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2023年12月29日金曜日

plant

来年の米大統領選の共和党指名候補のひとりであるNicki Haley氏が自身のコメントの釈明に追われているそうです。

ニューハンプシャー州で行われたタウンホールミーティングで、南北戦争のきっかけを何と考えるかと問われたHaley氏ですが、その回答において奴隷制(slavery)に言及しなかったことが疑問視されているものです。


Nikki Haley on Thursday sought to clarify her comments about the Civil War one day after a voter in New Hampshire called her out for not mentioning slavery as a cause of the war.

“I mean, of course the Civil War was about slavery,” Haley told radio host Jack Heath Thursday morning.
(Ebony Davis. Haley seeks to clarify Civil War comments as backlash mounts. CNN. December 28, 2023.)


Haley氏は後になって、南北戦争が奴隷制と関連していることは当然認識していると釈明しましたが、最初に奴隷制の言及が無かったということに、民主党はもとより、共和党内からもHaley氏の歴史認識を疑問視する声が上がっている模様です。バイデン大統領はSNSのXに、南北戦争が奴隷制を契機としていることは自明だ、と投稿しました。

ところで、当の質問をしたのはタウンホールミーティングに出席していた選挙権者のひとりということになっていますが、詳細な素性は不明だということで、記事でもファーストネームが認められるに留まっています。

Haley氏は釈明の中で、この質問が「ひっかけ」であった可能性を示唆しています。民主党の「回し者」が意図的に質問をぶつけてきたのだろう、という訳です。


Haley has sought to clarify her remarks since, saying Thursday that “of course the Civil War was about slavery” and arguing that the voter who asked the question was a “Democrat plant.”
(Haley’s Civil War remarks stir backlash at crucial moment for campaign. The Hill. December 28, 2023.)


上に引用したくだりで、


Democrat plant


とありますが、"plant"には植物の意味以外に、


スパイ、回し者、さくら


の意味があります。

American Heritage Dictionaryの定義を見てみましょう。


A person or thing put into place in order to mislead or function secretly, especially:

a. A person placed in a group of spectators to influence behavior.
b. A person stationed in a given location as a spy or observer.
c. A misleading piece of evidence placed so as to be discovered.
d. A remark or action in a play or narrative that becomes important later.


別記事では、"plant"が動詞として使われています。
 

Haley said on Thursday she thought the questioner was "definitely" planted by Democrats to trip her up. 
(Nidia Cavazos. Nikki Haley defends leaving slavery out as cause of Civil War after backlash. CBS News. December 28, 2023.)


そして、動詞の"plant"も、スパイや回し者、「さくら」を忍ばせるという意味で使われます。

To station (a person) for the purpose of functioning in secret, as by observing, spying, or influencing behavior
(American Heritage Dictionary)


この一件が今後どのような展開を見せるのか注目されるところです。


2023年12月28日木曜日

asylum

移民問題、特に南米からメキシコを経由して越境する移民は米国を二分する大きな問題となっていますが、ニューヨーク市のアダムズ市長はテキサス州から同市に流入する移民を抑制する政令を発布しました。

具体的には、移民を乗せたバスの受入れ時間帯の制限や事前申請の徹底などということですが、テキサス州がニューヨーク市に一方的に移民を押し付けているという不満があるようです。


NEW YORK — Mayor Eric Adams issued an executive order Wednesday to restrict the flow of migrant charter buses sent by Texas Gov. Greg Abbott to New York City.

Adams said the order mandates any buses carrying migrants arrive in the city only between 8:30 a.m. and noon on weekdays. The buses’ arrival must also be announced 32 hours in advance, he said. The order specifically applies to buses contracted by the state of Texas — whose governor Adams routinely blames for sending asylum seekers into the five boroughs.
(Jason Beeferman. Mayor Adams announces executive order aimed at restricting Texas Gov. Greg Abbott’s migrant busing. Politico. December 27, 2023.)


さて、移民は"migrant"ですが、記事では、


asylum seeker


とも表現されています。

"asylum seeker"とは「亡命希望者」と訳されますが、圧政や人権侵害などから逃れるため、他国へ保護を求める人々を指す用語です。

先日ですが、高校生の娘から、難民と亡命者はどう違うか、という質問をうけました。英和辞書の"refugee"のエントリには、両方の日本語が載っているのですが、私は「亡命者」という日本語に対しては"asylum seeker"という英語がまず思い浮かんだのですが、正直なところこれらの日英語の明確な使い分けについては説明が出来なかったのでした。

質問を受けて調べたAmnesty Internationalの解説によると、"migrant"、"refugee"、"asylum seeker"はそれぞれ異なる概念であるということになっています。

このうち、"migrant"には国際的な定義は明確化しておらず、様々な理由を背景として他国へ移動する人々を指すということですが、"asylum seeker"は「亡命希望者」という日本語にある通り、他国による保護を求めている人のことであり、その結果「難民」と認定された人が"refugee"という扱い、ということのようです。

さて、"asylum"ですが、保護施設、収容所を意味するこの単語はラテン語asylumから来ており、さらに遡るとギリシャ語であると語源欄から確認できます。

"asylum"という単語のa-は欠落、除外を意味する接頭辞であり、続く部分のギリシャ語sulonは"right of seizure"(逮捕の権利)を意味するとあります。つまり、"asylum"とは捕われることから免れている状態を指しているもので、故に保護施設ということなのです。

この意味で"asylum"は"refuge"(避難場所)と同じであり、"asylum seeker"は"refuge"を求める人ということですから、Amnesty Internationalの説明は腑に落ちます。

因みに、"refuge"という単語はラテン語fugere(逃げる)から来ています。


2023年12月27日水曜日

go pear shaped

記事の引用からお読み下さい。


Heading off over the Christmas break? And maybe you’re thinking of renting out your main residence on the short-term rental market, such as Airbnb or some similar platform? That can be a great way to fund your holiday, but what if it all goes pear shaped?

Suppose you come back to wrecked appliances or even a trashed house, or what if your renter suffers an injury during their stay? Slips on a wet floor, falls down a set of stairs or gets an electrical shock from faulty wiring. Any of those scenarios could end up costing you a lot more than whatever you’ve earned from the rental.
(Michael Gebicki. Renting out your place while you’re away? Beware this trap. The Sydney Morning Herald. December 26, 2023.)


年末年始のホリデーシーズンですが、旅行中に自身が不在の自宅を他人に貸すというようなビジネスがあるそうです。資産の有効活用というやつです。上手く行けば旅行費用のいくらかを取り戻すこともできて良いですが・・・。

今日取り上げるのは、以下のくだり、


but what if it all goes pear shaped?


という部分で使われている、"go pear shaped"というフレーズです。この表現を知りませんでした。

"pear"は西洋ナシですから、西洋ナシの形のようになる、というのが字義通りの意味です。

手元にある辞書を引くと"pear-shaped"のエントリがありますが、セイヨウナシ形の、というそのまんまの意味と、他には、柔らかみのある豊かさの、朗々とした、という意味が載っているだけで、記事の用例にはいずれも当てはまらないものでした。

それでオンライン辞書などを検索してみると、この"go pear shaped"というフレーズは、


go wrong


と同じ意味合い、つまり上手く行かない、思った通りに事が運ばない、という意味で用いられることが分かりました。

何故、西洋ナシの形になることが"go wrong"の意味になるのか?

この表現はイギリス英語のものとされていますが、諸説あるらしいことが分かりました。

英語辞書の総本山オックスフォードによると、英空軍(RAF)のスラングとあり、墜落して先頭から潰れた機体全体の形状が西洋ナシを彷彿とさせるから、というような説明があります。

なるほど分からなくもありません。

他の説では、これまた飛行機に関連するものですが、上空で旋回軌道を試みた航空機がきれいな円を描けず、西洋ナシのような歪んだ旋回軌道になることになぞらえたもの、というものです。

なるほど、日本の梨がリンゴのように丸い形状をしているのと異なり、西洋ナシは上の部分はやや細長く、なで肩で下部に至って丸みを帯びる形状となっていて、綺麗な「まる」(丸)ではなく、歪んだ「まる」とも言えます。

その他の説では、パンクしたサッカーボール、空気が抜けた気球などの形状、つまり本来円球であるものが西洋ナシのような歪んだ形状に至る状況を意味したものという説、滑って尻もちをついたイメージ、など、やはり西洋ナシのいびつな形状に重ねたものとなっています。

似た意味合いの表現、"go south"もご覧下さい。


2023年12月26日火曜日

swatting

"swatting"という言葉をご存知でしょうか?

動詞の"swat"には、(ハエなどを)ピシャリと叩く、という意味がありますが、今日取り上げる"swatting"には特別な意味があります。

共和党のグリーン議員は、"swatting"の被害で家族とのクリスマス休日がぶち壊しになったとSNSに投稿しました。


Rep. Marjorie Taylor Greene (R-Ga.) said someone reported a fake crime at her home Monday, the latest in a series of apparent swatting incidents that have targeted her.

“I was just swatted. This is like the 8th time. On Christmas with my family here. My local police are the GREATEST and shouldn’t have to deal with this,” she said in a post on X, formerly known as Twitter. 
(Jared Gans. Greene says she was swatted while at home with family on Christmas. The Hill. December 25, 2023.)


記事の内容から起きたことのイメージがつきます。何も無いのに突然警察が自宅にやってきて・・・、というシチュエーションです。


Picture this.

You’re sitting at home, enjoying a quiet afternoon, when you hear a knock at your door. Strange. You’re not expecting anyone, but maybe it’s a neighbor or that package you’ve been waiting for from Amazon.

But when you open the door, a troop of SWAT officers outfitted in specialized gear swarm your home and order you to get on the ground. They go room to room, shouting commands and training their rifles on anyone they come across.

You’ve just been swatted.
(Dakin Andone. Swatting is a dangerous prank with potentially deadly consequences. Here’s what you need to know. CNN. March 30, 2019.)


"swatting"の"swat"とは警察の特殊部隊を意味するSWATに由来します。"swatting"とは、ターゲットの居宅で重大事件が起きているというような虚偽の通報を行い、警察などを動員することで嫌がらせをするというものです。

冒頭で取り上げた動詞のエントリとは別に、"swat"は以下のようにMerriam-Websterで定義されています。


to make a false report of an ongoing serious crime in order to elicit a response from law enforcement (such as the dispatch of a SWAT unit)


紙の辞書には多分載っていませんが、日本語ではいたずら電話、虚偽通報、くらいに相当するでしょうか。

しかしながら、米国の"swatting"では特殊部隊が出動した結果、死者が出た事例もあるそうですから、いたずらでは済まない話です。


2023年12月25日月曜日

organza

故ダイアナ元妃のドレスがオークションで百万ドルを超える高額で落札されたそうです。


Julien's Auctions announced on Sunday that Princess Diana's ballerina-length evening dress by Moroccan-British fashion designer Jacques Azagury that she wore in Florence, Italy in April 1985 and again to the Vancouver Symphony Orchestra in 1986, along with a matching illustration, sold for $1,148,080. The winning bid was 11 times its original estimate of $100,000.

According to Julien's Auctions, "The dress with padded shoulder pads features a black velvet bodice with embroidered stars in metallic thread made from Jakob Schlaepher fabric with a two-tier royal blue organza skirt with a sash and bow. The ballerina skirt was the perfect nod to Diana's love of dance and her being a patron of The English National Ballet."
(Stephanie Petit. Princess Diana's Dress Sells for a Record-Breaking $1.1 Million at Auction — 11 Times the Estimated Price. People. December 18, 2023.)


落札されたのは、黒いベルベット地に星形の模様をあしらったイブニングドレスで、ロイヤルブルーのスカートと併せてダイアナ元妃が着ていたものです。オークション対象はこれらにデザイナーによるイラストもセットになったもので、ダイアナ元妃愛用のドレスとしては最も高額な落札となったとあります。

小生はファッションや服飾に明るい訳ではありませんが、記事ではスカートについて、


a two-tier royal blue organza skirt with a sash and bow


とあります。

リボンなど装飾が付いたスカートということなのですが、"organza"というのは恐らく生地の素材を指すのであろうと読みました。そういえば、「オーガンジー」とかいうカタカナがあったなあ、と。

それで一応辞書を引いてみたのですが、ここから今日の1語を巡る混乱(!?)がスタートしました。

手元にある英和辞典の"organza"のエントリには、商標名Lorganzaに由来するとの説明があります。一方、"organzine"を参照せよ、ともあり、すぐ下にそのエントリがあるところ、こちらはUrgandiという都市名に由来するとあり、さらに"organdie"を参照せよ、とあるではありませんか。

そして、"organdie"のエントリでは「オーガンジー」というカタカナを見つけるのですが、そこでは"organzine"を参照せよ、とあり堂々巡りのようになってしまいました。

ここで、いわゆる「オーガンジー」(organdie)なるものは今回落札されたスカートの生地"organza"とは違うものらしいと分かるのですが、ネットを検索するとやはり「オーガンジー」と"organza"(オーガンザ)は別物のようです。しかし、ややこしいことにどちらも薄手の透明感ある服地を指すようなのです。

ところで、別の辞書を参照してみると、"organza" がLorganzaという商標からきているとするものは上にあげた研究社新英和とMerriam-Websterがあるのですが、American Heritage Dictionaryはウズベキスタンの都市名Urganchに由来するとあり、これは先に確認した"organzine"の由来である都市名Urgandiと同じものを指すのか?という疑問が。(結論としては同じようです。)

これを書いている今も整理出来ていないのですが、"organza"、"organzine"、"organdie"(organdyとも)という3つの単語とその由来に翻弄されています。

確からしいのは、オーガンジーと"organza"(オーガンザ)は一応別物らしいという事。

オーガンジーを表す英語は"organdie" (organdy) と思われるが、これに用いる絹糸である"organzine"は中央アジアの都市名(現ウズベキスタンのUrgench)に由来するらしいという事。

商標とされるLorganzaの詳細はネットを検索しても詳しいことは出て来ず、"organza"というスペルの単語の元になったという説はなるほどありそうな感じではありますが、本当なのかなぁ、と。

2023年12月22日金曜日

食品偽装 ー food fraud

アメリカの多数の州でアップルソースによる鉛中毒の報告が相次ぎ、米食品医薬品局が捜査に乗り出しました。

記事の写真に見るアップルソースの商品はパウチのような形状で販売されているもののようですが、乳幼児向けでしょうか、子供の中毒症例が特に多いということで、発育への悪影響が懸念される事態となっているもようです。


Health authorities are now investigating at least 205 cases of lead poisonings across 33 different states linked to contaminated applesauce, the Centers for Disease Control and Prevention announced Tuesday. That's up from 125 cases in the agency's last weekly tally.

The growing case count comes as the Food and Drug Administration continues its probe into the source of the tainted cinnamon blamed for the contamination.

(中略)

One theory the FDA has been exploring is whether the cinnamon was contaminated as the result of "economically motivated adulteration," an agency spokesperson said. Economically motivated adulteration is when a person or company swaps ingredients or adds filler to make a product more profitable — the FDA also refers to it as "food fraud." An agency spokesperson declined to identify what other theories investigators have been pursuing.
(Alexander Tin. Recalled applesauce pouches now linked to more than 200 lead poisoning cases in 33 states, CDC says. CBS News. December 19, 2023.)


鉛が検出されているのは風味づけに用いられるシナモンが原因のようですが、許容値の数千倍というレベルで検出されており、被害の拡大が懸念されます。

商品の製造元はエクアドルのメーカーらしく、米当局も捜査の手が十分に及ばないともあります。

引用した記事の後半で、鉛の混入について意図的である可能性が示唆されています。

"economically motivated adulteration"というのがそうですが、これは金銭的な動機から行われた混入、ということです。

そして今日の1語、


food fraud


となるのですが、これは日本語では食品偽装と訳されています。

"food fraud"(食品偽装)にはいくつかの類型があるそうですが、典型的なものに商品のボリューム(量)を嵩増ししたり、原材料を安価で粗悪なもので置き換えるというものがあり、今回のケースでもこのような食品偽装の手口が疑われるとあります。

2023年12月21日木曜日

hot garbage

来年行われる米大統領選ですが、依然としてトランプ元大統領の影響力は大きく、つい先日も支持率では現職のバイデン大統領を脅かす候補であるという報道を見かけました。

しかしながら、前回大統領選後のワシントン議事堂襲撃を扇動したとされるトランプ氏がそもそも大統領選候補者として出馬することに否定的な意見は以前からあり、コロラド州ではトランプ氏を排除する決定を判事の賛成多数で下したと報じられています。


The Colorado Supreme Court ruled to drop former President Trump from the state's 2024 ballots. While other states consider the same move, federal prosecutor Francey Hakes ripped the "shocking" decision on "Fox & Friends" Wednesday.

(中略)

The disqualification, which was made under the 14th Amendment of the U.S. Constitution, is related to the Capitol riot on Jan. 6, 2021.

Tuesday's 4-3 ruling is stayed until January 4 because of likely appeals. Three justices on the Colorado Supreme Court dissented.
(Madeline Coggins. Colorado judges' decision to remove Trump from ballot is 'hot garbage,' says former prosecutor. Fox News. December 20, 2023.)


同様の動き、すなわちトランプ氏を大統領から排除すべきか否かという検討は他の州でも行われているようですが、排除されるとなるとトランプ氏の支持者は恐らく黙ってはいないでしょう。

引用した記事はコロラド州裁判の決定に反対の立場を取る元検事の意見を取り上げたものですが、記事のタイトルに出てくる、


hot garbage


という表現が目に留まりました。

"garbage"は屑(くず)、ゴミ、のことですから、今回の判決を批判しているということは分かります。

元検事の発言というのが以下のように引用されています。


FRANCEY HAKES: It really is a shocking opinion. I read it. It is a couple of hundred pages of hot garbage. There is simply no defense for this anywhere in the Constitution.
(ibid.)


"hot garbage"という表現を見るのも聞くのも初めてで、いったい"hot"と"garbage"という単語がどのようにして結び付くのが分からなかったのです。

手元の辞書を引いてみますが、"hot garbage"を載せているものはなく、ネット検索してみるとどうやらスラングらしいです。

そして、"hot garbage"とは炎天下に放置された生ゴミが腐臭を放つことの連想から生まれた表現らしいということも分かりました。

従って、単に"garbage"でも否定的な表現ですが、"hot garbage"はさらに語気を強めた表現ということになるかと思われました。

つまり、単に「酷い」というよりも、「輪をかけて酷い」、ということです。

2023年12月20日水曜日

pixie cut

フランスの美人コンテストで優勝し、ミス・フランスに輝いた女性のヘアスタイルが物議を醸しているというニュースを読みました。

記事によれば、ミスコンテスト103年の歴史の中で受賞者のヘアスタイルがショート(短髪)というのは前代未聞だというのです。


A haircut sparked international online backlash after Eve Gilles was crowned Miss France on Saturday.

The 20-year-old from Nord-pas-de-Calais sported a pixie cut hairstyle as she was crowned, making her the first contestant in the pageant’s 103-year history to not have long hair.

Social media users called out Gilles’ win, accusing the judges of supporting "wokeness" by picking someone with an "androgynous" look. In response, Gilles insisted that every woman is different.
(Lindsay Kornick. Miss France defends short haircut after online backlash: 'Every woman is different'. Fox News. December 19, 2023.)


記事のタイトルでは"short haircut"ですが、本文中では、


pixie cut hairstyle


と出てきます。

短く刈りそろえたショートの髪型を"pixie"というそうですが、これは知りませんでした。

"pixie"には英国の伝承に出てくる小妖精のことだと辞書にあります。髪型のショートカットとこの妖精に関連があるのかは、他の辞書等も見てみましたが、不明です。

ファッション誌ヴォーグの記事によりますと、"pixie cut"は1950年代に始まり、女優のオードリー・ヘップバーンらがショートスタイルにしたことで流行したということです。


In the 1930s and 1940s, as flapper style faded, there was a return to longer lengths. Fast-forward to the 1950s, and the pixie cut as we know it today—though not quite as short—was born. Popularized by the actors Audrey Hepburn and Jean Seberg, who boldly rejected the long waves and coifs of their silver-screen counterparts, the pixie became a symbol of nonconformity and empowerment.
(Kristen Bateman. How the Pixie Cut Evolved Into Today’s Biggest Beauty Statement. The Vogue. April 27, 2021.)


それにしてもミスコンテストではロングヘアが常識(!?)というのは知りませんでした。

今回優勝した女性はショートスタイルは個性と主張していますが、それを"woke"だと批判する声があるとかで、こういう議論が起きるのも時代の流れなのでしょうか。


2023年12月19日火曜日

tranche

米国のウクライナへの支援の予算が間も無く尽きようとしているというニュースは先日も取り上げましたが、EUによるウクライナ支援も同様の困難に直面しています。

27カ国の加盟国がある中で、ハンガリーは追加の支援に否定的なためです。EUでは1カ国でも拒否権を発動することができるため、ハンガリーの同意を得るための駆け引きが模索されているようです。


European Union member states are mulling a "Plan B" to neutralize Hungary's block on some $54 billion in emergency funds for Ukraine, as Kyiv enters what is expected to be a punishing and dangerous second winter of full-scale war with Russia.

"Work on potential alternatives" to the stalled funding plan is under way, European Commission President Ursula von der Leyen said, after Hungarian Prime Minister Viktor Orbán delivered on his threat to block the latest tranche of funds for Kyiv at last week's two-day summit in Brussels.
(David Brennan. Rarely Used Loophole Could Allow Ukraine Allies to Unlock Aid Funds. Newsweek. December 16, 2023.)


今日の1語は、"tranche"です。

初めて見る単語でしたが、記事中、


the latest tranche of funds for Kyiv


と出てきます。

"tranche"はおおよそ"portion"(一部分)という語に置き換えられますが、収入とか資金、債権など、比較的大きな額のお金の一部分を指す単語です。

スペルから想像がつくように、"tranche"はフランス語から来ています。

フランス語の動詞trancherは切る(to cut)という意味で、"tranche"は切られたもの、切り分けられた部分(slice)を意味すると辞書の語源欄にあります。

因みに、塹壕を意味する"trench"も同じフランス語に由来しており、これは塹壕が地面を掘って(切り裂いて)形成するものであることを指しています。


2023年12月18日月曜日

sexcapade

米国の上院の会議室で撮影されたと思しき性行為の録画ビデオがネットに流出し、騒ぎになっています。


The United States Senate was rocked by a gay sex tape scandal after a video of two men engaged in an explicit sex act in a Senate hearing room appeared online.

U.S. Capitol Police told Fox News they were aware of an amateur pornographic video published by the Daily Caller late Friday. The extremely graphic footage shows someone identified as a congressional staffer having sex with another man on the dais in hearing room 216 of the Hart Senate Office Building.

(中略)

A senior Congressional official told Fox News that if the sex acts were consensual, "no crime was committed," regardless of the locale.

(中略)

FOX News contributor Jonathan Turley suggested in a blog post that the individuals seen in the video could face potential criminal charges, even if the act was consensual.

"Obviously, the videotape will result in the termination of any staffers involved. However, the question is any possible criminal charge," Turley wrote on his website. 

According to Turley, the charges would hinge on whether the unofficial use of a Senate hearing room for the sexcapade would constitute trespass.
(Chris Pandolfo. NSFW: Capitol Hill rocked by sex tape scandal featuring famous Senate hearing room. Fox News. December 16, 2023.)


問題の録画は、議会スタッフの男性が全裸で会議室のテーブルの上で他の男性と性行為に及んでいるという生々しいもので、同性愛者のオンラインコミュニティにアップロードされていたものをニュースサイトのDaily Callerが取り上げました。

今日取り上げるのは、


sexcapade


という単語です。

これは"sex"と"escapade"のかばん語です。

"escapade"には羽目を外すこと、いたずら、という意味合いがありますが、重要法案の審議や聴聞が行われる場を冒涜するような行為は明らかに場違いな行為であり、タダで済む話ではありません。

報道を受けて、民主党上院議員は問題のスタッフを解雇したと発表しました。

2023年12月15日金曜日

gate lice

唐突ですが、"gate lice"って何のことかご存知でしょうか?


The decision of when to get in line to board an airplane can be a contentious one, but it shouldn’t be.

While gate agents will give clear, boarding group-specific directions , there remains a strong contingent of passengers who either get in line before they’re called or wait in their seats until they’re the last to board. While the latter type of traveler often hangs back to avoid standing in line altogether, the motives driving the former group can be harder to place.

Airline employees even have a nickname for these types of fliers: Gate lice.
(Sophia Andrade. Why do ‘gate lice’ line up early for a flight? Psychologists explain. The Washington Post. December 13, 2023.)


年末年始の休暇が近づいてきましたが、旅行や帰省に飛行機を使う人も多いことでしょう。

飛行機の場合、搭乗機のゲートでしばらく待つことになりますが、搭乗の順序は飛行機の前方の席から、即ちファーストクラスの乗客からというのが普通です。また、車椅子の利用者など介助の必要な人が優先され、一番安い料金のエコノミークラスの乗客は最後というのが定番となっています。

しかし、順番でもないのにゲート入り口付近に並び始める乗客というのがどの国のどの飛行場でも見られます。

こうした乗客は優先的に案内されている乗客が搭乗する流れを阻害するため、


gate lice


と呼ばれて嫌われています。

"gate lice"のliceは"louse"(シラミ)という名詞の複数形です。"gate lice"は搭乗ゲートに集るシラミという、誠に以って不名誉な名称を与えられています。

なぜ、自分の順番にならないのにゲート入り口に並ぼうとするのか?記事によれば、ひとつには旅行にウキウキして興奮が抑え切れずに気がはやるというのがあると分析されています。また、もうひとつには、ひとりがそういう行動を取ると、集団心理、競争心が働いて連鎖的に同じ行動を取る乗客が出てしまうというのがあるようです。

なお、"lice"(louse)には、下劣な奴、鼻つまみ者、という俗語の意味があるようで、順番を守っている他の乗客は元より、空港職員にとっても嫌われ者のようです。

2023年12月14日木曜日

testy

ウクライナのゼレンスキー大統領が米国を訪問、ホワイトハウスでのバイデン氏と会談となりましたが、その後の記者会見で矢継ぎ早に質問攻めするマスコミにバイデン氏がぷっつん(!?)した、という記事を読みました。

多数の記者が恐らくは一斉に質問し始めたのでしょうか、バイデン氏は、ちょっと静かに!というような感じで諌めた模様です。


President Biden got testy with White House reporters Tuesday as they blasted him with questions during his Oval Office meeting with Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy.

After his talk with Zelenskyy concluded Tuesday afternoon, the gaggle of reporters present peppered both world leaders with questions. Seemingly taken aback by the volume and number of questions coming his way, Biden held up his hand and exclaimed, "Whoa! Whoa! Whoa, hush up a second, Okay?"

The noise from the reporters died down as Biden went on to make his announcement. "I got one more thing to say," he stated, while holding a stack of papers in his hand. "I just signed another $200 million draw down from the Department of Defense for Ukraine."
(Gabriel Hays. Biden tells White House reporters to 'hush up,' laughs as he ignores their questions. Fox News. December 12, 2023.)


上で「ぷっつんした」と書いたのですが、カッとなった、キレかけた、と訳しても良いと思われる、今日の1語は"testy"です。

辞書には、


短気な、怒りっぽい


といった訳語が見えます。つまり、アレですね、大阪弁でいうイラチというか、頭に血がのぼりやすい、ということかと思います。

ところで、"testy"という単語のスペルにはtestという文字が見えるので何だかカタカナの「テスト」、つまり試験を思い出しますね。

"testy"という単語はラテン語testaに由来するのですが、このラテン語はレンガとか(土製の)壺、甕、また動物の外殻、被殻といった意味です。

このラテン語が頭部、頭の意味に発展し、フランス語ではtêteになります。因みに、壺とか甕から頭部を発想するのは、ドイツ語で頭を意味するKopfが英単語の"cup"と類縁にあるということとも共通性があるそうです。(Online Etymology Dictionaryによる。)

ということで、"testy"とは頭と関連しており、頭に血がのぼってキレやすいことを言うようになった、という話でした。

ところで、上では英単語の"test"という単語にも触れましたが、大変興味深いことに、テスト、試験を意味する"test"もラテン語のtestaと関係があるんですね。

語源解説によれば、金属を溶かして質を試すのに壺や甕を用いたことから、現在の"test"の意味になったそうです。

2023年12月13日水曜日

veritas

米・ハーバード大学は、反ユダヤ主義への偏向などで批判されている学長の続投を決定しました。

10月に発生したハマスによるイスラエルへのテロ行為の後、ハーバード大学など米の名門大学ではユダヤ人の大量虐殺を容認するような発言などが見られ大きな問題となりました。学長についてはこれ以外にも、発表した論文の中に盗用が疑われる記述などが指摘され、学長としての資質が問われていました。

学長職の続投が正式発表されたことを受け、共和党議員からは一斉に批判の声があがっているようです。


House GOP Conference Chair Rep. Elise Stefanik, R-N.Y., slammed Harvard’s decision Tuesday to stand behind Harvard President Claudine Gay despite her testifying last week at a congressional hearing that calls on campus for the genocide of Jews require "context" before they would violate the school's code of conduct. 

Taking a point of personal privilege at the top of the House Republican Conference press conference, Stefanik ripped the "complete moral failure" of Harvard's leadership, saying that in allowing Gay to remain as president, the "only update to the code of conduct" that the Ivy League school has made after the hearing, "is to allow a plagiarist as the president of Harvard."
(Daniel Wallace. Stefanik shreds Harvard over 'complete moral failure' after allowing Claudine Gay to remain president. Fox News. December 12, 2023.)


引用した記事は、自身もハーバード大卒というステファニク議員による批判です。同氏はハーバード大のモットーである"Veritas"を引き合いに、大学側の決定を非難しています。


"As a Harvard graduate, I'm reminded of Harvard's motto, Veritas, which goes back – and it's older than the founding of our country, it goes back to the 1640s. In addition, the motto was Veritas Christo et Ecclesiae – Truth for Christ and the Church."

"Larry Summers, who was president of Harvard when I was an undergrad, talked about the meaning of Veritas is divine truth, moral truth. Let me be clear. Veritas does not depend on the context," Stefanik said. "This is a moral failure of Harvard's leadership and higher education leadership at the highest levels, and the only change they have made to their code of conduct, where they failed to condemn calls for genocide of the Jewish people, the only update to the code of conduct is to allow a plagiarist as the president of Harvard."
(ibid.)


"Veritas"とはラテン語で、真理、公正、正義という意味です。

ハーバード大の他、サウスダコタ大も"Veritas"をモットーとし、校章・紋章に"Veritas"の文字が見えます。


2023年12月12日火曜日

prevail

ウクライナのゼレンスキー大統領が3度目の訪米と報じられています。

米国のウクライナ支援は予算が尽きかけており、米議会で追加予算承認のタイムリミットが迫っていると連日報道されているところです。支援を進めたいバイデン政権と消極的な共和党側で対立構図にあり、不法移民対策の強化とセットでの妥協点が模索されているようです。

支援が滞ることになれば戦況はウクライナにとって不利なものとなることは確実と見られており、ゼレンスキー大統領自ら支援を訴えることが訪問の目的です。


Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy will get one last chance to prevail on senators to cut a deal on funding Ukraine’s defense against Russia before the chamber is scheduled to go home for the holidays.

Zelenskyy is scheduled to address all senators at a Tuesday morning meeting, according to a Senate leadership aide. The Senate is struggling to finish a deal that would marry Ukraine funding with new border restrictions, and Zelenskyy’s address may help prevail on senators in both parties to finish the job.
(Zelenskyy gets one last chance to convince Senate to cut a deal. Politico. December 10, 2023.)


今日の1語は、"prevail"です。

この単語には勝つ、優勢である、広がっている、といった意味があることはご存知だと思います。

この"prevail"という単語を見ると思い出すフレーズがあります。


May peace prevail on earth.


読者のみなさんも一度は見たことがあるのでは!?

街中や公園などに立っている白いポールに黒字で書かれたメッセージです。「世界人類が平和でありますように。」という日本語が添えられています。英語を習い始めた中学生の頃、まだ"prevail"という単語を知らなかった私は、その意味を辞書で確認して、ポールの書かれたこの文言は平和(peace)が地球上に「あまねく行き渡る」("prevail")ということを祈願する文なのだ、と納得した記憶があります。

さて、引用した記事では、2箇所、"prevail"という表現が使われています。


Zelenskyy will get one last chance to prevail on senators to cut a deal on funding…

Zelenskyy’s address may help prevail on senators in both parties


大体意味するところは分かるのですが、ここでの"prevail"の意味は、「あまねく行き渡る」や「勝つ」ではちょっとうまくはまりません。辞書では語義として最後の方に載っていますが、


説き伏せる、納得させる


という意味です。

この意味で"prevail"が用いられる時、目的語には相手(人)を取り、前置詞としてon、uponが用いられます。

ゼレンスキー大統領はウクライナ支援に懐疑的な上院議員らを得心させるために米国を訪問したという訳です。

この意味合いにおいて、"prevail"は"persuade"の同義語ですが、American Heritage Dictionaryの解説には以下のようにあり、


One prevails on somebody who resists: "He had prevailed upon the king to spare them" (Daniel Defoe).


特に抵抗する相手、拒否姿勢の相手に対して「説き伏せる」というニュアンスがあります。

米国ではこれからクリスマス休暇を迎え、議員らも地元に帰ってしまうために、追加予算の承認に折り合いが付かなければ支援が途切れることは避けられないと報道されています。

ロシアの軍事侵攻で沢山の犠牲者が出、厳寒の中クリスマスも新年も無いに等しい人々が喘いでいる中、俺等はクリスマス休暇だから後は知らんとばかりに法案の審議を放棄する議員の輩には呆れます。

ゼレンスキー氏はこんな米国会議員らを"prevail"できるでしょうか?また、果たしてウクライナはロシアを斥けて、"prevail"できるのでしょうか?

2023年12月11日月曜日

wild-haired outsider

アルゼンチンの大統領に就任したミレイ新大統領が就任後初めての演説を行いました。

超インフレに見舞われている同国の経済を立て直すため、ミレイ大統領は自国通過のドル化などを公約に当選しましたが、大幅な歳出削減など、過激な政策が果たして同国の再生につながるのか、その手腕が問われます。


Argentina libertarian economist Javier Milei took office on Sunday warning in his maiden speech that he had no alternative to a sharp, painful fiscal shock to fix the country's worst economic crisis in decades, with inflation heading towards 200%.

"There is no alternative to a shock adjustment," he said on the steps on Congress after taking the presidential baton and sash, with crowds of supporters cheering despite Milei saying the economy would worsen in the short term. "There is no money."

(中略)

The wild-haired outsider marks a major gamble for Argentina: his shock therapy economic plan of sharp spending cuts has gone down well with investors and could stabilize the embattled economy, but it risks pushing more people into hardship with over two-fifths already in poverty.
(Argentine President Milei warns economic shock unavoidable in maiden speech. Reuters. December 11, 2023.)


新大統領について、


wild-haired outsider


と表現したくだりがあります。

ハビエル・ミレイ氏は経済学者の肩書を持つそうですが、テレビ番組などにも出演し、かねてより過激な経済政策の持ち主だったようです。政治的にはいわゆる極右に位置付けられ、アルゼンチンのトランプとも呼ばれているとか。

実のところ、"wild-haired"なる言い回しは今回引用した記事に限らず、他紙でも同様で、同氏を形容する表現として定着しているようです。


Wild-Haired Former Rocker Promises to Remake Argentina if Elected President
(Wall Street Journal. October 19, 2023.)


Who is Javier Milei? How wild-haired TV pundit ignited Argentine rage to become president
(South China Morning Post. November 20, 2023.)


政治家の髪型というのは人物の特徴的な要素として、とかくメディアが取り上げるものだと思われます。トランプ氏の髪型しかり、ジョンソン元英首相のそれもしかり、です。

ミレイ氏の"wild-haired"ですが、"wild"という英語には“野生”の意味が思い浮かびますが、髪(hair)と結び付いた場合には(髪の毛が)乱れた、という訳語が辞書には見えます。

記事にみるミレイ氏の頭髪は豊かでボリュームのある感じですが、乱れているようには見えません。また、ジョンソン氏のようなボサボサ頭、というのでもないように思います。もみあげ部分は長めで、顔貌には「ワイルドな」印象はあります。

以下はガーディアン紙の記事からの引用です。


Friends and foes of Argentina’s next president compare him to his fellow right-wing populists Donald Trump and Jair Bolsonaro. Others have called the wild-haired economist a mix of Boris Johnson and the killer doll Chucky.

But when Javier Milei’s image consultant conceived his unorthodox hairdo, she had two different men in mind: Elvis Presley and Wolverine.
(Tom Phillips. Who is Javier Milei? Argentina’s new far-right president ‘El Loco’ takes the stage. The Guardian. November 20, 2023.)


2023年12月8日金曜日

stand-up guy

SNSのXへの広告出稿を取り止めたディズニーにマスク氏が噛みつきました。

反ユダヤ主義発言を看過しているというのがディズニーによる広告取り止めの理由だったことは先日も取り上げました。

その後、ニューメキシコ州が、フェースブック、インスタグラムなどを運営するメタ社を、児童ポルノの温床になっているとして訴えたのですが、ディズニーはメタ社に対しては広告取り止めなどの措置を取っておらず、要は「態度が違う」という主張のようです。


Billionaire X owner Elon Musk called out Disney CEO Bob Iger in an onslaught of posts on his social media platform Thursday morning, asking why Disney does not suspend its ads on Facebook or Instagram over recent allegations content on those sites enabled child sex trafficking and assault, as Musk continues to take swipes at Disney over its decision to pull ads from X.

(中略)

In another post Thursday morning, Musk said “Bob [Iger] thinks it’s cool to advertise next to child exploitation material,” calling Iger a “real stand up guy” while misspelling his name as “Eiger.”
(Brian Bushard. Musk Slams Disney CEO Bob Iger—Again—After Disney Suspends Ads On X. Forbes. December 7, 2023.)


マスク氏はXでの投稿で、(ディズニーCEOの)Bob Iger氏はクビにすべき、などと舌鋒鋭く非難し、Iger氏を


a “real stand up guy


と呼んだ、と記事にあります。

この"stand-up guy"とは、


信頼できる人物、実直な人物


という意味の表現です。

マスク氏の発言には痛烈な皮肉が込められていると言えるでしょう。


2023年12月7日木曜日

rizz

師走始め、日本では流行語大賞、英語圏ではメジャーな辞書が発表するWord of the Yearの時期です。

オックスフォード辞書が2023年のWord of the Yearを発表しましたが、その1語は、


rizz


だそうです。


The Oxford University Press announced Monday the 2023 Word of the Year is "rizz."

A slang word popularized by social media, rizz was chosen from a pool of eight words by language experts with input from the public.

(中略)

"Rizz" is believed to be short for "charisma," describing one's ability to flirt and attract someone romantically. It can be used as a noun or a verb, depending on the context.
(Kinsey Crowley. 2023 has got 'rizz': Oxford announces the Word of the Year. USA TODAY. December 4, 2023.)


日本語に訳しにくいと思われますが、"rizz"とは異性を惹きつける魅力、というような意味合いを持つ表現だということです。

カリスマ(charisma)という単語から来ているらしく、発音の強勢が置かれる部分だけが取り出される形で生まれた単語と言えるでしょう。(以前取り上げた"rona"は同じような形成による単語になると思います。)

"rizz"の用法としては動詞、名詞の2つがあります。


To rizz is someone is to attract or seduce them, Oxford defines.

To have rizz is to have the ability to charm others through communicating.
(ibid.)


流行り言葉の「モテ期」ではないですが、モテる資質、といったところでしょうか。


2023年12月6日水曜日

Bronx cheer

アラブ首長国連邦のドバイでCOP 28(国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議)が開催されています。

環境問題、特に温室効果ガス削減の取り組みが話し合われる会議の1コマでちょっとしたハプニングがあったようです。

米国代表として出席したケリー元国務長官がスピーチの最中におならをかましたというのです。


John Kerry might need to cut back on his own emissions.

The Biden administration’s climate envoy was discussing US policy on coal power plants at the Climate Change Conference in Dubai on Sunday when Kerry may have unleashed a burst of wind energy.

The former secretary of state was speaking next to Becky Anderson, managing editor of CNN Abu Dhabi, and Fatih Birol, executive director of the International Energy Agency, when a Bronx cheer suddenly erupted midsentence.
(Loud fart sound erupts during John Kerry’s speech at climate panel. New York Post. December 4, 2023.)


問題の出来事はケリー氏が、温暖化を食い止めるためには石炭火力による発電設備をこれ以上認める訳には行かない、などと熱弁をふるっている、まさにその最中に起きました。

引用した記事の冒頭では、ケリー氏は自身の排出ガスを削減すべき、などと皮肉たっぷりですが、全くもってタイミングが悪かったと言う他ありません。

さて、引用の後半部分で、


Bronx cheer suddenly erupted midsentence


とあります。

この"Bronx cheer"のBronxはニューヨークのブロンクス地区のことですが、野球チームのニューヨークヤンキースのホームでもあります。

チームのファンらが審判の判定に異議があると、唇と舌を震わせて音を出すブーイングが巻き起こるといい、これが"Bronx cheer"と呼ばれる所以だそうです。

つまり、"Bronx cheer"とは軽蔑、嘲りの所作を意味するものなのですが、唇と舌を使って出すその音はおならの音を模したものとも言われており、故に記事ではケリー氏のおならに擬えて使っていると思われます。

2023年12月5日火曜日

bunfight

終わりの見えないロシア、ウクライナの戦争ですが、各国のウクライナ支援の継続に懸念が生じています。

米ホワイトハウスはウクライナへの軍事支援が議会で承認されない状況が長引けばウクライナの敗北につながると警告しました。


White House budget director Shalanda Young said funds for military aid would run out by the end of the year and that a failure by Congress to approve new support would “kneecap” Kyiv in its fight against the Russian invasion. “There is no magical pot of funding available to meet this moment. We are out of money — and nearly out of time,” she said. 

Meanwhile EU member states are embroiled in a huge budget bunfight, including top-up funds of €50bn for Ukraine, ahead of a summit in Brussels on December 14-15. The budget talks have become even more complicated by the far-right’s victory in Dutch elections and a landmark court ruling in Germany restricting government spending. To make matters worse, Hungarian Prime Minister Viktor Orbán is again vowing to veto the start of Ukraine’s EU membership talks.
(Darren Dodd. Failure to approve further US aid could ‘kneecap’ Kyiv. Financial Times. December 4, 2023.)


ウクライナ支援をめぐっては米国のみならず、EU諸国でも予算承認に難渋している模様です。

記事では、


budget bunfight


とあるのですが、"bunfight"という単語を知りませんでした。

手元の辞書を引いてみると、茶会、ティーパーティ、とあるのですが??

英俗語、つまりイギリス英語の俗語表現とあるのですが、何故〜fightと名のつくものがお茶会になるのか、曰く付きの単語と思われました。

"bunfight"のbunとは、パンのことです。

馴染みのあるハンバーガーの「バンズ」(buns)はその"bun"の複数形であり、真ん中に具材を挟む丸いパンを指しますが、"bun"は菓子パンの一種でもあるそうで、これはイギリス英語に特有の意味なのか分かりませんが、お茶会で供されるものなのだそうです。ハンバーガーの「バンズ」はシンプルなものに決まっていると思うのですが、お茶会で供されるの"bun"はドライフルーツやシナモンなど、味の付いた菓子パンのようです。そしてお茶会ではこの"bun"をめぐって子供らがケンカするから、お茶会のことを"bunfight"と言うのだとか。

それが発展して(!?)、"bunfight"は大論争とか激論の意味でも用いられるようになったそうです。

周りくどいというか、変わった語源の単語ですね。

2023年12月4日月曜日

cross on one’s back

反ユダヤ主義的な言論を放置しているとの批判から、SNSへの広告出稿を見合わせる動きが大手メディアを中心に起きており、X(旧ツイッター)の広告収入を直撃しています。

大手メディアの1社にディズニーがあります。


(Bob) Iger recently went public with his decision to pull ads from Musk’s X (formerly known as Twitter) social media platform, joining others in the progressive CEO class attacking someone the left hates as much as Donald Trump.

The overarching goal of the progressive movement, if you haven’t noticed, is destroying the platform Musk is trying to remake from the lefty safe space it had been for far too long to a free-speech mecca. 

No more silencing of conservative voices, no more taking orders from the lefties in the Biden administration. 

With that, Musk, despite being the world’s richest man, had a big “X” on his back.
(Charles Gasparino. Elon Musk has a big X on his back as Bob Iger pulls ads from platform. New York Post. December 2, 2023.)


Xを舞台にした騒動は先日も取り上げたところですが、引用した記事のくだりに、


Musk… had a big “X” on his back


という部分があります。

ここでの"X"は、恐らく"cross"と発音すべきものですが、SNSのXに掛けているものと思われます。

そしてその意味するところは、"cross"(十字架)を背負っている(have cross on one’s back)となるのですが、辞書を見ると、


bear [take up] one’s cross
a cross to bear


などとあり、その意味は、


試練、受難、苦難に耐える


などとなっています。

マスク氏自身のSNSでの発言が今回の問題の引き金になった訳で、その苦難はマスク氏が負うべきもの、ということでしょう。

この表現は新約聖書のマタイ伝(16:24)に出てくるイエスの言葉に由来すると、研究社新英和大辞典の解説にあります。

新共同訳のテキストでは「自分の十字架を背負って」となっていますが、King James Version等の英語訳は、"take up his cross"となっています。




2023年12月1日金曜日

emcee

電気自動車メーカーの米テスラがいよいよCybertruckの発売にこぎ着けたようです。

2019年に発表、予約を受け付けていたそうですが、その後遅れに遅れてこのタイミングとなった模様です。


CEO Elon Musk unveiled the long-awaited Tesla Cybertruck at a live event at its Gigafactory in Austin, Texas.

The futuristic-looking Cybertruck is the first electric vehicle Tesla offers that isn’t a sedan marks the company’s entry into the growing EV pickup market, joining rivals like Ford and Rivian. One advantage Elon Musk promises the Cybertruck has over the competition? It is bullet proof. 

Musk, who emceed the event, hyped the flatbed, which is over 6 feet long, towing capacity of 11,000 pounds and windows that can repel live bullets. 
(Eric Revell. Tesla Cybertruck deliveries begin after long delays. FOX Business. November 30, 2023.)


CEOのマスク氏自らCybertruck紹介のイベントを取り仕切ったそうですが、記事のくだりでは、


CEO Elon Musk unveiled the long-awaited Tesla Cybertruck at a live event


と、冒頭に出てきた後、3段落目では、


Musk, who emceed the event…


とあります。

"emceed"という見慣れないスペルの単語に一瞬目が留まりました。

これは、"emcee"という動詞の過去形で、


MC


の発音を文字にしたものになっています。そして、MCとは


Master of Ceremonies


の頭文字を取った略語、司会者という意味です。従って、"emcee"という動詞は、司会をする、という意味になります。ここでは場を取り仕切る、という意味合いでしょう。

この"emcee"に見られるような語形成を言語学では何と言うのだろうと思いますが、同じような単語として、以前取り上げた"kayo"を思い出しました。

"kayo"は、K.O. (Knock Out) の発音、つまりK(kay)、O、をスペルにした単語ですが、辞書には「発音綴り」という説明がされていました。

つまり、略語の発音をそのままスペルに展開した単語、それが動詞としても用いられる、という特色があるというものです。(名詞→略語→その発音をスペル化→動詞化)

他にもこのような単語をご存知の方、教えて下さい。


2023年11月30日木曜日

pied-a-terre

いわゆるセカンドハウスのことを、


pied-a-terre


というそうです。

セカンドハウスを持てるような人はお金持ちに決まっています。


London’s booming luxury real estate market continues to attract wealthy local residents and ultra-high-net-worth individuals from the U.S., India, Dubai, and beyond.

(中略)

The owners of one of the apartments within Prospect Place, a family from India who use the property as a pied-à-terre, recently tapped London-based interior design studio Black and Milk to renovate the interiors and add personal touches. They’ve now put their part-time pad in London up for lease for $31,500 (or £25,000 per month).
(Emma Reynolds. London’s Ultra-Luxury Rental Market is Booming, And This Turnkey Rental is The Epitome of Modern Elegance. Robb Report. November 28, 2023.)


スペルからもお分かりのように、"pied-à-terre"はフランス語です。

英語の置き換えると、foot on land(foot to ground とも)、つまり地に着いた足、という意味になります。

セカンドハウスというのは和製英語でしょうか?英和辞書に、"second house"のエントリはありません。手元にある研究社の新英和大辞典では、"second home"はエントリがあり、第二のこきょう、また「セカンドハウス」とあります。

恐らく英語で"second house"と言うと、建物としての家屋を数えた時の単に2番目、というくらいなのではないかと思います。

ところで別荘みたいなイメージとは少し異なり、"pied-à-terre"は出張などが多い人が出張先に設ける仮宿泊所、仮寓という意味合いのようです。

特に、そのような目的で購入される大都市のアパート、マンションを"pied-à-terre"と呼ぶようです。

ちなみに複数形は、


pieds-à-terre


となります。

2023年11月29日水曜日

lickspittle

英王室から離脱して米国に移住したハリー元王子とメーガン夫妻は何かとメディアで取り上げられておりますが、また新たな暴露本の出版が計画されているとかで、ひと騒動ありそうです。

個人的には英王室のスキャンダルにはほとんど興味はないのですが、今回出版予定の暴露本のについての記事が目に留まりました。

というのも暴露本の著者のことを、


lickspittle author


と形容しているのですが、この表現をご存知でしょうか?


The word “lickspittle” is one of my favorites in the English language.

It’s a derogatory medieval term first deployed in 1586 by a professor named John James Gryneus, who wrote of “flatterers which did lick the spittle of Dionysius the tyrant and said that it was sweeter than the sweet wine.”

So it literally meant someone willing to lick the spit off another person’s lips and tell them it’s wonderful, however awful that person may be.

In modern parlance, it’s come to denote a fawning, sycophantic, brown-nosing toady who gushes insincere flattery for personal gain.

Which brings me neatly to Omid Scobie, the weirdly pale-faced, heavy-eyebrowed little weasel who makes a living peddling constant garbage about the royal family on behalf of the world’s most disingenuous victims, Meghan and Harry.
(Piers Morgan. Lickspittle author Omid Scobie lies about everyone — including me — and can’t be trusted with latest Meg and Harry book. New York Post. November 27, 2023.)


"lickspittle"とは、"lick a person’s spittle"、つまり他人の唾を舐める(!?)という慣用句から生まれた形容詞で、


lick a person’s boots
lick a person’s shoes


などといった表現と同じく、他人に媚びへつらう、おべっかを使う、追従的、という意味です。

上記に引用した記事によるとこの表現は、紀元前5〜4世紀にシチリア島シラクサを支配した僭主ディオニュシオス1世(太宰治の小説「走れメロス」にも出てくる王様)の吐いた唾を舐めることを厭わなかった取り巻きの話に由来するという興味深い言及があります。



2023年11月28日火曜日

kibbutz

イーロン・マスク氏がイスラエルを訪問、ネタニヤフ大統領と面会したと報じられています。

ハマスの攻撃により破壊され、多数の犠牲者を出した現場を訪れた同氏はネタニヤフ大統領に対して、ハマスは壊滅されなければならないと同調したそうです。


Elon Musk visited Israel Monday, meeting the country’s leaders and walking through a kibbutz destroyed by Hamas last month as he tried to calm outrage caused by his endorsement of an antisemitic post on his social media platform, X.

Musk was taken to Kfar Azza — one of the kibbutzim attacked on October 7 — by Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu. The kibbutz was the home of Abigail Edan, a four-year-old American dual citizen abducted by the militant group that day and released Sunday.

In a live online conversation on X with Netanyahu Monday, Musk agreed with the prime minister that Israel must destroy Hamas.
(Elon Musk visits destroyed kibbutz and meets Netanyahu in wake of antisemitic post. CNN. November 27, 2023.)


何故、マスク氏がイスラエルを訪問するのか、と訝る向きもあろうかと思います。

今回の背景にはSNSのX(旧Twitter)上で反ユダヤ主義の投稿が野放しにされているとの批判が高まっていることと関連があります。マスク氏は先日、そうした反ユダヤ主義に同調する投稿を自ら行い、その結果、大手メディアがXへの広告出稿を見合わせるという事態に発展していました。

マスク氏はメディアの対応に反発していましたが、Xの広告収入に影響が出ることを懸念したのでしょう、今回のイスラエル訪問につながったとの見方があります。計算高いとうか、姑息というか。

さて、引用した記事で、


kibbutz


という単語が出てきます。

見慣れないこの単語は元はヘブライ語であり、辞書を引くと、イスラエルの農業共同体、という説明があります。カタカナでそのまま「キブツ」とも訳されるようですが、NHKのニュースでは「集落」と訳していました。

引用した部分にも出てきますが、その複数形は、


kibbutzim


です。

2023年11月27日月曜日

sheisty

経歴詐称や政治資金の私的流用の疑いで批判されている共和党のサントス議員がいよいよ米議会から追放される見込みだそうです。

サントス議員にまつわる疑惑のニュースは以前も(1/235/17)当ブログのネタにさせていただいたことがあります。


Washington — Embattled Rep. George Santos said he expects to be expelled from Congress in the coming days and will "wear it like a badge of honor." 

"I know I'm going to get expelled when this expulsion resolution goes to the floor," the New York Republican said Friday on an X Space hosted by conservative media personality Monica Matthews.  

The Ethics Committee released a 56-page report earlier this month that said there was "substantial evidence" that Santos violated federal law. The report alleged Santos funneled large sums of money through his campaign and businesses to pay for his personal expenses…
(Caitlin Yülek. George Santos says he expects he'll be expelled from Congress. CBS News. November 26, 2023.)


しかしながら、サントス議員自身は疑惑を認めておらず、潔白を主張している模様です。

議会の倫理委員会による調査報告書は疑惑を裏付ける具体的証拠があるとしているのに、往生際が悪いとはこのことでしょうか。

サントス氏は自身を悪者に仕立てようとしている人達のために議会を追放されるのだと言っているそうですが、その発言が引用されており、以下のような箇所があります。


"There's felons galore," he said. "There's people with all sorts of sheisty backgrounds. And all of a sudden, George Santos is the Mary Magdalene of United States Congress."
(ibid.)


people with all sorts of sheisty backgrounds


という部分の"sheisty"という単語を知りません。

実のところ、"sheisty"というスペルの単語は辞書に載っていません。

そこでネットを検索をしてみると、うさん臭い、とか、いかがわしい、という意味の形容詞らしいことが分かりました。

少し変わったスペルの単語、"sheisty"(shiestyというスペルもあるそうです)は恐らく、「シャイスティー」と発音するのだと思いますが、ネットで見る解説によると、


shyster


から来ているとするものが見られます。

"shyster"の方は辞書に載っており、いかさま(悪徳)弁護士、とか、いかさま師、とありますので、意味的に近いものがあるように思われます。

この"shyster"についてはドイツ語Scheisser(Scheissは英単語の"shit"に相当)から来ているとの解説があります。(研究社新英和大辞典では、19世紀のNew Yorkのいかさま弁護士の名前(Scheuster)から来ているとの解説です。)

いずれにしても相手を貶す表現であることは確かです。

サントス氏はこのような「いかがわしい」人達によって自身が辞職に追い込まれるのだと言っている訳ですが、"sheisty"なのは果たしてどちらなんでしょうか。


2023年11月24日金曜日

Brown Friday

勤労感謝の日の祝日明け、今日は金曜日です。平日ですが、休みにして連休の方もおられるかと。

アメリカではThanksgiving(感謝祭)のホリデーシーズンであり、多くの人が家族との時間を過ごす週末となります。

ところで、この一大ホリデーの真っ只中となる金曜日を、"Brown Friday"(!?)なる言葉で呼ぶのが増えているということなのですが、どういうことなのでしょうか?


Stuffed turkey — more like stuffed toilets.

As families across the country prepare for their annual Thanksgiving feasts, plumbers are bracing for their busiest day of the year, “Brown Friday,” when the holiday can swiftly turn into a “s–tshow” for hosts and guests.

According to Yelp, the day after Thanksgiving often sees an influx of people searching for emergency plumbing services, with many calling local handiworkers to unclog toilets and fix drains in the aftermath of people overeating on Turkey Day.

Using search query data, Yelp found a 99% increase in “request a quote” service bookings for plumbers the day after Thanksgiving overall and revealed a list of America’s top 30 most clogged-up plumbing cities on “Brown Friday.”
(‘Brown Friday’ is the worst plumbing day of the year — how to prep your toilet for it. New York Post. November 22, 2023.)


"Black Friday"については当ブログでも度々取り上げてきましたし、日本でも当たり前のように喧伝されていますから、ご存知かと思います。

一方、"Brown Friday"については、この時期に一般家庭のトイレや台所などで水回りのトラブルが発生し、緊急のトラブル対応要請が増加するというトレンドのことを言ったものだそうです。

つまり、感謝祭で家族や友人が集まるので、水回りの使用頻度も普段より増加、故に排水のトラブルも急増、ということのようです。

"Brown Friday"のブラウン(brown)が何の色を指すのか、は敢えて触れません(苦笑)



2023年11月23日木曜日

ransack

白昼のロサンゼルスで、乗用車5台に分乗してナイキの店舗に乗り付け、手当たり次第にシューズを盗んで逃げ去ったという強盗事件があったそうです。

何ヶ月か前、東京の繁華街でやはり白昼堂々と高級時計店に押し入り、ショーウィンドウを破壊して高級時計を多数を奪い去った強盗事件を思い出しました。

ロスの強盗はシューズを袋に詰めて逃げたそうですが、嵩張るシューズは効率が悪くも思われるものの、総額1万2千ドルということで、ブランドもののスニーカーは高額で人気も高いそうですから、ターゲットにしたのかも知れません。


A flash mob of teens could be seen on camera ransacking a Nike store in Los Angeles and taking off with about $12,000 worth of merchandise, according to authorities.

Seventeen masked youngsters rolled up in five different cars and descended on the chain store on South Alameda Street on Sunday evening around 6 p.m. and quickly filled up clothing and boxes of sneakers into trash bags, the LAPD said.

Stunned customers looked on as the thieves quickly filled their trash bags to the brim with goodies from the athletic retail shop, according to footage posted online.
(Flash mob of teens roll up in 5 cars and steal $12K from LA Nike store in caught-on-tape heist. NewYork Post. November 21, 2023.)


さて、今日の1語は、


ransack


です。

くまなく探す、略奪する、という意味ですが、この単語の語源は古ノルド語だそうです。

rann-は家を意味し、sakaという部分は英語の"search"、即ち、探す、という意味があると語源欄にあります。

つまり、家の中をくまなく探す、というのが原義になりますが、泥棒が金目のものを探して、家の中を荒らし回すということでもあります。


2023年11月22日水曜日

carte blanche

11月も後半、早や年の終わりが見えて来ましたが、今年を振り返ると人工知能(AI)に大騒ぎしたことが思い出されます。

ChatGPTなるAIが手軽に使えるようになり、いよいよ人間に残される仕事や創作活動は何かの議論が沸騰しました。

そして、つい先日、生成 AIの先端を行くOpenAIにおいて、CEOであるサム・アルトマン氏が解任されるという事件が世間を騒がせています。

CNNのオピニオン記事からの引用です。


The biggest tech news this week is the ouster of Sam Altman from his role as CEO of OpenAI, a move that has shaken the company and the industry. Hundreds of OpenAI employees have threatened to resign. Altman has already moved on to a role at Microsoft. And OpenAI, the company behind ChatGPT, is on its third CEO in as many days.

(中略)

OpenAI was founded as a nonprofit, with an explicit mission to harness what may soon be superhuman intelligence “to benefit humanity as a whole.” But that sensibility hasn’t lasted. The company now has a multi-billion-dollar for-profit arm.
(Jill Filipovic. Opinion: The drama around Sam Altman is an urgent warning. CNN. November 21, 2023.)


人間の将来に大きく影響を及ぼす ことは確実と考えられているAIの開発、実用化には一定の規制が必要との議論がある一方、今回の解任劇の詳細やその後のOpenAIの経営陣については分からないことが多過ぎます。

記事は、こんなに重要な技術の開発に携わっている会社やその責任者の素性が不透明なのは如何なものか、と問い掛けているようです。

記事では続けて以下のようなくだりがあります。


But then they fired him without warning, and apparently without involving Microsoft, the company’s largest shareholder. Now, Altman is at the new AI group at Microsoft, and one has to wonder if the oversight and caution there will be on par with that at OpenAI, or if he’ll be handed carte blanche to push as fast and hard as he wants.
(ibid.)


Open AIのCEOを解任されたアルトマン氏は早速マイクロソフト社に移籍したようですが、同氏の今後が注目されます。特に、


if he’ll be handed carte blanche to push as fast and hard as he wants


ということだとあります。

ここで使われている"carte blanche"とは、


白紙委任、全権委任


という意味です。

つまり、移った先のマイクロソフト社でAI開発のタガがはずれてしまうのではないかという懸念です。

スペルからお分かりのように"carte blanche"はフランス語で、英訳すると"blank document"、あるいは"blank note"となります。

署名だけしてあって、条件など細かいことは後から好きなように記載することができる書類、あるいは金額の記載のない小切手のようなもので、事実上制約が無い、という意味で用いられます。



2023年11月21日火曜日

eliminate

来年行われる米大統領選において依然有力な候補と目されるトランプ氏について、民主党のゴールドマン議員の発言が取り沙汰されています。

トランプ氏を再び大統領にしてはならない、という趣旨の発言だったようですが、トランプ氏支持者や保守派などからの批判がSNSを中心に炎上し、ゴールドマン議員は謝罪に追い込まれました。発言中、不適切な表現があった、という謝罪なのですが・・・。


A Democrat congressman is walking back a comment he made against former President Trump over the weekend that sparked a social media firestorm.

"Yesterday on TV, I mistakenly used the wrong word to express the importance for America that Donald Trump doesn’t become President again," Rep. Daniel Goldman of New York posted on X on Monday. 

"While he must be defeated, I certainly wish no harm to him and do not condone political violence. I apologize for the poor choice of words."
(Andrew Mark Miller. New York Dem backtracks after calling for Trump to be 'eliminated'. Fox News. November 20, 2023.)


同議員のコメントの、どういう表現に問題があったのでしょうか?


"His rhetoric is really getting dangerous," Goldman said during an interview with President Biden's former press secretary Jen Psaki on her MSNBC show.

"More and more dangerous. We saw what happened on January 6th, when he used his inflammatory rhetoric now, and his recent truth social post is incredibly, incredibly scary for anyone that might be trying to work in government. And it is just unquestionable at this point that man cannot see public office again. He is not only unfit, he is destructive to our democracy, and he has to be eliminated."
(ibid.)


ゴールドマン議員の発言の流れとしては、前回大統領選後に発生した、トランプ氏支持者らによるワシントン議事堂襲撃事件を引き合いに、その後もトランプ氏の言動がさらに危険なものになっているとして、大統領候補に相応しくないと断じるものだったようです。

問題になったのは(記事のタイトルに書かれていますが)、


he has to be eliminated.


の"eliminate"という動詞です。

"eliminate"という動詞は、排除する、除去する、という和訳がまず思い浮かびますが、確かに強い表現ではありますが、さほど不適切な表現とも思えないというのが正直な感想でした。特に、トランプ氏がこれまで政敵やメディアに対して行ってきた数々の過激な言動を思い起こすならば、そのトランプ氏に対して、「排除されるべき」と言ったところで、当のトランプ氏は意にも介さないのではないかと思われたのです。

ところが、"eliminate"という動詞は「殺す」という意味でも用いられ、ここで問題になっているのはまさしくその意味合いであるらしいことが見えてきました。

別記事ではゴールドマン議員の発言の"eliminate"がトランプ氏の暗殺をほのめかしているとの批判があると伝えています。


Conservatives on X were outraged by Goldman’s comments, with some arguing that the lawmaker was alluding to assassinating the former president. 
(New York Post)


改めて辞書を引いてみますと、"eliminate"の意味に「殺す」という意味合いを載せているものと、そうでないものがあるようです。

手元にある英和辞書では、研究社新英和大辞典には載っておらず、ランダムハウス英和では俗語表現として載せていました。

American Heritage Dictionary、Merriam-Webster(オンライン)には見当たりませんでした。Oxford Dictionaryのサイトでは、"eliminate"のこうした意味合いを婉曲表現(euphemism)としています。

それで、手元にあるOxford Dictionary of Euphemismsを見てみますと、以下の解説です。


eliminate  to kill.
A variant of LIQUIDATE with the same origin and the same connotations, usually of political or espionage killings.


"eliminate"の排除するという意味も強い表現ではありますが、政治のコンテクストでは政敵の暗殺をほのめかす表現だというのは知りませんでした。


2023年11月20日月曜日

drop the ball

中国人がアメリカ国内に設けた違法な実験施設が摘発され、HIVやエボラ出血熱などの病原体などが多数発見された問題が波紋を呼んでいます。

この問題についてはFBIやCDC(アメリカ疾病予防管理センター)に報告されていたのにも関わらず、摘発が後手に回ったとの指摘があります。


An illegal Chinese biolab unearthed in California roused concerns last week when local officials and contractors reported finding pathogens labeled "HIV" and "Ebola" during a CDC-ordered waste eradication at the site. Now federal agencies face criticism that they "dropped the ball" on investigating how pervasive the threat could be nationwide.
(Taylor Penley. FBI, CDC shredded for 'dropping the ball' on secret Chinese lab found in US: 'Reads like a movie script'. Fox News. November 19, 2023.)


他にも同じような違法な施設があるのではないか、由々しき安全保障上の問題だ、などと米議会で取り上げられているようです。

FBI、CDCの対応は不十分で、


dropped the ball


と批判されているということなのです。

この"dropped the ball"という表現ですが、アメリカ英語のフレーズで、


大失敗をする、ヘマをやる


という意味です。


"The FBI and the CDC really dropped the ball here in terms of investigating not only this illegal lab, but now we wonder how many more labs like this exist in the country," she said. 
(ibid.)


文字通りには、ボールを落とす、という意味になります。球技に因む表現だろうと想像がつきますね。

私は野球でボールを捕球し損ねるイメージが浮かびましたが、ここでのボールはアメフトのボールという説明を見かけました。

アメフトの選手がボールを持って敵陣へと疾走。と、そこでボールを落としてしまうのは確かに失態でしょう。

つい先日取り上げた、"take one’s eye off the ball"もご覧下さい。






2023年11月17日金曜日

ulterior

APEC首脳会議開催中のサンフランシスコで、バイデン大統領と中国の習近平国家主席が会談しました。

米中関係の緊張緩和を模索した会談と言われていますが、バイデン氏は会談後のインタビューで、今年6月の発言を繰り返すごとく、またしても習氏を独裁者(dictator)と発言。


U.S. President Joe Biden said on Wednesday he had not changed his view that Chinese President Xi Jinping was effectively a dictator, a comment likely to land with a thud in Beijing after the two leaders held straightforward summit talks.

Biden held a solo news conference after four hours of talks with Xi on the outskirts of San Francisco. At the end of the news conference, he was asked whether he still held the view that Xi was a dictator, something he said in June.
(Biden calls Xi a dictator after carefully planned summit. Reuters. November 17, 2023.)


習氏個人はどう感じたか分かりませんが、中国政府は猛反発しました。


In response, China's foreign ministry said it "strongly opposes" the remarks, without mentioning Biden by name.

"This statement is extremely wrong and irresponsible political manipulation," foreign ministry spokesperson Mao Ning told reporters on Thursday at a routine briefing.

"It should be pointed out that there will always be some people with ulterior motives who attempt to incite and damage U.S.-China relations, they are doomed to fail."

Mao refused to specify the identity of "some people" in answer to a follow-up question.
(ibid.)


中国外務省のコメントが引用されており、


there will always be some people with ulterior motives who attempt to incite and damage U.S.-China relations, they are doomed to fail


とあるのですが、このような米中関係を毀損しようとする試みは失敗する、と発言したとあります。

ここで、


ulterior motives


とありますが、ここでの"ulterior"という形容詞は、秘めた、隠された、という意味です。

つまり、隠された何らかの動機があって、習氏を独裁者などとするコメントをしているのだ、と言っていると思われます。(それが誰の、具体的にどのような意図なのか、については触れていません。)

この"ulterior"という単語ですが、ラテン語のulter(向こうの、彼方の)、ultra(はるか彼方に)という語に由来しています。

ですので、"ulterior"は元々は、時間的に後に起きる(subsequent)という意味でしたが、離れた見えないところ、という連想から、隠された(concealed)、という意味でも用いられるようになったと、語源解説にあります。

産経朝刊の記事では、この"ulterior motives"を、「下心」と訳していました。

話は逸れますが、"ulterior"の語源であるラテン語のウルトラ(ultra-)と聞いて、ウルトラマン(ultraman)を思い出します。

私はラテン語の初級課程でこのultra(副詞、また前置詞)という単語を習った時、「ウルトラマン」は宇宙はるか彼方の光の国からやっってきたので「ウルトラマン」と命名されたのだろう、と勝手に思っていましたが、どうやらそうではないようです。

ウルトラマンに先立つ、「ウルトラQ」という番組がありましたが、その「ウルトラQ」なる名称は、当時東京オリンピックで盛り上がっていた体操競技で最高難度につけられるCというランクより更に上を行く「ウルトラC」から取られたのだそうです。(ウィキペディアなどによる。)

「ウルトラマン」という命名はこのウルトラQの名称を引いているだけということらしく、小生が勝手に思っていたような由来は無いのでした。

2023年11月16日木曜日

petri dish

アメリカン航空の乗客が、機内で乗組員らへの暴言を吐くなどして運行業務を妨害したとして、多額の罰金を科されたそうです。

その額、4万ドルになろうかというもので、随分とお高い旅行費用となってしまいました。

いわゆるカスハラ(カスタマーハラスメント)に当たる事例だと思いますが、アメリカでは飛行機内におけるこうしたトラブルが非常に増えているそうです。


The federal district court in Arizona ordered an American Airlines passenger to pay the carrier $38,952 after she pleaded guilty to interfering with a flight crew member.

According to a press release from the U.S. Attorney’s office in Arizona, Cayla Farris used profanity and threatened flight crew members while traveling from Phoenix to Hawaii on Feb. 13, 2022. Prosecutors say her behavior prevented flight attendants from carrying out their duties and the captain decided to return to Phoenix.

(中略)

Experts say airplanes can be petri dishes for bad behavior as travelers are crammed together and often stressed about getting where they need to be. Federal law requires passengers to obey crewmember instructions.
(Zach Wichter. An expensive flight: American Airlines passenger fined almost $40,000 for being disruptive. USA Today. November 15, 2023.)


記事に、


… airplanes can be petri dishes for bad behavior


というくだりがあります。

"petri dish"(ペトリ皿)は、理科の授業を懐かしく思い出しますが、細菌を培養するのに用いる浅いガラス製の皿です。

Merriam-Websterでは理科実験の道具という定義に続いて、


something (such as a place or situation) that fosters development


とあります。

つまり、飛行機内という場所は人の不品行の温床みたいなものだということでしょう。

アメリカ人にとって飛行機での移動は日本人にとっての新幹線に近いものがあると思うのですが、移動に欠かせない手段であると同時に、機内では窮屈さを我慢せねばならず、ストレスも溜まりやすいというところでしょうか。

"petri dish"は大文字で始まる、"Petri dish"というスペルもありますが、19世紀ドイツの細菌学者であるJulius R. Petriに因むものです。


2023年11月15日水曜日

God willing

女性の健康がないがしろにされている -- そんな問題提起がバイデン大統領夫人からなされました。

提起されている問題点として、女性の健康(閉経など)に関する十分な研究や調査が行われていない現状がある、ということのようです。


Washington − Women aren't getting the care they need when it comes to menopause, heart attacks and other health issues, according to the Biden administration. Now, first lady Jill Biden is giving the administration 45 days to amp up efforts to change that.

Officials said they’re trying to correct the fact that women have been understudied and underrepresented in health research, despite making up more than half the population.

(中略)

The new initiative announced Monday will be led by Dr. Carolyn M. Mazure, who recently joined Biden’s office from the Yale School of Medicine.

(中略)

"I didn't realize how much incongruity there was and how imbalanced it was," President Joe Biden said when he signed a memo establishing the initiative.  "So, God willing, we’re going to solve that."
(Maureen Groppe. Why can't women get better care for menopause or heart attacks? Jill Biden wants answers. USA Today. November 13, 2023.)


少し引用が長くなってしまいましたが、夫人の問題提起を受けたバイデン大統領のコメントが引用されています。その中に、


God willing


という表現が出てきます。

正直なところ、この表現を知りませんでした。

この言い回しは、"God be willing"とも言うそうですが、つまりは仮定法なのであって、逐語訳としては、もし神が望むならば、ということになります。

そういう訳で、


運が良ければ、ひょっとしたら、もしうまくいったら


という甚だ不確実性を含む事について言及する際に用いる慣用句なのだそうです。

イメージをもう少しクリアにしたいので、他の記事の用例も引用します。


MIAMI - Days before his election to a third term in office, City of Miami Commissioner Manolo Reyes announced he's fighting cancer.

He sat down with CBS News Miami to talk about how he's going to navigate his new reality while serving his constituents.

"I am not going to stop working and God willing, I am going to beat this," said Reyes.

The District 4 commissioner was recently diagnosed with leukemia.
(Nikita Carrero. Miami Commissioner Manolo Reyes navigating new reality after cancer diagnosis. CBS News. November 9, 2023.)


三期目の要職を務めることが決まった矢先、大病が発見されたという話です。運が良ければ完治して・・・、というコメントですね。



2023年11月14日火曜日

eradicate

グーグルが提供するメールサービスであるGmailの休眠状態のアカウントを一斉に削除する予定だそうです。

背景には放置状態にあるアカウントはサイバー犯罪に用いられるリスクが高いということがあるようです。


Google is scheduled to delete troves of inactive Gmail accounts as a cybersecurity initiative that goes into effect on Dec. 1.

Any account that has not been touched for two years could be eradicated, including a user’s Google Workspace apps like Drive, Docs and Photos.
(Alex Mitchell. Google will start deleting many Gmail accounts soon — is yours safe? NewYork Post. November 13, 2023.)


さて、今日の1語は、


eradicate


です。

引用した記事のタイトルや本文では"delete"も使われています。

"eradicate"は同義語ですが、単に「消す」というよりも、根絶する、根こそぎにする、という強い意味合いがあります。

それもそのはず、"eradicate"という単語は除去を意味する接頭辞e- (ex)に、根を意味するラテン語radixが付いたものです。

「根こそぎ」対象になるのは2年間アクティビティがないメールアカウントだそうですが、そうしたアカウントはグーグルにしてみると雑草と同じ!?(かも)


2023年11月13日月曜日

cut a figure

イギリスでは、この週末はRemembrance Sundayと呼ばれる第一次大戦の戦没将兵追悼の記念日でした。

式典に出席した英王室のキャサリン妃の装いを取り上げた記事から引用です。


The Princess of Wales looked solemn as she appeared at the Cenotaph for a poignant service to remember fallen soldiers.

Kate, 41, maintained a sombre expression for the occasion and dressed in an all black outfit as she arrived at the Remembrance Sunday Service at Cenotaph in London.

On the lapel of her Alexander McQueen military-inspired coat, Kate opted for three red poppies to pay tribute to all those who have lost their lives in conflict while fighting for their country.
(Lydia Hawken. Kate Middleton cuts a solemn figure in an elegant black outfit as she joins Queen Camilla on a balcony at the Remembrance Sunday Service. Daily Mail. November 12, 2023.)


普段は華やかな英王室も、戦没者の追悼式典とあって、その装いは黒を基調とした喪服です。

記事のタイトルに、


Kate Middleton cuts a solemn figure in an elegant black outfit


とありますが、ここで使われている、"cut a figure"という表現は初めてお目にかかりました。

記事の冒頭にある、


The Princess of Wales looked solemn


と同じ意味合いになるのですが、"cut a figure"という慣用句は、


(人が)・・・の印象を与える、・・・に見える


という意味で用いられます。

「・・・」の部分は名詞figureを修飾する形容詞が担います。例えば、


cut a poor figure(みすぼらしく見える)
cut a ridiculous figure(こっけいに見える)


などです。(用例はいずれも研究社新英和大辞典から)

知ってしまえばそれまでというものですが、この表現の妙は、英文では"cut a figure"と他動詞的であるのに、和訳すると、「〜に見える」といった自動詞的な意味合いとなるところではないかと思います。

この表現の動詞"cut"はどういう意味合いなのだろいかと思います。"figure"とは姿、容姿、風貌といった意味があり、また「ひとかどの人物」という意味もあります。

似た表現に"make a figure"があり、ほぼ同じような用いられ方をしますが、動詞が"make"よりも、"cut"の方が、(相手に与える、残す)印象という点では強い感じがします。


2023年11月10日金曜日

overbite

いわゆる「出っ歯」のことを英語では、


overbite


と言うそうです。知りませんでした。


A woman who was branded 'horse face' due to her extreme overbite says a £25,000 jaw operation has made her feel like a new woman - and she's even been compared to Kate Beckinsale. 

Olivia Boardman, 29, who lives in Wembley, London, was taunted by bullies since the age of 10, when fellow pupils first noticed her overbite, which occurs when the front teeth protrude far beyond the bottom row of teeth.

But the cosmetic problem soon transformed into a health one when Olivia began experiencing sleep apnoea and lower oxygen levels to her brain - both caused by her overbite.

The film and TV trailer maker, who's originally from Manchester, said the condition made her feel confused and tired all the time, and things became so dire she even swore off dating.

But now after going under the knife, Olivia says she has a new lease of life and is flattered at being mistaken for a 'supermodel'. 
(Maria Okanrende. Bullies used to call me 'horse face' because of my overbite so I paid £25,000 to fix it - now people say I look like Kate Beckinsale. Daily Mail. November 9, 2023.)


「出っ歯」とは文字通り、前歯が突出している状態です。

記事に出てくる29歳女性は出っ歯のために顔貌が馬のようだと揶揄され悩んでいましたが、手術により矯正をしたところ見違えるような美貌になったとあります。

"overbite"という単語は歯科学の用語では、過蓋咬合という訳語がつけられています。過蓋咬合は歯の噛み合わせ(bite)が正常ではないとされる不正咬合(malocclusion)の一種とされます。

記事にもありますが、過蓋咬合は見た目の問題のみならず、睡眠時の呼吸に影響を及ぼすなどの健康面での問題をもたらします。


2023年11月9日木曜日

uncanny valley

唐突ですが、"uncanny valley"(不気味の谷)という言葉をご存知でしょうか?

小生は今日初めて知りました。とりあえずきっかけとなった記事を引用します。


Follow this makeup trend to verify you are not a robot — but want to be.

The viral “uncanny valley” makeup trend is taking over TikTok, as creators try to spook their viewers with their scary good makeup skills.

Uncanny valley” is the term used to describe the uncomfortable feeling people have when making eye contact with an android — a robot made to resemble a human.

To replicate this feeling, TikTokers are throwing things into reverse — and applying their makeup to appear like a bot.
(Adriana Diaz. What is the ‘uncanny valley’ makeup trend — and why is it creeping everybody out? New York Post. November 8, 2023.)


アメリカでは"uncanny valley"のメークアップが流行で、SNSへの投稿が増えている、とあります。

"uncanny"という単語については、以前取り上げた"uncanny resemblance"を思い出したのですが、"uncanny valley"は初見では??でした。

尤も、記事中、"uncanny valley"の説明として、


the term used to describe the uncomfortable feeling people have when making eye contact with an android


とあり、この言葉を知らない人向けに書かれていることが分かります。

"uncanny valley"とは、人に似せたロボットを見た時に感じる居心地の悪さを指す言葉であると解釈できます。

人工知能(AI)やロボットがかつてないほど進歩し、イベントやレストランなどで案内や配膳などを行うロボットを見かけることも珍しくなくなりました。

こうしたロボットは徐々に人間社会に浸透し、いずれ日常生活に不可欠な存在になるものと思われますが、人間とは異なる存在として、またある意味明確な区別がつけられるものとして認識されているのではないでしょうか。

一方、高度に人に似せて作られたロボット、アンドロイド(人間そっくりのロボット)に対しては、そのあまりの完成度の高さに多少の居心地の悪さ、時に恐怖感すら覚えてしまうものです。

"uncanny valley"とはこうした感情を指すものなのですが、「不気味の谷現象」と和訳されるこの言葉はロボット工学における学術用語として1970年から存在するそうです。

ここで言う谷(valley)とは、縦軸に感情的反応、横軸にロボットの人間への類似度を置いた二次元平面における曲線が成すパターンを指しています。ロボットの人間への類似性が高くなるにつれて、ロボットに対して人間が抱く感情はポジティブになりますが、ある線を越えると急にネガティブなものになり急降下する(つまり、谷となる)、というパターンが見られる — つまり、あまりに人間に似たロボットに接した時に人間が感じるのは違和感や恐怖感、居心地の悪さといったネガティブなものになるという訳です。

さて、記事の内容に戻りますと、"uncanny valley"なメークアップとは、それを見る相手に居心地の悪さを催すようなものだということなのです。

人間自らロボットのように見えるようなメークをするというもので、ある意味、ロボットを人間に似せようとする行為の逆張りと言えます。

2023年11月8日水曜日

travesty

裁判において被告人をはじめとする法廷内の写真撮影が禁じられていることはご存じと思います。

被告人らの人権保護や裁判の秩序維持といったことが写真撮影禁止の理由ですが、報道では写真の代わりに、法廷画家と呼ばれる人が被告人や裁判官をスケッチしたものが取り上げられるのをよく見かけますね。

このような事情は日本のみならず米国でも同様で、耳目を集める裁判の報道で使われるのは法廷のスケッチです。

巨額詐欺事件で罪に問われているトランプ前大統領の公判でも、トランプ氏のスケッチ画がメディアで取り上げられています。


A courtroom sketch artist has responded to a Fox News commentator who called her drawings of Donald Trump a "travesty."

Former White House Press Secretary Kayleigh McEnany joined Fox News' panel show The Five on Monday to discuss Trump's massive $250 million civil fraud trial.

Asked what advice she would have for the former president, she said: "I would advise him to ask for a better sketch artist, because I think that does not look like my former boss."
(Mia Jancowicz. A court artist covering Trump's trial had the perfect response to a Fox commentator calling her work a 'travesty'. Insider. November 7, 2023.)


トランプ氏のスケッチについて、テレビのニュース番組のコメンテーターが、


travesty


とこきおろしたそうです。

"travesty"とはパロディとか戯画という意味です。

コメントの趣旨は、トランプ氏のスケッチは本人に似ていない、もっとマシなアーティストを雇ったらどうか、というもので、"travesty"という言葉の真意は、要は、下手なスケッチ、というところかと思います。

ところで記事でもう一箇所、"travesty"が出てくる箇所があります。


Claiming that New York Attorney General Letitia James' case against Trump is a "travesty of justice," she added that "that sketch is a travesty too, it looks nothing like Trump."
(ibid.)


下手なスケッチというコメントに至る発言の前段とも言える部分ですが、トランプ支持者と思われるコメンテーターは、まずもってこの裁判が、


travesty of justice


と言っています。

ここでの"travesty"はやや意味を異にしていると言いますか、戯画とかパロディという訳語ではしっくりこないものがあります。

英和辞典を引くと正に"travesty of justice"という例が載っているかと思いますが、


正義とは言えないもの


という訳になっています。

"travesty"という単語ですが、スペルに見える、tra-  (trans)や、-vest-、という部分にお気づきでしょうか。

これらはラテン語、フランス語を経ているものですが、つまりは衣(vest)を変える(trans)、変装、というのが"travesty"の原義なのです。

つまりは、本当の姿を現したものではない、偽物の、本来の姿を歪めたもの、ということかと思います。

コメンテーターは、自身が支持するトランプ氏に対する裁判自体、正義からかけ離れたものと考え、また法廷のトランプ氏を描いたスケッチも到底受け入れられるものではないと言いたかったのでしょう。

2023年11月7日火曜日

phenotypic age

誰でも年はとりたくないものです。小生も最近は加齢ということを意識せざるを得ないようになりました。

幸いにしてこの10数年くらいは運動習慣があるため、顔見知りの方などに実年齢を打ち明けると、見た目は年齢より若く見える、と嬉しい反応が返ってくることもあります。(お世辞!?)

ところで以下に引用する記事では、いわゆる実年齢(chronological age)と健康面での年齢、「生物学的年齢」(記事中ではbiological ageと出てきます)についての研究についてディスカッションしています。

心血管が健康な人は実際の年齢よりも約6年くらいは若いと言えるのだそうです。


Want to live longer? New research shows a link between strong heart health and slower biological aging — and there are certain steps that can help you get there. 

The analysis, using data from 6,500 adults who participated in the 2015 to 2018 National Health and Nutrition Examination Survey, found that having high cardiovascular health may slow the pace of biological aging. Adults with high cardiovascular health were about 6 years younger biologically than their chronological age, according to the research. 
(Sara Moniuszko. Following these 8 steps for heart health may slow biological aging by 6 years, research shows. CBS News. November 6, 2023.)


つまり実年齢よりも、心血管の健康から測る生物学的年齢が重要という訳です。

ここで、記事では、


phenotypic age


という、ちょっと専門的な響きの単語が出てきます。


"We found that higher cardiovascular health is associated with decelerated biological aging, as measured by phenotypic age. We also found a dose-dependent association — as heart health goes up, biological aging goes down," study senior author Nour Makarem, an assistant professor of epidemiology at the Mailman School of Public Health at Columbia University Irving Medical Center in New York, said in a news release from the American Heart Association.

(中略)

"For example, the average actual age of those with high cardiovascular health was 41, yet their average biological age was 36; and the average actual age of those who had low cardiovascular health was 53, though their average biological age was 57," according to the news release.
(ibid.)


"phenotypic age"という表現の"phenotypic"は"phenotype"という語の形容詞形で、表現型という訳語になっています。"genotype"(遺伝子型)という言葉との対比で用いられるようです。

上記の引用で、"phenotypic age"は"biological age"と同義で用いられていると解釈できます。

つまり、"phenotypic age"は実年齢ではなく、心臓や血管などの健康面からみた年齢のことであると言えます。

同じ話題について書いている別記事には以下のようなくだりがあります。


They found that people who had high cardiovascular health had a negative phenotypic age acceleration — meaning that they were physically younger than their actual age.

In contrast, people with low cardiovascular health had a positive phenotypic age acceleration and were physically older than their actual age.
(Marc Lallanilla. Want to live 6 years longer? Follow this 8-step checklist to slow biological aging. New York Post. November 6, 2023.)


書いてあることは同じですね。

こうして読んできたところ、フィットネスジムなどに行くとよく置いてある、体組成計や血圧計のことを思い出しました。

体組成計などから出力される結果に体内年齢(体年齢)とか内臓年齢、血管年齢、といったものがあります。これらは筋肉量や脂肪量、基礎代謝量などから計算しているもののようですが、利用にあたって最初に入力する実年齢よりも若いという結果が出るとうれしいものですが、その逆だと少しショックを覚えるものです。

ここで、"phenotypic age"とはつまり体内年齢、内臓年齢、ということなのか?果たしてその和訳は?という疑問が出て来ました。

表面的にウェブを検索しただけですが、"phenotypic age"の訳語に体内年齢といった日本語を当てているものは見当たらず、正式な日本語訳として定着していると思われるものは見当たりません。概念としては恐らく近いものがあるのだろうと思うのですが。

ちなみに"phenotype"のpheno-という接頭辞はギリシャ語から来ており、その意味は「見えている」というものです。

心臓や血管の健康は目に見えないものですが、そうした感覚だと"phenotypic age"という表現の解釈は多少混乱してしまいました。


2023年11月6日月曜日

caboose

体内の異物が原因で救急処置を受ける人の数、何と年間30万人、という統計がアメリカであるそうです。


Nearly 300,000 American adults wind up in the emergency room every year for having a “foreign object in body” — making it the ninth leading cause of unintentional injuries that land people in the hospital, according to a new analysis of Centers for Disease Control and Prevention data. 

In 2021, there were 277,922 emergency room visits for “foreign object in body” — which included plastic swords and glow sticks in ears; magnets and diesel fuel up noses, and steak knives and video-game controllers down throats, according to a blogger who reviewed the reports on the U.S. Consumer Product Safety Commission’s database.
(Georgia Worrell. Nearly 300,000 Americans go to ER yearly to remove ‘foreign objects’ from strange places. New York Post. November 4, 2023.)


人間の身体にある開口部は口を始めとして、耳の穴、鼻、等々ありますが、予期せぬ異物が入ってしまうことはままあるかと。昔、幼い娘が玩具のマグネットを飲み込んでしまったとかで近医の救急に駆け込んだことを思い出しました。(結果、玩具の誤嚥は無かったのですが。)

ところで、30万人という統計は大人の数字で、子供は含まれていません。体内異物は多くはアクシデントかと思いますが、そうとも言い切れないようです。

ここからは成人向け(!?)の内容になるのですが、いい年した大人の体内異物は自らが招いた災いでもあるようです。


Over half of the items found lodged in the caboose are sex toys like vibrators and anal beads, but marbles, bottles, and other detritus are also found.

To add insult to injury, the 277,922 foreign-body incidents cost an average of $5,000 at the hospital, according to personal injury lawyers at John Foy & Associates’ study of the CDC data. 
(ibid.)


"caboose"という見慣れない単語が出てきます。ここでは、"buttock"、つまり臀部、お尻という意味で使われています。

"caboose"の語源はオランダ語らしく、船舶の厨房、調理室(galley)を指す語だったそうです。この単語のcab-という部分はキャビン(cabin)と関係があるということです。

"caboose"はその後、貨物列車の後部の乗務員用車、また車掌車を意味するようになり、故に最後尾、臀部、つまり「ケツ」という意味になったものです。

2023年11月3日金曜日

stomach-turning

胃がむかつくような、気分が悪くなるような、という意味で用いられる、




という表現を以前取り上げたことがあります。

"churn"はかき回す、撹拌するという意味の動詞で、なるほど、胃の中がかき回されるような不快感、吐き気を催すような不快感を表現する"stomach-churning"は意味合いとして納得です。

ということで、てっきり"stomach-churning"が頭にあったので、


stomach-turning


という表現を見た時、ふと"stomach-churning"の間違いでは?と思ってしまいました。


"I Was About 27 Years Old Before I Realized It Was Disgusting": Adults Are Sharing The Stomach-Turning Behaviors They Used To Do As Kids Until They Realized It Was "Gross"
(Yahoo! News. November 2, 2023.)


上記は記事のタイトルなんですが、"stomach-turning"な行動の具体例はというと、使った歯ブラシを洗面台備え付けのハンドタオルで拭いて乾かした、といった内容の、他人に不快感を催す類の話なので、意味するところは"stomach-churning"に同じと言えます。


"All my life, I wiped my toothbrush on the hand towel to dry it up until my sister asked what the fuck I was doing."
(ibid.)


不勉強を晒すようですが、"stomach-turning"は誤用ではなく、定着した表現です。

辞書で"stomach"を引いてみると、


turn a person’s stomach


というフレーズに、吐き気を催させるという意味があることが分かります。

また、コーパスで検索してみると、"stomach-churning"に比べると少ないですが、"stomach-turning"の用例は新聞記事等含めて多数確認することができます。

類似の表現として、


stomach-wrenching
stomach-twisting


などもコーパスでは認められます。



2023年11月2日木曜日

revocable

トランプ前大統領が経営する不動産会社における財務粉飾や保険金詐欺などの疑いで、トランプ氏をはじめ、経営に関与しているトランプ氏長男ら家族が訴えられている裁判の公判が詳報されています。

長男のトランプJr.が証言に立ちましたが、自身は経営や財務に関することは専門的な知識を持ち合わせておらず、会計士に任せていた、と証言し、直接的な関与を否定したようです。

公判のやり取りを伝える記事中、"revocable"という単語の発音を巡って応酬があった、との興味深いくだりがあります。以下、引用します。


He also got into a round of banter with Manhattan Supreme Court Justice Arthur Engoron and AG lawyer Colleen Faherty, about the pronunciation of the work “revocable.”

Faherty asked Don Jr. what the “Donald J. Trump Revocable Trust” was, prompting Engoron to interject: “Now that we finally have a trustee in the courtroom, we can finally ask if it is revocable or revocable.”

“Your honor, it’s a good question, but I’m not sure which is actually correct,” Don Jr. answered.

Faherty then asked a question using the pronunciation revocable, to which Don Jr. joked, “I’m not sure what that is, I only understand revocable” — prompting yet more chuckles from the gallery.
(Donald Trump Jr. cracks jokes, draws courtroom laughter during 75-minute testimony at $250M fraud trial. New York Post. November 1, 2023.)


New York Post紙の記事は、


revocable or revocable


と記載しています(!?)

非常に細かく、見逃してしまいそうですが、"revocable"という単語のスペルで、最初の方は -voc-  の文字がイタリック(斜体)になっており、2番目の方は rev- がイタリックになっているのにお気付きでしょうか?

つまり、"revocable"という単語の発音について、アクセントを第2音節に置くのか(すなわち、revocable)、それとも第1音節に置くのか(revocable)で揉めた、ということなのです。

"revocable"の発音については辞書を引いていただければ分かりますが、


revocable
revocable


どちらもあり、です。(かつての大学入試センター試験の英語で定番だったアクセントの位置を問う問題では"revocable"は使えないのね、などと思ってしまいました。)

ちなみにここで出てくる"revocable trust"とは「撤回可能信託」とかいう概念らしく、小生もトランプJr.氏同様、専門家ではないので(笑)、詳しい説明はご容赦を。


2023年11月1日水曜日

curmudgeon

ロバート・デニーロさんは小生の好きな俳優のひとりですが、デニーロさんの付き人を10年以上に渡って勤めた女性から訴えられているというニュース記事に目が留まりました。

セクハラや暴言があったという訴えですが、デニーロさんは否認しているとのことです。


The curmudgeonly 80-year-old “Raging Bull” Oscar winner rambled and ranted while fending off accusations from longtime former right-hand woman Graham Chase Robinson, who has accused him of everything from unwanted physical contact to making lewd jokes about his Viagra prescription.

“This is all nonsense!” the legendary actor, dressed in a green polo shirt and jacket and wearing black glasses, dramatically bellowed.  

De Niro’s lawyer, Richard Schoenstein, had set the stage in his opening statements Monday, the first day of the actor’s civil trial face-off with Robinson, when he acknowledged, “This trial is going to be a little bit like a movie.’’
(Grumpy Robert De Niro testifies in sensational showdown with ex-assistant who claimed he’s boss from hell: ‘This is nonsense!’. New York Post. October 30, 2023.)


記事ではデニーロさんのことを"curmudgeonly"と形容する表現が出てくるのですが、元となる名詞形は"curmudgeon"で、意地の悪いじいさん(研究社新英和大辞典)という意味です。古くは
「けちんぼう」という意味であったともあります。

あまり見かけることのない単語で、またスペルも少々変わっています。研究社新英和大辞典の説明には、語源については「人名からか」という記載がありますがそれ以上の詳しい説明は無く、スコットランド語との関連も示唆しています。

Merriam-Websterでは、語源不詳(Origin unknown)となっていますが、ウェブサイトのコラムでこの単語を取り上げており、いくつかの俗説に触れています。

その内容ですが、ひとつには、"curmudgeon"はcornmudginという単語、"corn dealer"(とうもろこしの商い)が変化したものだとする説です。とうもろこしの商いをする人はけちんぼうと結び付くのか甚だ疑問ですし、また"curmudgeon"はcornmudginより前から存在していたとされることから俗説の域を出ないと結論されています。

2023年10月31日火曜日

coup de grace

約6600万年前に絶滅した恐竜ですが、地球に落ちた隕石がその原因になったと言われているのは聞いたことがある話だと思います。

今日読んだ記事によれば、隕石の落下の後に引き起こされた諸環境の変化が恐竜の生存を脅かしたという最新の研究があるそうです。

具体的には隕石が粉々になって大気に散らばり、太陽の光が届きにくくなったりしたことで、多くの生物が生存することができない状況になったということです。


It was, to put it mildly, a bad day on Earth when an asteroid smacked Mexico's Yucatan Peninsula 66 million years ago, causing a global calamity that erased three-quarters of the world's species and ended the age of dinosaurs.

The immediate effects included wildfires, quakes, a massive shockwave in the air and huge standing waves in the seas. But the coup de grâce for many species may have been the climate catastrophe that unfolded in the following years as the skies were darkened by clouds of debris and temperatures plunged.
(Will Dunham. Dinosaur-killing asteroid impact fouled Earth's atmosphere with dust. Reuters. October 31, 2023.)


記事では隕石落下がもたらした気候変動が、


coup de grâce


となった、とあります。

"coup de grâce"はフランス語です。英訳すると、blow of mercyとなります。"coup"はクーデター(coup d’état)という語に使われる"coup"に同じです。

慈悲の一撃、情けの一撃、とでもなりますが、致命傷を負った相手がこれ以上苦しむことがないようお見舞いする「トドメの一撃」ということです。

そこから、ある物や人の終焉をもたらすことになった原因や出来事、という意味で使われるようになったということです。