021年1月8日金曜日

banana republic

昨日の記事でも取り上げた、トランプ支持者が議事堂を襲撃した事件は一応の鎮静化を見たようですが、デモ参加者、警察当局双方に死者を出し、アメリカ国内のみならず、世界中に衝撃を与えました。

邦紙朝刊では暴徒が占拠する議事堂内外の写真を大きく掲載し、さながら特別紙面扱いです。

何と言っても、公正であるはずの選挙結果を受け入れず、認めようとしない暴徒が現職の大統領に唆されるが如く、民主主義の根幹を成す議事堂を襲撃するというのですから、一体どこの国の話か?ということです。

ドイツのメルケル首相始め、海外首脳らも暴挙への批判の声明を発表しました。


But as the world watched flag-waving protesters push into the U.S. legislature, the shock was all the greater because such scenes would typically be more familiar from parliaments and presidential palaces in weak, nascent or non-democracies. Former President George W. Bush even compared Wednesday’s events in the U.S. to a “banana republic.”
(Marc Champion. ‘American Exceptionalism’ on the Line After Capitol Hill Stormed. Bloomberg. January 8, 2021.)


米国内においても、民主党関係者はもとより、トランプ氏の身内の共和党内からも批判が絶えません。

ブッシュ前大統領は、暴動の発生について、とてもアメリカ国内とは思えない、"banana replublic"で起きるようなことだとコメントしたようです。

"banana republic"とは、やや軽蔑的なニュアンスのある表現なのですが、発展途上国というほどの意味です。

ランダムハウス英和辞書では、


果実輸出・観光・外資への依存度の高い熱帯地方(特に中南米)の(常に政情不安定な)小国


と定義しています。

「バナナ」は単なる例えです。American Heritage Dictionaryでは、


A small country that is economically dependent on a single export commodity, such as bananas, and is typically governed by a dictator or the armed forces.


と定義しており、独裁政権、軍政国家とまで言っています。

バイデン次期大統領就任後も国内の分断された状況は続き、癒されることがないであろうというような評論を新聞では目にします。。

米国の民主主義国家としての矜持、「世界の警察」、世界のリーダーの地位は最早その影が薄くなっていると言わざるを得ないのかもしれません。



2021年1月7日木曜日

sedition

今日のトップニュースは、米連邦議会議事堂がトランプ支持者に占拠される異常事態になったと報じています。

大統領選の結果に不満を持つトランプ氏支持者らが大挙してワシントンの議事堂に押し寄せ、警備を突破し、警官らともみ合いになりながらも、議場などになだれ込みました。。

議事堂ではバイデン次期大統領就任に向けて、選挙人団投票の結果集計に関する審議が進んでいたところだったようです。


The head of the National Association of Manufacturers, a group representing 14,000 companies in the U.S., on Wednesday called on Vice President Mike Pence to “seriously consider” invoking the 25th Amendment of the Constitution to remove President Donald Trump from office.

(中略)

The trade group condemned clashes in Washington that interrupted a congressional gathering to count Electoral College results and officially declare Joe Biden president, saying the events that transpired Wednesday were “not the vision of America that manufacturers believe in.”
(Jordan Novet. U.S. trade group asks VP Pence to ‘seriously consider’ invoking 25th Amendment to remove Trump. CNBC. January 6, 2021.)


National Association of Manufacturers(全米製造業者協会)はトランプ氏とトランプ氏支持者に対する非難の声明を出し、"25th Amendment"に従って、副大統領のペンス氏はトランプ氏を排除すべきであると主張したとあります。

"25th Amendment"(合衆国憲法修正第25条)は非常時等において大統領が執務できない場合に副大統領がその職務を遂行することができると規定しているものです。

さて、全米製造業者協会の声明については記事中にその全文が引用されていました。


The statement came as the Business Roundtable and leaders such as Citi CEO Michael Corbat and Salesforce CEO Marc Benioff condemned the acts.

(中略)

“Armed violent protestors who support the baseless claim by outgoing President Trump that he somehow won an election that he overwhelmingly lost have stormed the U.S. Capitol today, attacking police officers and first responders, because Trump refused to accept defeat in a free and fair election. Throughout this whole disgusting episode, Trump has been cheered on by members of his own party, adding fuel to the distrust that has enflamed violent anger. This is not law and order. This is chaos. It is mob rule. It is dangerous. This is sedition and should be treated as such. The outgoing president incited violence in an attempt to retain power, and any elected leader defending him is violating their oath to the Constitution and rejecting democracy in favor of anarchy.
(ibid.)


声明の文中で、


This is not law and order. This is chaos. It is mob rule. It is dangerous. This is sedition and should be treated as such.


と、今回の暴動について、畳みかけるように断罪しているのですが、最後の"sedition"という単語を知らなかったので、辞書を引くことに。

英和辞書では、


扇動、そそのかし;反政府的扇動行為


などと載っています。

つまり、トランプ氏は大統領職にありながら、大統領選の結果を受け入れず、支持者を煽ることによって反政府的な言動を行っていると強く批判しているものです。

ランダムハウス英和辞書では、類語として"treason"(反逆罪)を挙げていますが、"sedition"と"treason"の違いは、後者が直接的な反政府的行為を指すのに対して、前者は間接的(文筆活動や演説などによる)であるということです。

ところで、Merriam-Webster Onlineでも"sedition"のエントリをチェックしてみたところ、本日1月6日、この単語の検索が急上昇しており、1,500%も増加したそうです。

あまり使われることのない単語なのかも知れません。

スペルが"sedation"(鎮静)とよく似ていますが(1字違い!)、意味は全くの逆。

語源欄を見てみると、"sedition"のse-は分離(separation, apart)を意味し("secret"に同じ)、-itio-とは行くこと(going)、とありました。即ち、分離、分断するように行動すること、ということです。



2021年1月6日水曜日

rigmarole

新型コロナに感染しているか否かを確認する検査として、よく知られているものにPCR検査があります。

以前は抗原検査という言葉をよく聞きましたが、最近はPCR検査という用語を聞くことがもっぱらのように思います。

実際に検査を受けたことがありませんので詳しいことは知りませんが、鼻腔や喉をスワブ(swab)という綿棒みたいなもので拭ったサンプルの遺伝子検査を行うものだと聞いたことがあります。

PCR検査にも色々種類があるようですが、最近では唾液のみで検査できる方法が登場したようです。


MANILA: President Rodrigo Duterte (pic) has expressed openness on the use of the saliva-based test for coronavirus disease 2019 (Covid-19) which recently garnered a 99 percent detection rate in the United States.

Citing the Philippine Red Cross (PRC), Duterte said the saliva-based test would be a good alternative to the more expensive reverse transcription-polymerase chain reaction (RT-PCR) test.
(Palace says saliva-based Covid-19 test ‘good alternative.’ Daily Express. January 6, 2021.)


フィリピン・マニラ発のニュース記事を引用しましたが、同記事の後半では、検査精度とはまた別次元の問題として、空港などで検査が回避されている事実について触れています。


Meanwhile, Duterte also cautioned airport authorities from skipping health and safety protocols for travellers, warning that unauthorised travel would worsen the risk of contamination.

“There are reports that some people are skipping, they can slip past with the help of airport personnel in ships. I say this now as I have said it before: Do not do it because you’ll be in trouble,” he said.

He threatened to dismiss them if they continued their dishonest practice.

“So do not go into this rigmarole if you know, you say it’s done and you bring your fake certificates. You’re really looking for trouble. And those working in the airport, haven’t you noticed that immigration personnel there, about 42 of them and many more have been dismissed. Do you want me to repeat that?” he said.
(ibid.)


歯に衣を着せぬ発言、毒舌で有名なデュテルテ大統領の発言が引用されています。

フィリピンのお国柄(!?)でしょうか、空港職員が不正に検査を免れるための手引きをしている実態があるようです。

大統領の発言中、"rigmarole"という単語が使われています。聞きなれない、見慣れない単語ではないでしょうか。

辞書を引くと、


(無意味な)手の込んだやり方; (混乱していて無意味な)ばか話
(ランダムハウス英和辞書)


と載っています。

その語源が興味深いのですが、"ragman roll"というものから来ているということなのですが、この"ragman roll"とは一体何でしょうか?

同辞書に、


1296年にスコットランドの王と貴族らがイングランド王 Edward Iに対して行った臣従の礼の記録


との説明があるのですが、何のことかよく分かりません。

また、Merriam-Websterの解説では、"Ragman"というのは昔の遊びで、沢山の詩が書かれた巻物(roll)から1つを選んで読み上げるというようなものだったそうです。

いずれにしてもその“roll”の内容がどんなものだったのかはよく分かりませんけれども、記録としても詩としても「長ったらしい」ものであったらしいということがポイントだと思われます。

つまり、ネガティヴな意味だけが残ったことで“rigmarole”という単語が生まれたということのようです。



2021年1月5日火曜日

opine

バイデン次期政権で財務省長官に任命されることが確実視されているJanet Yellen氏が、直近数年に渡ってウォールストリートの金融企業等に対して行った講演による報酬が7億円余りに上ることが報じられ、批判の声が高まっています。

利益相反の誹りは免れないでしょう。


Janet Yellen, President-elect Joe Biden's pick for Treasury secretary, made more than $7 million in recent years by giving speeches to Wall Street banks, major corporations and industry groups.

(中略)

If confirmed as Treasury secretary, Yellen will have enormous sway over everything from taxes and climate to tariffs and government spending.

(中略)

"The next Treasury Secretary making millions off of the biggest banks, PE firms, tech companies, etc. raises serious red flags," The Revolving Door Project, a progressive group that tracks conflicts of public officials, wrote on Twitter.

The group called on Yellen to publish "in full" all of her paid speeches -- a disclosure that would explain whether she was "merely opining on the markets, or offering lobbying/policy advice."
(Matt Egan. Janet Yellen made millions giving speeches to Wall Street banks she'll soon regulate. CNN. January 4, 2021.)


取り上げたいのは最後の段落に出てくる、


whether she was "merely opining on the markets, or offering lobbying/policy advice."


という部分の、“opining”という単語です。

最初一読した際、スペルミスかな?と思ったのですが、それは小生の勉強不足で、“opine”という動詞の動名詞形(いわゆる-ing)です。

意見を述べるという意味ですが、この“opine”が実際に使われているのを耳にしたり、目にすることは稀ではないでしょうか。

スペルから想像がつくように、“opinion”と語源を同一にします。(ラテン語の動詞opinariに由来)

ご存知のように“opinion”は名詞なので、「意見を述べる」と表現するには、“offer (an opinion)”とか“give (one’s opinion)”などのように“opinion”を目的語に取る動詞が必要ですが、そもそも“opine”という動詞形がある(!?)という訳です。

Merriam-Webster onlineの解説によりますと、あまり使われることのない“opine”には少し堅苦しい表現というイメージが定着しており、また、それ故にでしょうか、使われる場合も滑稽さを醸すようなコンテクストが多いようです。



2021年1月4日月曜日

rave

年末年始は密を避けて静かに過ごしましょう、という呼び掛けで国民が帰省や旅行を自粛する我が国とは極めて対照的に思われます。

夜間の外出禁止令が出されているフランスで、2,500人以上が参加する年越しパーティーが摘発されました。


An illegal rave that drew more than 2,500 people to a warehouse in western France on New Year’s Eve and continued into the weekend was busted by police Saturday in violation of coronavirus restrictions.

Police in Lieuron, about 24 miles south of Rennes, arrested at least seven people – including two who organized the rave inside a hangar that lasted more than 36 hours.

Attendees reportedly clashed with officers as they tried to end the event on Saturday morning.
(Peter Aitken. French police bust illegal rave that drew 2,500 people on New Year's Eve. Fox News. January 3, 2021.)


この事件について、パーティー(party)と表現しているメディアの他、“rave”と表現しているものがいくつか目に留まりました。

“rave”もいわゆる社交的行事の一種(!?)ですが、そもそもの意味は狂乱、怒号といったもので、ゆえに「乱痴気騒ぎ」のニュアンスがある表現です。

辞書を引いて見ますと語源不詳となっていますが、フランス語のrever(to dream; 夢見る)に由来する“reverie”(空想、夢想)という単語に関連するともあります。

Merriam-Websterの定義を参照しますと、


a large overnight dance party featuring techno music and usually involving the taking of mind-altering drugs


とあり、喧しい音楽と幻覚剤の使用を伴うようなお祭り騒ぎのパーティーということで、参加者は現実を忘れて熱狂するのでしょう。その点では“reverie”との関連をやはり想起させます。

以前取り上げた“orgy”にも近いものがあるかと。


2021年1月1日金曜日

in the thick of woods

新年おめでとうございます。本年も「えいご1日1語」を何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、新年早々またこの話題かと思われるかもしれませんが、ウィルスに年末年始はありませんとはよく言ったもので、年が変わったからといってパンデミックが収束するというものでもありません。

現に国内における新規陽性者数は大晦日に過去最高を記録し、危機感が高まっています。

アメリカでは、カリフォルニア州で医療崩壊の瀬戸際にあるというCNNの記事から引用です。


Overflowing hospital morgues, increased 911 wait times, beds only opening when patients die. Hospitals in California, where almost all of the state's 40 million residents are living under stay-at-home orders, are seeing historic stress points.

The surge of new coronavirus cases and hospitalizations is pushing hospitals in Los Angeles County to the "brink of catastrophe," a top health official there said.

(中略)

"What we are seeing now, is not normal," Dr. Ahmad Kamal of Santa Clara Valley Medical Center said. "We are clearly not out of the woods, we are in the thick of the woods."
(California hospitals stressed to the 'brink of catastrophe' by the coronavirus surge. CNN. January 1, 2021.)


現場の医師の発言が引用されています。


"We are clearly not out of the woods, we are in the thick of the woods."


“the woods”とはパンデミックによる危機的状況のことを指しています。「森」には、森林浴のようなクリーンなイメージがありますが、森の中にいると光を遮られて暗いため、欧米人にとっては危機や災難を示唆するメタファーであると聞いたことがあります。

人類はまだパンデミックの危機的状況から脱したのではなく、その真っ只中にある(in the thick of the woods)というのが正しい現状把握でしょう。

“thick”とは太い(部分)ということですが、その他の意味としては、森の中の茂み、また(危機の)真っ最中である、という意味で用いられます。

2021年は何とか早くにこの状況から脱したいものですが、暗くて先行きが見えにくいというのが誰もが抱いている気分ではないでしょうか。